【初級編】フリーミアムモデルにおけるカスタマーサクセスのKPI設計
こんにちは。チバシゲです。
前回(と言っても2年ほど前・・・)、事業企画・事業開発のスキルについてダラダラと書いたところ100を超えるスキをいただきまして、改めてnoteってすごいなあと感じております。
さて、前回の投稿から色々ありまして、現在はChatworkにて、カスタマーサクセス領域におけるマーケティング部隊(カスタマーマーケティング部)の立ち上げをやっております。
元来は事業企画/事業開発畑の人間なので、アサインいただいた当時は「ふぁっ!?カスタマーサクセス?ましてやその中でもマーケティング領域??」みたいな感じで、それこそnoteでカスタマーサクセスやカスタマーマーケティングに関する記事を漁っていました。
しかし、「フリーミアムモデル」×「SaaSのカスタマーサクセス」というピンポイントの内容がほぼなかったので、自分で実験し、生み出すことにしました。
結果、KPIの作り方についてはある程度汎用的な型ができたと思っているので、その内容を公開したいと思います。
ちなみに今回【初級編】としていますが、どこまで細かくKPIを管理運用できるかは各会社や事業の状況によって異りますので、どの事業でも実現できそうな【初級編】と、ある程度体制が整った事業でのみ実現できそうな【中級編】に分けて記事を公開していきたいと思います。
フリーミアムモデルSaaSにおけるカスタマーサクセスの範囲
まず、一般論としてのSaaSのカスタマーサクセスは「有料でサービスを購入してから」が始点となります。しかし、フリーミアムモデルの顧客体験のスタートは「無料でサービスを開始してから」ということになりますので、カスタマーサクセスの範囲としては無料で使うユーザーも含まれます。
なので、カスタマーサクセスの2大役割である
解約を防止すること
アップセル/クロスセルをすること(ネガティブチャーン)
の他に
無料ユーザーを有料化させること
という重要な役割も必要になってきますし、むしろ力学的にはそこが一番重要になります。
ユーザーインキュベーションファネルについて
では、それをどういうKPI設計で定義するかというと、まず下記のようなユーザー階層の型を使うと良いと思います。
Chatworkのカスタマーマーケティング部では下記をユーザーインキュベーションファネルと呼んでいました。
それぞれの定義は言葉まんまのものもありますが、以下各ファネル毎のユーザーの状態説明です。
VISIT
サービス登録ページに到達した状態SINGUP
サービス登録が完了し、サービス利用が開始されている状態ONBOARD
MAUの50%以上が共通しているサービス利用状態ACTIVE
毎月約1.5%~3.0%くらいが課金するサービスの利用状態PAID
無料→有料登録した状態(50%以上はACTIVEファネルを通過している)UTILIZE
有料ユーザーのMAUのうち50%以上が共通しているサービス利用状態SHARE
サービスの活用度が高く、他のユーザーを呼び込んでくれている状態
上記のうち、事業によって定義を決めなければいけないのは、「ONBOARD」「ACTIVE」「UTILIZE」の3要素です。
「ONBOARD」や「UTILIZE」の定義である
というのはユーザーを調べれば大体定義できると思うのですが、「ACTIVE」の定義である
という部分がクセモノで、いわゆる「Product Qualified Lead」に近しいものですが、無料でサービスを使いながら、特定機能を一定レベルで使っており、ログイン率をある程度担保しながらサービスの価値を感じていただいるという複数要素が足された状態です。(この掛け算が結構試行錯誤します)
「ACTIVE」ファネル経由の課金率として1.5%~3.0%が個人的にはちょうど良いのではないかと思っているのですが、これが10%だと範囲を狭めすぎている(逆にいうとそのファネルに入らなかったユーザーのマーケティングが非効率になる)と感じています。
また、「ACTIVE」ファネルの範囲基準値として、毎月の「PAID」ファネルに到達したユーザーのうち、50%以上は経由しているというのが良い塩梅の基準値なんじゃないかと思っています。
Chatworkにおける具体の定義は内部情報なので公開できないので、一部抽象的な表現になってしまいましたが、こちらのユーザーインキュベーションファネルは「SaaSフリーミアムモデル」においてはほぼ共通して使えるものですので、是非ご活用ください!
SaaSのメトリクスやKPI設計は、所謂「事業推進の方程式」でありますが、奥が深く日々変化していくものだと思いますので、ご興味を持っていただけましたら是非ディスカッションさせていただけますと幸いです!
では!
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