風をこじらせる前に
ご存知の方も多いと思いますが、アーユルヴェーダの独特な考え方のひとつに、”トリ・ドーシャ”という理論があります。
・ヴァータ(空・風のエネルギー)
・ピッタ(火・水のエネルギー)
・カパ(水と地のエネルギー)
この3つのエネルギーは私たちの体の中でそれぞれ絶妙なバランスを取りながら存在しています。
ヴァータが多い人がいれば、カパが多い人も。
その人にとって最適なバランスが取れていれば、「いい感じかも」、「なんだか調子がいい」と感じるでしょうし、反対に食生活が乱れたり、仕事が忙しかったりすると、「最近なんだかなぁ」、「何かおかしい」と感じるかも知れません。
この段階で何らかの気づきがあって、セルフケアをしたり、しっかりとした休息を取ったり、かかりつけのサロンや鍼灸院でのお手当ができていたら、その不調の進行は妨げられることが多いです。
でも、「最近なんだかなぁ」、「何かおかしい」などのからだからの声をうまく汲み取ることができなかったり、「わかってはいるけどそれどころじゃないんだよね、こっちは」と鼻息が荒くなってしまったり、という状況が長く続くと、やがてはっきりと言語化できるような症状となって、それらの不調が表に現れてきます。
アーユルヴェーダでは病気の段階が全部で6つもあるんです(未病の段階でも4つあります)。西洋医学では、表層化〜慢性化し、何らかの診断名がつけられるものが「病気」です。
現代の働く女性の多くは、からだからの微細なメッセージにも気付くことができないほどに毎日とってもハードなので、ある日突然電池が切れたようになってしまうことも。
私はこれがいちばん心配なんです。
ご自分の体質を知って、体質に合ったセルフケアをすることはとっても大切なことですが、正直どうやってその体質を知るんだろう、という疑問が出てくると思います。
そこでちょっと気にかけてほしいドーシャがあります。それはヴァータ(風のエネルギー)。3つのドーシャのうちでいちばんケアされるべきドーシャがこのヴァータです。
ヴァータの異常による病気は3つのドーシャの中でいちばん多く、なおかつヴァータ・ドーシャの持つ「軽い」「動き」「変動性」などの特徴により、からだの中を縦横無尽に動きまわり、病気の元を拡散させてしまうのも得意です。
ですから、そのヴァータの尻尾をしっかり捕まえることが大切です。
私自身ヴァータが多い体質で、ヴァータにはいつもこころとからだをひっかき回されているので、どんな不調が現れたらヴァータが増えているな、と注意をしたら良いか、そしてどのように増えたヴァータを鎮静化させたら良いかをちょっとだけシェアしたいと思います。
【ヴァータが増えている時の特徴】
・ソワソワと地に足が付いていない感じ
・睡眠の質が悪くなる
・疲れやすくなる
・やつれた印象、または体重が減ってくる
・肌のくすみが気になってくる
・肌や髪が乾燥してくる
・普段より便秘がちになる
・おしゃべりになる
・優先順位がおかしいことになる
・首、肩などに凝りを感じる
・手足が冷えている感じ
・腰痛、関節痛などがあらわれる
・ついつい予定を詰め込み過活動気味になる(休めばいいのに!)
・起こってもいない先の不安がいつも以上に増す
・寂しさ、物悲しさ、鬱々とした気持ちになりがち
いかがでしょうか。以上にあげたような特徴にたくさん同感してしまったなら、ヴァータ(風)をこじらせる一歩手前かも知れません。
どうか、ご自分の大切なこころとからだのために、これらとは反対の行動や、その不調を鎮静化するような行動を取ってあげてくださいね。
例えば、便秘や凝り、痛みや便秘、冷えなどはあたたかくて消化に良い食事や、良質で、適度な油分のあるスープなどを摂ること、オイルマッサージ、ゆったりと湯船につかることなどで緩和されますし、心理的な不安感はヨガや呼吸法などで軽減されることもありますよ。
食事は体調を整えるとっても大事な基本の要素です。何をどう食べるか。カロリーや量ばかりを気にするより、出来立ての食事を、リラックス出来る環境で食べることが大切です。
それから、もうひとつだけ簡単なケア方法を紹介するとしたら、おすすめなのは「より優しい方を選ぶ」ということです。
例えば、カフェに行ってコーヒーとハーブティーが選択肢にあるなら、ハーブティーを。韓国料理と和食に迷ったら和食を。お休みの日にショッピングモールでデートとおうちでDVDならおうちデートを。
ヴァータは「動きたい」「もっと刺激を!」と言うでしょう。でも、その声をあやすように、なだめるように、よりマイルドな方を選択してくださいね。ヴァータをこじらせると厄介ですから。(体験談)
もし、ご自分の不調をアーユルヴェーダやヨガで整えたいという方は、アヌクローシャのContactからご連絡をください。オンラインでの体質相談を承っております。
もちろん、対処法は個人の不調の捉え方や状態により変わってきます。症状となってあらわれている場合は専門家によるケアが必要な場合もありますので、適切な方法を見つけていただくことを推奨します。
秋にはさらに増えがちなヴァータのエネルギー。どうかみなさまが風をこじらせませんように。
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