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シーケンスのアレコレ

シークエンス(sequence)、シークエンシング(sequencing)は、一般には「連続」「順序」という意味を持つ。シークェンス、シーケンスともいう。

プログラミング用語では「あらかじめ決められた順序で処理を行うこと」を意味する語句で、おもに制御の分野で用いられる。

wikiより

というような意味合いなんですが、バンド界隈でシーケンスというのは生の演奏とは別に、あらかじめ作ってある音源に合わせて演奏するいわゆる「同期演奏」のことを差します。「同期」と略したり「オケ」とか、「打ち込み」とか言ったりもします。ドラムレスでリズムマシンを使うのもこれです。

バンドメンバーが出すアンサンブル以外の音を足したい時等に使われており、最近はDAWの普及により手軽に音源が作れるようになってきてるし、良質なMTRやPCとオーディオインターフェイス等の再生媒体も手軽に使えるような時代ですので、割と身近な存在になってきてるのではないでしょうか。
実際使っているバンドも昔に比べたらかなり増えたと思います。

リクエストがあったのはシーケンスを取り入れるとしたら何を注意すべきかという事でしたので、思い付く限りザッと上げてみます。

まずシーケンス音源を作るところから始めるわけですが、入れたい音を打ち込んだり、録音したりと、ほぼレコーディングと変わらない作業だと思います。DAWが一般的に普及されてきたとはいえ、レコーディングをDIYで行うのはなかなかハードルが高く、ある程度レコーディングに関する知識や経験があるのとないのでは作業効率も仕上がりのクオリティもかなり違ってくると思います。
なので、そもそも大変な作業だということを予め解った上で取り掛かることをオススメします(笑)

以前楽器の音を作り込む話の時にも言いましたが、家、スタジオ、ライブハウスと鳴らせる音量によって聴こえ方はかなり変わってきますし、ヘッドホンで聴くのとスピーカーで鳴らすのでは全く聴こえ方が変わるので、音量を出せない環境下で作り込まなければならない場合の方が多いとは思いますが、やはりヘッドホンやイヤホンだけで音源を作り込まず、スタジオ等でバンドと合わせながら仕上げた方がいいと思われます。
そして現場で再生用に使われているのは大体の場合MTRか、DAWソフトの入ったPCが用いられてますが、この時にまず注意して欲しいのが、作った音源は2トラックにミックスダウンせずに、ある程度トラック分けをしておき、各音源の音量や音像を調整を出来るようにしておいた方がいいと思います。
PAに送るアウトがステレオLRの2回線だからといって2ミックスにパッケージしなければならないということはありません。むしろトラックごとの調整を出来るようにする為のMTRです。
なぜトラックを分けたままの方がいいかというと、実際ライブ会場で他の生楽器と共にPAを通して鳴らして聴こえ方が思ってる感じと違った場合に調整が出来るからです。
バンドのアンサンブルの後ろでシンセの音をうすく漂わせるみたいな場合のシーケンスはまだいいですが、ギターのバッキングやツインリードのハモリだとか、ボーカルのハモりだとかシンガロングだったりとか、バンドのアンサンブルと絡んでくる内容があった場合に思ってたバランスで鳴ってなかったらトラック別に調整出来ないとどうにもなりません。
また、ドラムの変わりにリズムトラックを使う場合でも、バスドラム、スネア、ハイハット等トラック別に調整出来た方がよりバンドに合ったPAミキシングが出来ると思います。
同様に音源のエフェクト処理やイコライジング等も会場でPAさんと相談しながら行った方が確実ですし、おそらくスムーズに行くと思います。
マルチアウトの機材を使って各音源を単品ごとにPAに送って全てPAミキサーで調整してもらうということも可能…なんですが、PAミキサーのスペックや当日の回線数等、PAサイドの都合もありますからマルチアウトしたい場合は会場のPAさんに事前に相談しておきましょう。
あと、PCのスペックがいっぱいいっぱいだと再生中にフリーズする事がありますので要注意です。

そして1番の懸念点は、これも以前言いましたが対バンイベントはリハーサル時間が非常にタイトです。なかなかライブ同様の音量レベルで、外音を交えて同期を鳴らす機会がないとは思うのでライブのリハーサルで全て確認・調整出来ればそれこそ一石二鳥なのですが、全曲シーケンス有りでチェックも兼ねてリハーサルをしようとすると時間が全く足りないと思われます。
多少の調整で済むならまだしも、曲によってシーケンスの音量レベルがバラバラだったり、何かしらのトラブルが起きたりするとまともに調整できないままリハーサル時間が終わります。
ですので、何回か現場ですり合わせていくか、思い切って近い環境で音を出せるような機会を設けてしっかりと調整する時間を作るのがいいかなと思います。


シーケンス演奏は音源に合わせて演奏するわけですから、音源と演奏がズレてしまってはいけません。
ドラムやドラムの代わりになるリズムトラックも音源として流す場合はいいですが、ドラムが居る場合、ドラムの人はシーケンスと同期したクリックを聴きながら演奏しなければならないため
PAに送る音源トラックと別にクリック音をドラマーに送る回線が要ります(MTRから直接行ける場合もありますが、使うMTRやオーディオインターフェイスによって方法は変わります。ない場合はクリックを再生するヘッドホンアンプやイヤーモニターも一式要ります)。
どうせイヤホン使うなら返しのモニターもイヤモニにしてしまうのも手ですが、これもPAサイドの都合があるので事前に相談しておきましょう。

シーケンスはメンバー以外に様々な音を流してくれて、楽曲の可能性を色々と広げてくれますが、音数が増えれば増えるほど各音の解像度は低くなり、使い方によっては楽曲のアンサンブルを崩してしまうこともあります。
例えばレコーディングの時は重ねて入れたフレーズなどがあったとしてもそれがライブでも鳴ってなければいけないということもありませんし、何でも出来ますが必要以上に要らない音を入れ込まないのも大事な事だと思います。

長くなりましたが、この辺で!ではまた!

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