よかぜ〈詩〉

せっかく横になったのに、

眠りにつけない夜がある。

そうとわかれば戸を開けて、

サンダル履いて、散歩する。

夜の散歩。夜のおでかけ。


電車はとっくに走らない。

車はちょっと走ってる。

ちらちら光る街明かり、

川辺の虫に、月明かり。

不意にぴゅうっと音が鳴る。

風が吹いた、夜風が吹いた。

タバコの煙が巻き上がる。

思わず身体を翻し、夜風を背中に受けるのは、

夜風が嫌いだからじゃない。

夜風に揺れる足取りに、

もう迷いたく、ないだけで。

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