見出し画像

子供に聞かせたい詩 「朝のリレー」- 谷川俊太郎‐

詩の世界は奥深く、わかったようで わからなくて。
読んでいても 宙ぶらりんになることも多い。

私がこの詩に出会ったのは、あるCMがきっかけだった。
当時よく流れていたので覚えていらっしゃる方も多いかもしれない。2004年のACC CMフェスティバルで賞も受賞しているらしい。


「朝のリレー」  - 谷川俊太郎 -

カムチャツカの若者がきりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女がほほえみながら寝返りをうつとき
ローマの少年は柱頭を染める朝陽にウインクする

この地球ではいつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ

経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る

眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴っている

それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

それまではどちらかというと、私には苦手意識の方が強くて敬遠していた "詩" というものが、この映像の力もあってとても鮮明に捉えることができて、何かこう身体にすっと入ってきたのだった。

純粋にわかりやすかったというのもあるだろうけれど、私は「朝のリレー」の詩を自分の中に入れて持ち運びたくなって、録画したCMを一時停止しながら書き留め、暗唱するようになった。

出かけた先、出会った風景の中でこの詩を諳んじることが純粋に楽しかった。
朝だけにこだわらず、私が勝手に見染めた”ケヤキ”の前で夕暮れ時に聞かせたり、通勤途中に電車が海沿いを走る区間を狙って心の中で唱えたり。
何時でも「今」と自分が判断した場所や時間にしっくりと添って馴染んでくれた。自分が詩と一緒にいるという感覚を持ったのは初めての経験だった。

カムチャツカもメキシコもローマも、遠い遠い距離を隔たっているけれど、どこにも順番に今日という朝がやってきて、みんながそれぞれの顔をして順番に眠りから覚めていく。リレーだ、本当だ。
それぞれの朝餉は何だろうか。
ご飯に味噌汁? 硬いパンに目玉焼き? クッキーに牛乳? 
ありつかない子だっているのかもしれない。それでもみんな朝になると起きだして今日を始めていく。

完全に映像にひっぱられながらも(CMで朗読しているayakoさんという方の声もまたとても良いのです!)、等身大の朝の光景が目に浮かんできて、快く心が温まる良い詩だと思っている。


私はこれを息子が寝るときに時折聞かせている。
(聞いてもらっているのかも?)
もう寝入りばなの、眼はとろんとして眠りの世界へ片足をつっこんでいる状態の時が多いので彼が聞いているのか分からない。
でも、いつか息子が「この詩、知っている!お母さんが好きなやつだ。」とでも言って覚えてくれてたら、とても感激すると思う。
明日、気持ちいい朝が〇〇にめぐってきますように、と願ってるよ。


最後までお読みいただき有難うございました。



この記事が参加している募集

#育児日記

49,460件

興味をもって下さり有難うございます!サポート頂けたら嬉しいです。 頂いたサポートは、執筆を勉強していく為や子供の書籍購入に使わせて頂きます。