見出し画像

「高胡」弦レビュー!コスパに優れた星海牌

東京で二胡・中国音楽の合奏をレッスンしている「創樂社」主宰の安西創(あんざいはじめ)です。

好評の二胡弦レビューに続き、高胡の弦もレビューしてみる事にします。二胡より高音域を担当する中国の民族楽器「高胡」の日本での演奏人口はとても少ないので、当然ながら日本語の情報発信は殆どありません。けれども高胡に親しむ人に増えて欲しくて活動している私としては、一念発起して日本語の記事を書く事にしたという訳です。

縁あって高胡をたまたま手にした人も、元から楽器に付いてきた弦をを何となく使っている事が多いと思いますが、ぜひ参考にしてみてください。もちろん高胡も様々なメーカーが色んな価格帯の製品を出していて、何を基準に買えば良いのか大いに迷うところ。そんな訳で、私なりに使ってみた弦の感想をレビューしてみます。どのメーカーも素晴らしい製品を努力して作っている事に変わりありませんし、使っている楽器や駒などのセッティングや弓、弾き癖などによって違ってきますから、あくまで個人の感想ということを踏まえて参考にしてもらえたら幸いです。

高胡という楽器についての説明はこちらの記事をご参照ください↓

なお、値段は日本国内で入手するのか、はたまた海外から通販で輸入するのかなどによってバラつきがありますので、記事中に値段に関する記述があっても最安値を保証するものではありませんのでご了承ください。

さて、高胡のトップバッターは…

現行のパッケージ。昔から変わらぬ安心のデザインです!

【北京星海】印の高胡弦をレビューします。

この高胡弦は日本に限らず、多くの場所で恐らく最も入手し易く流通していると思われるので、最初に持って来ました。こちら北京の老舗楽器ブランド「星海牌」は、総合楽器メーカーとして実に様々な楽器を生産していて(我が家にも星海の揚琴と秦琴があります!)、それに伴って消費される各種楽器の弦も多数生産しています。高級化の傾向がある他社製品に比べてリーズナブルな価格設定で、二胡に比べて外弦が切れやすい高胡にはとても頼もしい味方と言えるでしょう。

【弦の太さ】パッケージに記載なし。演奏した感じでは内弦、外弦共にやや細めな印象。パッケージにある「里弦(裡弦)」が太い内弦の事です。因みに一般的な広東音楽での高胡の調弦は外弦D(二胡の内弦の1オクターブ上)、内弦Gです。

【参考価格】税込660円

【個人的コメント】高胡には民族楽器のアンサンブルで高音パートを担当するポジションの「改良型の高胡」と、廣東音樂や粤劇の伴奏などに使う「広東高胡」があります。両者は似て非なる物で、演奏コンセプトがかなり違います。圧倒的多数は普段二胡を演奏している皆さんが改良高胡を手にしているケースだと思いますが、私は広東高胡しか弾かないのでそれを基準にコメントしています。

両者の違いの一つに広東高胡に求められる独奏のポテンシャルがあると思います。小編成のアンサンブルをリードするポジションの広東高胡は、アンサンブルの一員で高音パートである高胡とは違ってある程度の「馬力」が絶対に必要です。その点に於いて、この弦は張って直ぐに馴染むしかなりの高音域までキラキラ華やかで、音痩せせずにとても良いのですが、内弦の音はちょっと軽めな気がします。私の好みとしては内弦はもうちょっと重くて粘りがある音色の方がニュアンスが出るかな…と思うのです。が、しかし!この値段でこのクオリティ。弓に対する反応も良いし総合点では申し分ないポテンシャルではないでしょうか。つまり、迷わずまとめ買いしておけば良いと思います。バラで買えるなら、切れやすい外弦を多めに買いましょう。

【長持ちのためのワンポイントアドバイス】
先ほど外弦が切れやすいと述べましたが、高胡はテンションが高いため強く張りっぱなしにすると割と高い頻度で自然に切れてしまいますので、演奏後、弦を少し緩めておいた方が長持ちすると思います。

同社往年のパッケージ。二胡界の重鎮「王国潼」氏の監製とあります。パッケージデザインは同じですが、楽器によって色が違うので間違えにくくなってます!
比較参考・星海ブランドの二泉琴(低音二胡)弦。高胡と違ってこちらは、独特な中間色が目を引く緑色のパッケージです。

参考になったらぜひイイねとコメント、またアカウントのフォローをお願いします!高胡に触れてみたい方、廣東音樂に興味がある方のご連絡もお待ちしてます!

いつも温かいサポートをどうもありがとうございます。お陰様で音楽活動を続けられます!