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心の文様

人の感情に変化があったとき、
心に波が立つという。

心には水が満ちていて、
人は日に何度かその表面に
波の文様を見せるのだろう。

会社に遅れそうなとき、
重要な仕事を前にしたときの文様は、
波が細かくせわしない。

感動した映画を観たときや、
美しい風景を見たときの文様は、
その感動がそのまま転写されてきっと綺麗。

そして、
愛しい人と一緒にいて、
キスをして熱い抱擁を交わし、
やがて燃え尽きて果てるまでの文様は、

万華鏡のようにめまぐるしく変化していき、
どの場面を切り取っても、
そのまま壁に飾っておきたいほどに美しかろう。

汗まみれになって蕩けきったあなたの上に、
まだ繋がったまま重なっていると、
お互いの胸と胸、腹と腹の間に、
二人の汗が混ざり合って挟まれている。

きっと二人の胸から、
互いの心の文様が浮き出てきて、
その汗にそのまま転写されて、
二人の体の間で複雑な揺らぎを見せているはず。

そのままあなたの唇を塞ぐと、
あなたの両手が私の背中に絡み合ってきて、
二人の体の隙間はまた狭くなって、
その間で、
二人の心がひとつの文様を生み出している。

二人で作る一つの心の文様が今そこに。

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