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クン美奈小説

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前世、現世、未来のクン美奈の話をまとめて置いていきます
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#セーラームーン

セラムン二次創作小説『真剣勝負(クンヴィ)』

「クンツァイト、お相手を」

剣を初めて交えたあの日から、ヴィーナスはこうして俺に相手を申し出てくる。

プリンセスの護衛が無い日でも1人、気まぐれに剣の相手をして欲しいと頼みに来る。

別にいけないことは無い。高みを目指してプリンセスの為に強くなろうとするその志の高さは尊敬に値する。

何度目になるのか分からないが、またこうして手合わせを申し出された。

「御意!」

やはり真剣な眼差しで頼んで

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セラムン二次創作小説『至って真剣です(クン美奈)』

“話したい事がある”

筆無精な公斗から珍しくLINEが端的に入って驚く。

話しって一体なんだろうと思い、お互い空いている日に会う事になった。

用事のない日は極力うさに会いたいが、旧友の話も聞いてやらないとと思い渋々了承した形だ。

待ち合わせの喫茶店で待っていると、公斗がやってくるのが遠くから確認出来た。が、1人ではない。背の低い人も一緒だ。

誰だろうと近づいて来て顔を見ると、金髪によく映

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セラムン二次創作小説『二人の長い一日(クン美奈)』

とある休日のある日、朝から美奈子はソワソワしていた。

どんな服を着ようかとか部屋はこれで綺麗かとか、部屋の中を隅から隅まで歩いて落ち着かない。

その様子を見ていたアルテミスは呆れる。

「もういい加減落ち着いたら?」

「そんな事言われても……他人事だと思って!」

アルテミスにとっては他人事である。

そして今は猫の姿なので人でも無い。

「気持ちは分かるけど、自然体でいいんじゃないかな?挨

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セラムン二次創作小説『あなたに首ったけ(クン美奈)』

あたしには彼に言えない秘密がある。

秘密って言う程大層な事では無いのだけれど、言うと色々面倒な事になりそう。懸念していることになりそうで言えない。

それだけは避けたい。けど、もうそろそろ限界が近い。でも、ラブラブ出来ないのはあたし的にも痛いし。

でも、それよりも本当の意味でも痛いし、どうすれば。ってオトメゴコロが喧嘩する複雑な気持ち。

「いてててて……」

あたしが彼に隠している秘密。それ

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セラムン二次創作小説『宵闇に一番星が輝く(クン美奈)』

「今夜も星が美しいな」

学校が終わると、すっかり日が暮れていた。自然と空を見上げると、いつもの様に宵の明星が美しく輝いていて安心する。

何故だろうか?思春期になった頃から、宵闇の明星ーーー所謂一番星が妙に気になった。気づけば空を見上げて一番星を探していた。

普通ならば、月が綺麗とか気になるのだろうが、俺は月には興味が無く、寧ろ何故か気分が悪くなる想いがした。

「やはり一番星が一番輝いている

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セラムン二次創作小説『愛の女神の憂鬱(クン美奈)』

私には付き合っている彼氏がいる。

そいつとは自然と将来、即ち未来を共にすると約束している。

少なくとも公斗は私とずっと一緒にいる気になっているみたい。

私はと言うと、まあありだなと思っていた。つい最近まではーー。

最近、ふと思ったのよね。

仮にうさぎがこのままクイーンになって千年時代が到来しているのを想像してみてよ!

クンツァイトと結婚したら、少なくとも千年と言う長ぁーい月日、彼だけを

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セラムン二次創作小説『Heart of Sword(クンヴィ)』

シュッバサッシュシュッシャッ

「ハッ!フッ!ヤァー!ハァー!」

この日、クンツァイトはいつに無く真剣に剣の稽古に励んでいた。

その顔に余裕など無く、まるで鬼の形相。

そして鬼気迫る感じで剣の素振りをしていた。

「クンツァイト、今日はいつも以上に精を出してるな。この前ヴィーナスに負けたのがそんなに悔しかったか?」

そこにゾイサイトが通りかかり、凄いオーラを放ち素振り稽古をするクンツァイト

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セラムン二次創作小説『初デートに前に(クン美奈)』

とある日の休日。美奈子は彩都を呼び出して、ショッピングに連れ回していた。

目的は初デートの服装選び。来たる公斗との初デートに着ていく勝負服を、昔から一番よく知る彩都に見立ててもらおうと目論んでいた。

そこに加え、彩都は女装の麗人。最近のレディースのトレンドにも敏感。こんな打って付けの人はそういない。

「公斗はどんな服着ていても、幻滅なんかしないわよ?」

連れ回しては、あーでもないこーでもな

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セラムン二次創作小説『ありがとう、さよなら(クンヴィ)』

『ありがとう、さよなら(クンヴィ)』

“君の恋は永遠に叶うことはない”

久々に再開したあの人は、やっぱり又、敵の手に落ちていた。

前世の時と同じように、私の前に敵として立ちはだかった。

どうしてまた敵の手に落ちたの?なんて無駄な事は聞かないわ。

歴史は繰り返される。そう言う運命。

私の恋は永遠に叶わない。

エースにそう言われた時から、覚悟はしていた。出来ていた。はずだった。

だけど

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セラムン二次創作小説『どんな姿形になっても(クン美奈)』

『どんな姿形になっても』

「本当に石になってたなんてね……」

金髪ロングの髪の毛を、赤いリボンで後ろに括った特徴のある髪型をした少女ーーー愛野美奈子はケースに大切に保管された石にそう呟いた。

最初は、半信半疑だった。

「四天王がまもちゃんの家に石になって居候してる!」

興奮気味に彼女の守り人である月野うさぎが受験勉強をしている時にそう喚き散らした。

美奈子はその言葉に耳を疑った。

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セラムン二次創作小説『こんな朝は嫌だ(クン美奈)』

勤労感謝の日の祝日。

前日の夜から来ていた美奈子とベッドで共に寝ていた。

朝の10時。玄関の呼び鈴で公斗は起こされ、玄関へと向かう。

「兄さん、おはよう」

「いい朝だな、兄さん」

「ブラザー、会いたかったわ」

眠気眼で玄関のドアを開けると四天王が揃っていた。

しかも口々に兄さんと言う。

「お前らの兄になった覚えはない!」

「冷たいなぁ、兄さん」

「そうだぜ、兄さん」

「つまり

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セラムン二次創作小説『春眠暁を覚えず(クン美奈)』

「ふぁ~ねっむぅ~い。もう限界…」

大きな欠伸をしてソファーに寝転ぶ美奈子。

最近、俺の家へと来てはソファーに横たわり寝る事が増えた恋人。

「はぁー」

今日も例に違わずソファーで寝始めた美奈子を横目でチラッと確認して大きなため息をつく。

心を許し、安心しきっているのだろう。

それは単純に喜ぶべき事で嬉しい事なのだが、男である以上困った事がある。

制服や私服のミニスカートで無防備に寝て

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セラムン二次創作小説『恋って言うから愛に来た(クンヴィ)』

セレスはこの日、仕事でゴールデン・キングダムへと来ていた。その次いでに、とヴィーナスからクンツァイトへの手紙を預かっていた。渡して欲しいとの事だった。

勿論、中身を見てはいない。ラブレターだろう事が推測される為、赤面したくないからだ。理由はそれだけでは無いが。

「ヴィーナス様から預かって来た手紙ですわ」

「ああ」

クンツァイトを見付け、早速手紙を渡す。

相変わらず仏頂面を下げて気難しい顔

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セラムン二次創作小説『愛の花(クンヴィ←アドニス)』

夕刻。すっかり日が暮れて夜になろうとしていた頃。部下であるアドニスは一日の職務の報告へ直属の上司クンツァイトを訪ねてきていた。

これはクンツァイトの部下となり、最初からの決まり事で一日の報告をしてその日の職務を終える。報連相ーー仕事をしているものの義務であり、当たり前の行為だ。

「ご苦労だった」

「お疲れ様でした」

短いがクンツァイトはアドニスの一日の労働を労う。アドニスも一言、挨拶を交わ

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