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"WORKING WEEK"の事。

1980年代前半、英国ロンドンにて、YOUNG MARBLE GIANTSのメンバーだったAlison Stuttonと、Z Block RecordsやReptile RanchのメンバーだったSpike、そしてギタリストのSimon Emmerson(後のSimon Booth)と共に結成されたのがWEEKENDでした。しかし、教師志望だったAlison Stuttonが脱退した事によりバンドはたった1枚のアルバム「La Varieté」を残して1983年に解散。元々ジャズ志向があったSimon Boothが、数々のジャズ・グループで演奏し、WEEKENDにも参加していたサックス奏者のLarry Stabbinsと共に結成したのがWORKING WEEKでした。WEEKENDでの活動の傍ら、曲作りを行っていた彼らは、すぐに音源の制作に取り掛かり、1984年にデビュー・シングル”Venceremos (We Will Win)”のリリースしています。ヴォーカリストが不在だったため、Robert Wyattと、Everything But The GirlのTracey Thorn、Claudia Figueroaがフィーチャリング・ヴォーカリストとして参加しています。

[Working Nights] (1985)

その後、女性シンガーのJuliet Robertsが加入して3人組となり、1985年にデビュー・アルバム”Working Nights”をリリースします。今作は、JAZZ、 、LATIN、 FUNKなどをミックスしたダンサブルでクールな傑作です。Marvin Gayeのカヴァー”Inner City Blues”、Julietがヴォーカリストとしての魅力と迫力を遺憾なく発揮したクール・ジャズの名曲”Sweet Nothing”、デビュー・シングル"Venceremos (We Will Win)"のヴォーカル再録ヴァ-ジョンなどが収録されています。スウィンギング・ロンドンから脈々と繋がる”ジャズで踊る”ムーヴメントを、ロック・サイドから実践したこの作品は、期を近くして盛り上がり始めるACID JAZZムーヴメントと無関係ではない気がします。1986年の2作目のアルバム”Compañeros”は、Captain Beefheartのカヴァー"Too Much Time"を収録、より洗練された作品となっています。1987年の3作目”Surrender”を最後にJuliaが脱退、Julie Driscoll(Tippetts)などの助力により活動を続け、よりラテン色の強いダンサブルな作品など、1991年の解散までに通算5枚のアルバムを残しています。バンド解散後、2人は別々に活動を行いますが、各々、ジャズやラテンのプロジェクトを行う中で、ACID JAZZの面々とも接近しています。

[Compañeros] (1986)

先に紹介したデビュー・シングル”Venceremos (We Will Win)”は、チリのフォルクローレのシンガー・ソングライター、ビクトル・ハラに捧げられています。チリ人民連合により成立したアジェンデ政権が、1973年のアウグスト・ピノチェト将軍による軍事クーデターによって崩壊、ビクトル・ハラは軍に逮捕され、チリ・スタジアムで虐殺されたとされます。彼が一緒に連行された市民を励まそうと歌った革命歌「ベンセレーモス」の伝承をベースに、この曲は生まれました。Robert Wyatt、Tracey Thorn参加の名曲ですが、このVer.はアルバム未収録。後に編集盤”Payday”などに収録されました。

[Venceremos (We Will Win)] (1984)

曲が生まれた背景はもちろん、個性的なヴォーカリストの夢のコラボレーションを聴くことが出来る極めて重要な曲ですが、オリジナル・アルバム未収録のため、見過ごされてしまいがちです。今回は、その原曲Ver.を
“Venceremos (We Will Win) (Bossa)”
#忘れられちゃったっぽい名曲


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