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コロナ禍でのM&Aによる完全子会社化から1年。POKKT創業者2人が語るこれまでとこれから

今から約1年前に当たる2020年の3月、AnyMind Group(以下、AnyMind)はインドを拠点とするスマートフォン向け動画広告プラットフォームを主事業とする「POKKT Mobile Ads」のM&Aによる完全子会社化を発表しました。

そして、時は新型コロナウィルスの影響真っ只中。
インドにおいても新型コロナウィルスの影響は日本と同様、むしろそれを超える深刻な経済被害をもたらしました。

そんな中で、実現に漕ぎ着けた本M&Aのディールとその後の事業統合はAnyMindにとっても大きなターニングポイントとなりました。

今回はPOKKTの創業者であり、現在AnyMind全体のCOOを務めるRohit Sharma(以下、Rohit)、そして同じくPOKKT共同創業者であり、現在AnyMind全体の取締役を務めるVaibhav Odhekar(以下、Vaibhav)に、事業統合までの経緯やカルチャーフィット、AnyMindのリーダー陣、事業シナジー、そして今後の展望について聞いてみました。

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(左:Rohit 右:Vaibhav)

想定以上にスムーズに進んだPMIとカルチャーフィット

当初、新型コロナウィルスの影響で合併後の統合(PMI)に不安を感じていたRohit、Vaibhavは、今回のPMIが想像以上にスムーズに進んだことに驚きを隠しきれなかったという。

VaibhavはPOKKTのメンバーの様子についてこう語る。

Vaibhav
「今回のPMIでは全体を通して、非常にスムーズに”こと”が進みました。POKKT 内部のメンバーの反対やPMIに伴うストレスもほとんどなく、あくまで自然な流れでの事業統合を実現することができたと思っています。

カルチャーフィットもスムーズで、企業としての考え方にも大きなギャップはなく、短い期間ではありますが、POKKTメンバーの足並みは揃っています。AnyMindのメンバーともすでに良い関係性が築けています。」


また、Rohitは経営陣参画後の自身の役割に関して、早速これまでの経験が活きていることに大きな自信を持っているという。

Rohit
「私とVaibhavは、AnyMindと同じくインド・中東・東南アジアなど、複数の市場で事業を行っていた経験があるので、誰にどのような責任を持ってもらい、どのように管轄するのか、という”責任の明確化”には長けていると自負していて、これまでの経験がAnyMindのマネジメントチームの中でもうまく機能していると考えています。

”私たちはAnyMindの急成長を支え、加速させる。”
という共通のビジョンのもと、同じ船に乗っているという気持ちで毎日を過ごしているので、文化的な違いやその他のことは一切障害にはなっておらず、常に成長に対する貢献をしていくという同じ目的の元、事業に向き合うことができていると思っています。」


そして、Vaibhavは取締役のメンバーがそれぞれ長所を活かし、短所がカバーできている点が、AnyMindの強みの一つであると語る。

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Vaibhav
「私がAnyMindのマネジメントチームの一員として感じるのは、各メンバーの強みと弱みが明確に定義されているということです。Sogo(CEO十河)、Oto(CCO小堤)、Keizo(CFO大川)そして、Rohitと私の5人はそれぞれのキャラクターや強みを深いレベルで相互に理解しています。
それでいて、かつ5人の関係性は非常にフラットです。

”ここは変える必要がある”、”今、改善を図るべき点はここだ”と、非常にクリアなフィードバックがお互いにできていて、とても良い関係性で仕事ができています。」

さらにRohitはAnyMindの体制についてこう付け加える。

Rohit
「この会社の取締役の中で私とVaibhav以外の3名は日本人ですが、企業として考えると”典型的な日本企業”とは一線を画しています。
十河のビジョンは創業当初からグローバルな組織を作ることであり、常に”Think Global”の考えの元にチーム作りをしています。」


クロスボーダーで事業を展開する2社だからこそ実現できたスムーズな連携

この世に同じPMIは2つと存在せず、異なるメンバー、チーム、サービス・事業を1つにまとめるのが真の”事業統合”です。

今回の事業統合に向けて立ちはだかった難局、そしてそんな中での”適応”について、Rohitはこう語る。

Rohit
「今回のプロジェクトを通して、なんの難しさもなかったというのは嘘になります。言うまでもないのですが、最も苦労させられたのはコロナの影響で海外へ行くこともできず、Face to Faceでのやりとりもできなかったことで、本当に大変でした。
しかし、POKKTもAnyMindも常にリモートでのマネジメントには慣れており、似通った市場で事業を展開しているため、異なる文化に対する理解度やマーケットによるニュアンスの違いを把握することに対する”適応力”という面では非常に高いレベルにあると感じています。

そして、文化理解のレベルの高さは私たち自身にも直接影響していると思っています。
今回の子会社化のプロセスを通じて、AnyMindの取締役をはじめとするマネジメントチーム、そしてAnyMindのメンバーたちが、私たちを”よそ者”扱いせず、フラットに見てくれたことに関しては今も深く感謝しています。」


ソリューションのシナジーによって、すぐに生まれた大きなインパクト

今回の経営統合が決まった当初、両社の間にはデジタルマーケティング領域の大きなシナジーがあることはすでに明らかでした。

統合後、実際にPOKKTが提供するスマートフォン向け広告と、AnyMindのインフルエンサーマーケティングやパブリッシャー向け収益化支援などのソリューションを組み合わさったことで、両社のクライアントに向けて、さらなる価値提供を行うことが可能になりました。

また、Vaibhavは早いタイミングでの事業連携を目的としたAnyMind各事業部からの説明会や研修が、POKKTのビジネスにすぐに大きなインパクトをもたらしたと語る。

Vaibhav
「M&Aを発表した3月以降、Hitoshiさん(パブリッシャーグロース事業統括 丸山仁)や、Kahoさん(AnyMind Japan インフルエンサーマーケティング事業部長)がそれぞれのプラットフォームの説明やトレーニングをスピーディに実施してくれました。

その後、POKKTチームで代理店向けセールス責任者を務めていたAditya Aimaが、6ヶ月間で各市場の広告代理店向けにAnyMindのソリューションを紹介し、早速複数社との新領域での取り組みを開始することができました。また、既存クライアント向けの営業活動だけでなく、インドと中東における、AnyTagの立ち上げができたことも一つの大きな成果だったと言えます。」


さらにRohitは、昨年3月の統合直後の取締役会でシェアされたシナジー創出目標の進捗について語る。

Rohit
「経営陣の中で今後目指すべきシナジーを書き出しましたが、1年が経った今、その90%については達成できる見通しが立っている、もしくは着手が始まっている段階です。」


今後の展開:インド・中東からさらなる可能性を見据えて

デジタルマーケティング領域への予算規模拡大やコンテンツの多様化、Eコマース利用増加など、急激に進むデジタル化時代の進化の中でのAnyMindの立ち位置について、最後にRohitはこう語った。

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Rohit
「AnyMindは、今アジアを起点に、世界で最も急速に成長しているデジタル企業のひとつであることは疑う余地もありません。創業5年の間に複数の企業を買収していますが、その度に機能と市場を拡大し、全てがうまくワークしています。

さらに2020年に本格進出したD2C領域の事業においても、各市場で非常に有力なプレイヤーとなっており、Webマーケティング、インフルエンサーマーケティング、そしてPOKKTのスマートフォン向けマーケティングなどと連携させていくことで、幅広いユーザー・クライアントとのタッチポイントを創出することができるようになっています。

そして、AnyMindの展開するビジネスはこれまでの東南アジアや中華圏と同様、中東やインドでもしっかりニーズに答えることができはじめています。今後もグループ全体で、さらに提供価値拡大を追求していくことで、さらなる成長を続けていけると私は確信しています。」


インタビュー動画のFULL Ver.はこちらから(英語)

訳・文・編/ カザマモトヒロ(Communications)
English ver:


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