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2021年ベストアルバム30選

洋楽だけで。カウントダウン形式ですがあまり関係ないです。上位の方は確定って感じで。
なんというか体系として音楽を捉える癖があってそれを追体験してもらいやすいよう、文章内のアーティスト名には(説明不要と思われるものにも)YouTubeのリンクを貼っています。

30、Pale Waves / Who Am I ?

出たときは結構繰り返し聴いてたけど、だんだん埋もれていってしまった感。アヴリル・ラヴィーンの時代の匂いをそのまま感じられるアルバム。

29、N0V3L / Non Fiction

N0V3Lでノヴェルと読むらしい。カナダのミニマル・ポストパンク・バンドのデビュー作。鋭利なカッティングギターは言わずもがな、時折入るサックスがより妖しさを出している。

28、Courtney Barnett / Things Take Time, Take Time

今までオルタナとかグランジっぽいイメージだったけどローファイやベッドルームポップに寄せてきてる感があって聴きやすかった。そんな中でも尖ったアレンジの”Turning Green”が1番好き。

27、The Ophelias / Crocus

アコースティックギターのストロークとストリングスアレンジが高揚感をもたらす”Sacritifical Lamb”を筆頭にインディポップとクラシックをつなげるような楽曲を収録。

26、Mae Powell / Both Ways Brighter

70年代シンガーソングライターを想起させつつKate Bollingerばりのメロウさを放つMae Powellのデビュー作。声がブラジルのAna Frango Eletricoに似ている。Faye Webster好きにもハマるのでは。

25、Japanese Breakfast / Jubilee

Japanese Breakfastをちゃんと聴いたのはこのアルバムが初だったけれど、もちろんものすごく後悔した。そして彼女がサントラを手がけたゲーム”Sable”をやりたいけどできる環境がないことに悶々としている。

24、The Goon Sax / Mirror Ⅱ

曲によってボーカルが変わる男女三人組バンド。ゴスに寄ったヴァセリンズ?な”In The Stone”やネオアコとシューゲイザーを歪に合体させたようだけどもポップなTagなどDIYヘンテコインディポップ。

23、Nia Wyn / Take a Seat

ネオソウル・シンガーソングライターNia WynのEP。少ししゃがれたストレンジボイスは70年代ソウルやロックンロールへの憧憬を持つものとしてはときめかざるを得ない。

22、Izy / Irene

こちらもネオソウルバンド。ミニマルで研ぎ澄まされた演奏によるグルーヴは隙のない心地よさ。聴いていると何となく贅沢をしている気分になる。

21、La Femme / Paradigmes

フランスのサイケデリック・ロックバンド。前作から女性ボーカリストが加入し一気に幅が広がりポップに。LIOMylène Farmerを彷彿させるフレンチポップやDAFのようなエレクトロ・ニューウェーブ、ドリームポップ、モリコーネ風のインストにシンセと高速バンジョーの謎曲など、とっ散らかった感が愛おしく楽しい。

20、Mina Okabe / Better Days

日本名だけどデンマークのレーベルからLPを出しているのでその辺の人なのかもしれない。Yumi ZoumaTOPSなどが好きな人は絶対に聴くべき。

19、Lily Konigsberg / Lily We Need to Talk Now

ベッドルーム・ポップとローファイ・バンド・サウンドを交互に繰り出すアルバムだがメロディラインの堅実さが好感度高い。米インディバンドAmy O(このバンドも是非聴いてほしい)に通ずる奔放さが最高。

18、black midi / Cavalcade

先行曲”John L”から「ヤベェ」と思ってたらアルバムもヤバくて繰り返し聴くには少し重かった。余談だが、1stで売れて2ndでスケールアップするアーティストは洋邦問わず多いけれど日本の失敗率に比べて海外は大方成功している気がする。

17、Crumb / Ice Melt

ドリーミーな音像とタイトなドラムの対比が幻惑的。蕩けるようなサイケ・ドリームポップで前作からより進化し固有の世界観を確立した。

16、Men I Trast / Untourable Album

ツアーしないと銘打たれたアルバムだが一応ツアーが決まったらしい。相変わらずのメロウ・ドリーミーさだが、考えてみればボーカルのEmmaが加入して最初のアルバムである前作は編集盤的であるのに対して今作はしっかりと”アルバム”として制作されている、というのが感慨深いことでもあり、聴きごたえのある要素でもある。

15、Morly / 'Til I Start Speaking

最初に聴いたときにかなり衝撃を受けたアルバムだが、私が知る限りではあまり話題に上がっておらず意外に思った。情感に溢れた表現力のあるボーカル、それを支えるシンプルながら芯の太いピアノ、ベース、ドラム。効果的に雰囲気を増幅させるサウンドエフェクト。今聴かれるべきアルバムだと思った。

14、Colleen Green / Cool

The Strokes初期作品のプロデューサー、ゴードン・ラファエルを迎えたこともあり、ギターの掛け合いがアルバムタイトル通りとてもCOOL。

13、Do Nothing / The EP'S

UK新鋭ポストパンクバンドのEP2枚をまとめたもの。武骨さとスマートなアート性を併せ持っており、Franz Ferdinandのようなユーモア性もあるような気がする。

12、The Marías / CINEMA

これまでEPや多数のシングルを発表してきたThe Maríasの初のフルアルバムだが、ここまでコンセプチュアルにしてきたことに驚きと好感を憶えた。映画音楽的インストから始まり”Calling U Back”のディストーションのかかった歌い出しで心を掴まれる。ボーカルがプエルトリコ出身ということもあり時折顔を出すラテン要素も重要なエッセンスである。あえてラテン色強めの選曲で。

11、Arlo Parks / Collapsed in Sunbeams

年末になって改めて聴き返したらめちゃくちゃいいなと思った。アレンジが良すぎる。”Hope”のドラムの音が好き。

10、Francis Lung / Miracle

ポール・マッカートニートッド・ラングレンエリオット・スミス、あとジェイソン・フォークナーなどのソングライターの系譜に位置するべき存在、Francis Lung。各所に感じるジョン、ポールへのオマージュとそれを差し引いても良すぎるメロディ揃い。めちゃくちゃエリオット・スミスな”Say So”をどうぞ。

9、Still Corners / The Last Exit

SFや荒野を思わせるシンセ/ドリーミー・フォーク。白昼夢サイケとも評されるようにどこかへ連れて行かれるような壮大な感覚に包まれる。

8、Snail Mail / Valentine

3年ぶりにリリースされた新作はかなりスケールアップしていたが、根幹は揺るぎなく密度の濃いアルバムだった。次はこんなに待たせないでくれ。

7、Kaylee Elizabeth / Playing With Fire

曲が良すぎる。ほんとに新人なのかと思うほどの貫禄。基本メロディ重視の聴き方をしている私にとってはスティーヴィー・ニックス系のストライクど真ん中。曲順によっては1位だったかもしれない。

6、Water From Your Eyes / Structure

ソフトロック系のインディポップなのかと思いきやそれは1曲目だけで、実際はエレクトロニックでエクスペリメンタルでアンビエントなアルバム。是非その驚きと最後まで聴いた後に訪れる美しい余韻を味わっていただきたい。

5、Jeb Loy Nichols / Jeb Loy

アリ・アップ(ex-The SlitsNew Age Steppers)やエイドリアン・シャーウッドなどON-U界隈の人と繋がりがあるらしいがレゲエというわけではなく、良質なサザン・ソウル。枯れたボーカルは渋かっこいいし、ハモンドやブラスの入ったアレンジは70年代ソウルの雰囲気がムンムン漂っている。雑味のあるドラムの音は2021年ベストドラムサウンド。

4、FUR / When You Walk Away

オールディーズ・ポップやグラムロック的アプローチの幸福度の高い楽曲は、ポストパンクが席巻するUKシーンにおいて今や貴重な存在かもしれない。月刊レビューでも書いたが、The Lemon Twigs毛皮のマリーズボヘミアンズが好きならば聴いてほしいバンド。

3、Jordana & TV Girl / Summer's Over

2020年にデビューアルバムを出した女性シンガーソングライターJordanaとサンプリング・ポップ・ユニットTV GirlsによるコラボEP。リゾート感とどことない無国籍感があり靄のかかったドリーミーさが病みつきになる。サンプリングの点だけかもしれないがCornershopと似てるかも。1曲目は最近私の目覚まし曲。

2、Claire / Sling

ベッドルーム・ポップや宅録女子と言われていたデビュー作から一転、バンドサウンドでアコースティックな要素の強い2ndアルバムに驚いた人は私だけではないはず。しかし1stの頃からソングライティング自体はバカラックやポールっぽくもあったし、”Sofia”なんかは”夢見るシャンソン人形”のオマージュと取れなくもない。キャッチーさにおいて1stよりもリスナーは減ってしまった可能性はあるが、彼女の目指す方向性がこういう音なのだとしたら古いポップス好きとしては喜ばしいことだ。

1、Dry Cleaning / New Long Leg

もともと注目していたバンドがこうして各所で話題になっているのを見ると、決して正しくはない嬉しさが込み上げてくる。そういう私情を挟んだ1位。メロディ重視の聴き方とか言ってたやつが選ぶのがメロディのほとんどないスポークンワード。しかしその言葉の乗せ方がなんだか妙に高揚するというか、次々に展開するギターフレーズと合わさることで不思議な興奮が生まれるのだ。

以下は2021年にいいなと思った50曲です。


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