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TVドラマ『不適切にもほどがある!』第1話を見て、インドを感じた話(※ネタバレあり)

宮藤官九郎脚本のドラマ『不適切にもほどがある!』がめちゃくちゃおもしろい。

ギャグが多くて笑えるだけじゃなくて、昭和と令和を比べながら「大切なことってなに?」というあたたかいメッセージが込められているような気がします。

そして、私はこのドラマ第1話を見て、インドを感じたのです。

インドのイの字も出てこないこのドラマで。

ドラマを見た人はきっと「え?インド?なに言ってんの?」って思うでしょう。

まあまあ、ちょっと待って。

ゆっくりお茶でも飲みながら、ちょっと私の話を聞いてってくださいな。


令和と昭和のコントラスト

物語のはじまりは昭和61年、主人公は俳優・阿部サダヲが演じる体育教師。

主人公が勤務する学校では先生たちがタバコを吸い、
生徒たちに暴言を吐き、
野球部では今だったら「体罰」と言われるような指導がされ、
ビデオやカセットテープが登場し、
女子高生は聖子ちゃんカット。

……と冒頭から「これでもか」と昭和を彷彿とさせるものをたたみ込んでくる。

そして、なぜか令和にタイムスリップし、違いに戸惑いながらも「俺たちはこんな未来のためにがんばって働いてるんじゃねぇ!」と叫ぶ主人公。

と同時に、令和から昭和にタイムスリップした別のキャラクターが「まさか昭和がここまでひどかったとは」とため息をついているのが、強烈なコントラストでした。

昭和と令和を比較しながら、裏にはたくさんのメッセージを感じます。

爆笑しながら、でも考えさせられる。

いやぁ、クドカンってすごいですね。

ダイレクトなコミュニケーション

さあ、このドラマで私はなぜインドを感じたのか?を、お話ししましょう。

私は昭和と令和を交互に見せるこのドラマを見て、昭和時代にインドと似たような雰囲気を感じたのです。

たとえば、昭和時代にスマホはありませんでした。

家の電話に男から電話がかかってきて、女子高生の娘より先に父親(主人公)が出て会話を阻止する。

そして、娘は怒って自分の部屋へ。

こんな昔だったら当たり前の風景が、今では見られなくなりました。

おもしろいのが、この親子がしょっちゅう口喧嘩をしていても、会話がなくなったり関わらなくなったりすることはないんですよね。

スマホがないからリビングにある家の電話を使わざるを得なかったり、親の帰宅時間を聞いて確認しなければならなかったり(今だったらLINEでピュッと聞けちゃいますよね)。

そこには「不便だからこそ発生するコミュニケーション」がありました。

今だったら、子どものうちからスマホを持っていて、親は子どもがどこでなにをしているか、なかなかわかりにくいのではないでしょうか。

ドラマだから誇張している部分もあるかもしれないけれど、このドラマを見ながら「昔の日本ってこんなダイレクトなコミュニケーションだったんだな」と私は思ったのです。

なぜ私はインドを感じたのか

この「ダイレクトな」人との付き合い方が、私にインドを思い起こさせました。

インドは、スマホが普及した今もコミュニケーションが濃厚です。

人との距離が近く、知らない人でもフラットに話しかけるし、何よりも家族を大事にするインド人は家族間のつながりも非常に強い。

精神的にも身体的にも距離が近く、私が移動中の列車内で熱を出したときは、インド人の友達が膝枕をして頭をなでてくれたこともありました。

私は内心「恥ずかしいよ……」と思いながらも、日本でそんなことをされたことがなかったので、ちょっぴりうれしかったりして。

あたたかいインドの人々

私は都会のマンション育ちで、転勤族の父のもと転校を経験しました。物理的にも距離が離れていたので親戚付き合いもほとんどなく、隣に誰が住んでいるのかもわからないような環境で育ちました。

地域のお祭りや季節ごとの行事なども、ほとんど経験したことはありません。

でも、昨年一緒にインドに行った田舎育ちの友人は「懐かしい。昔はうちもこんな感じだった」と言うではありませんか。(私より年下だけど!)

その子の家は親戚とのつながりも強く、行事ごとで集まったり、助け合ったりするのが普通の環境で育ったようです。

インド人の人と人とのつながりや家族愛の強さ、宗教や地域の行事を大事にしているところを見て「懐かしい」と感じたみたい。

神様にお祈りするインド人

そう、今の日本社会はとっても便利になったけれど、便利と引き換えに人とのつながりはどんどん薄くなっている。

インドは今急激に発展しています。貧しくてテレビはなくても、スマホは持っているような人もいます。

スマホが普及したおかげで、ここ数年で電子決済やUberも急速に広がりました。Uberが普及したおかげで、「インド名物」の超めんどくさい値段交渉をする機会も減りました。

そんな中でも、インド人の特濃・こってりとしたコミュニケーションはいまだ健在なのです。

距離が近くて、暑苦しいインド人に嫌になることもあるし、めんどくさいと感じることもたくさんあります。

それでも、インドにいると「人間臭さ」をすごく感じられて、それが楽しいのです。

ドラマ『不適切にもほどがある!』で描かれている昭和の時代も、今から見るとダメな部分はいっぱいあります(タバコとか体罰とか)。

それでも、人同士が真っ向からぶつかり合っている姿が、私にはインドと重なって見えました。

インド人もよくケンカしています。でも、言い合ったあとはケロッとするんです。

そういうのを「人間らしいな」と思うのは私だけでしょうか。

ドラマを見た人は、きっと「懐かしいな。あの時代よかったな」と思う人もいるでしょう。

私は昭和をリアルに知っている世代ではないけれど、インドを通してその雰囲気を味わっているのだと、このドラマを見て思いました。

日本がなくしてしまったものが、インドにはまだ残っている。

そう思わずにはいられません。

このドラマがどうやって終結するのかわからないけど、インドを感じつつ楽しんでいこうと思います。

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