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落ちるまで起きている


 黙々と裁縫をやっていたらこんな時間になっていた。腰と首がぎしぎしと痛む。読書をするときは何も気にすることもなくいろんな向きで本が読めるが、裁縫は寝転がるなんてできないし、立ってやることもできないので同じ場所から動かずに、猫背疑惑が出てきているので腹筋を意識してまっすぐ座るようにしていたのだが、それも相まって、腰回りが痛い。腹筋をした方がマシだったな。

 明日は(というか今日)は久々に友人と会うので楽しみで楽しみで、かといってがっつり読書をする気が起こらなかったので、西加奈子さんの『まにまに』にあるオロナミンCの話が個人的に好きなのでそれを読んで安定に笑い、スッキリしたので裁縫をした。夜、9時半ごろから始めてつい30分前くらいに終わったんだけど。不器用すぎる。手のひらサイズの縫い物だというのにね。明日友人にはこの努力の結晶を渡すつもりだ。喜んでくれたらいいのだけど。

 今日の天気は曇りのち晴れで、すっかり秋かと思いきや夏へと逆戻りしたかのような暑さで、半袖Tシャツを引っ張り出したのだった。もぬけの殻になっていたはずの虫とり籠にコクワガタが入っていた。土もなければ蓋もない、虫にとってはただの障害物でしかないその中で、コクワガタは佇んでいた。余っていた昆虫ゼリーをやった。(ちなみに私は虫は苦手なので、もちろん昆虫も何であろうと触ることができない)まだ夏が恋しいのかい。私はもう秋にいると思ったのだけど。

 午後からはでかけた。車の助手席で揺られながら、今回の台風がどこかで爪痕を残してはいないかと探しながら眺めていると、特に街中に大きな変化は見られなかったのでホッとした。だが、台風の影響で川の色が泥のようで、濁流とまではいかないが増水しており、いつも穏やかな川はどこへやら、川の流れに勢いがあった。遠目から見たときに川面が反射して陸地になっているようにすら見えた。こんなに汚れた水も知らぬ間にだんだんと綺麗になり、少しだけ川の形が変わりつつも、見慣れた景色へ戻っていく。こうしている間にも川も日常を取り戻そうとしているのかと考えるとドキドキする。自然の力の強さを感じる。

 そして、私の人生には憧れている海よりも川の方がずいぶん心の近くにあることに、改めて気いたのだった。

 今日は珍しく眠たい。頭をフル回転したからだろう。頭の中で短歌を考えながら、寝落ちする瞬間が来るのを待つことにする。いい夢が見たい。

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