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  • 少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜

    とある辺鄙な村で、勇者が誕生した。 名前はゼド。彼は村を旅立っていき、壮大な冒険が始まっていく。 ───しかし、この物語の主人公は勇者では無い。 村を去っていく勇者の背中を眺める、勇者の幼馴染こそが主人公である。 少女は死の訪れが怖い。自分の名前が、存在が、何もかもが無くなることが怖い。 たとえ自分の全てが歴史に飲み込まれ省略されそして消えていったとしても、それでも書いた物語さえ残せれば良いと。 少女は首都へと向かい、女性は小説家になってはならないこの時代、この国で、物語を書き始めた。

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第6話 『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

目次/あらすじはこちら 今回より文字数が増えます。いつも読んでくださりありがとうございます。 ♢ 「なんだか色々ありましたが結果的には良かったですね」 「絶対墨入れられるだろうって覚悟してたのにな♡…それにしても俺たちの足止めで助かったってどういうことだ♡?」 「ああ……たしかに……そう……言っていたな……最初らへんに……」 「俺はもう疲れた…とりあえずなんか食おうぜ」 「デイビッドお前が1番絡まれてたもんな!」 「(笑)」 街に降り立ったシャーロット、メリ

    • 第5話 『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

      目次/あらすじはこちら ♢ 「僕はッ!!感動したよ!!今までで1番素晴らしい日だッ!!」 シャーロットですらげんなりとした顔になって、目の前で褒め続けている美丈夫を眺めた。 ♢ 城壁には警備兵が多数おり、案の定街に入る前に止められた。 ひぃっと怯えてガタガタと震えているメリル、ロビー、スウェン、ティオ。 4人ともシャーロットの後ろに隠れている。まだ15にもならない少女の後ろに隠れているなど、あまりにも滑稽で仕方ない姿だが────シャーロットの後ろほど安心するもの

      • 第4話 『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

        目次/あらすじはこちら ♢ 「こっちが町だぞ♡」 「メリル……お前多分……これから先ずっと……その語尾になると思うぞ」 「それがいいそれがいい。似合ってる」 「どういう意味だお前♡」 シャーロットと5人は町へ向かって歩き始めた。 すっかり語尾が今までずっとそれだったかのように馴染んでいるメリル。そのことをティオが指摘すると、それにロビーが悪ふざけで乗っかり、わははと笑う。 シャーロットの隣でぺらぺらと喋っていたメリルだったが、悪ふざけをしてきたロビーの隣に行

        • 第3話 『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

          目次/あらすじはこちら ♢ 「護衛?」 「そうです」 シャーロットの発言に、盗賊たちは顔を見合わせる。一番最初に口を開いたのはティオだった。 「護衛は……その……シャーロットにはいらないと……思うんだが……」 至極もっともである。 盗賊たちの目の前でシャーロットは図体のでかいデイビッドを吹き飛ばしたのだ。 しかしシャーロットは首を横に振って、薄く笑う。 「わたしは、女です。わたしは一人でスタート時点に立てません」 その発言を受けて、おろおろとしたのはデイビ

        第6話 『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

        • 第5話 『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

        • 第4話 『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

        • 第3話 『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

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        • 少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜
          8本

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          目次『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

          目次 エピローグ 第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 あらすじ とある辺鄙な村で、勇者が誕生した。 名前はゼド。彼は村を旅立っていき、壮大な冒険が始まっていく。 ───しかし、この物語の主人公は勇者では無い。 村を去っていく勇者の背中を眺める、勇者の幼馴染こそが主人公である。 少女は死の訪れが怖い。自分の名前が、存在が、何もかもが無くなることが怖い。 たとえ自分の全てが歴史に飲み込まれ省略されそして消えていったとしても、それでも書いた物語さえ残せれば良いと。

          目次『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

          第2話 『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

          目次/あらすじはこちら ♢ 「デイビッド♡起きたのか♡」 「メリル!?どうしたお前!?」 主人公であるシャーロットが絡んできた盗賊の1人であるデイビッドを吹き飛ばし、その後なんやかんやあってデイビッドの意識が戻った。 ちなみに、そのなんやかんやの間でメリルは語尾に♡を付けるようになったことを補足しておく。 「いってぇ……クソっ、てめぇがやったのか!殺すぞ!」 「やめておけ……デイビッド。……俺らは見逃してもらったんだ……」 愉快な盗賊たちの一人であるティオが、

          第2話 『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

          第1話 『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

          目次/あらすじはこちら ♢ 「…本気なのね?」 「うん」 勇者旅立ちから1ヶ月後。 シッツォ村から、また一人旅立とうとしていた。 「ゼド君がいなくなっても…ほら、歳が近い男性は他にもいるでしょうに」 「…わたしは、ゼドがいなくなったからじゃあ他の人で、って思えないから」 「……そうはいっても、ねえ……?」 勇者の幼馴染と、勇者となったゼドは歳が1番近くて、いつも共に居た。 村の存命のサイクルに組み込まれ、大人になったら結婚して子供を産んで……そういうものだっ

          第1話 『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

          エピローグ『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』

          目次/あらすじはこちら ♢ ここは魔法王国ガテルミシアのシッツォ村。 いつもはのんびりとした時間が流れる村だったが、今日だけは違った。 王国からの使者が訪れていたからである。 「ねえ、何?どうしたの?」 ざわめきが溢れる村の広場にて、茶髪の少女は不安そうに隣の金髪の少年に話しかける。 どうやらその少女は村に起こった非日常にようやく気づき、来たばかりのようである。 泥まみれではあるものの、整った顔立ちの少年は目を爛々と輝かせて、少女に告げる。 「この村に勇者がいるら

          エピローグ『少女の物語の開幕〜勇者の幼馴染は小説家になりたい〜』