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07.〜拝啓 もうすぐ定年の君へ〜

(画像は実家の保護猫「太郎(♂1歳)」と「麻呂(♂2歳)」で記事とは関係ありません)

去年の今日は離任式であった。

その翌日からの怒涛の引越し劇の記憶に埋もれて、あんまり覚えていない部分もあるのだが、とにかく全く涙も何も滲んでこなかったのは記憶している。

毎年だいたい10人くらいが壇上で喋る。並びは役職と年齢順である。
が、この時は、

教育委員会に異動になった校長→50代で早期退職する先生→中途退職する筆者→異動する先生がた……と、なんとまあ、退職者枠が校長の次だったので、筆者は校長の次の次に挨拶することに。
私も偉くなったもんだ、と思いながら壇上にあがったのを思い出す。

さて、以前もどこかで書いたがこの時の校長は県内でも「いい人」として有名な管理職であった。——ということは、そうではない奴のほうが多いということである。今回はそんな人たちの口から発せられた数々の迷言の中から厳選したものを、ランキング形式で紹介する。


〜管理職による迷言ランキング〜

第1位「男の涙は美しいが、女の涙は女々しいんですよ、これが。
情けなくて見てられなくってね、嫌いなんです」

(進学校の教頭→現校長、愛称:「ボス」)

これは、彼が名誉監督を務める部活動が全国優勝した際、ホテルの宴会場で大々的に行われた祝勝会での、「監督のお言葉」の中で発せられたものである。???である。

「去年は女子が準決勝で敗れてしまったが、今年はアベック優勝できてよかった」という文脈の中で発せられたこの言葉に、一瞬、会場の空気が揺らいだ。が、それだけだった。

筆者はドアマン的な役割をしながら後ろのほうで聞いていたが、誰一人それに異を唱えるようなものはなく、温かい拍手で終わった。
優勝を果たした選手団(生徒)もその場に、というかひな壇に並ばせられて立っていたのだが。女子部の主将なんかは俯いて聞いていた。

このボスがもうすぐ定年を迎えると聞いて、私は非常に寂しくなり、今回筆をとるに至った。

何か1個くらいネタが漏れてくれればいいと思っていたのだが——さすがは現県知事とは切っても切れない強い絆で結ばれている、と噂されているだけのことはある。
まあ権力者にはあるあるだろうが、知っているだけでも、

「10歳年下の奥さんは地元でも有名な美人だが、女関係は相当やばい」
「他人から借りたベンツに傷をつけたのを、自分が名誉監督している部活の顧問をパシらせて謝罪・返却させた」
「普通、教員は4年〜6年で異動のはずなのに、自身の母校でもあるこの学校になんと勤続30年。気の合う教員仲間などは(教育委員会のお偉いさんらしい親族の力を使っているのか)10年くらいは留め置いて脇を固めている」

などなど黒い話題に事欠かない人物である。あと、よく職員室の真ん中で大音量でYouTube見てた。今は校長室で見てるのかな。

筆者が「公立教員なんてあほらし」と思った要因の一つは確実に此奴にある。
3年目にして、校内人事の検討時にホームルーム担任希望を出した筆者に対し、人づてに「できるだけ、女に担任させたくない。特に文化系の女は」と言ってきた奴でもある(実際、筆者の後輩にあたる剣道やバスケ経験者の女性らは担任を任されていた)。

まあ、おかげで転職できたから結果オーライありがとよ。ボス!


第2位「教員はね、みーんなアスペ!」
(進学校の教頭→定時制の教頭、愛称:「バード」)

ある意味、真実ではある(アスペ=アスペルガー症候群≒アホではないがコミュニケーション能力に難があると言いたいのか)。それ言うならお前もだろ、なブーメラン迷言。わかってて言ったのだろうか。

名前に「酉(とり)」が入っているので、

「バードさぁ、そろそろカゴに詰めちゃわない?」
「いいねそれ」

みたいな会話がよく若手の間で交わされていた。悪人ではなかったが、とにかく小物で。小鳥で。

職員室の誰よりも早く退勤し、20時には寝て、翌朝4時には起床して掃除機をかけ、職員住宅の下の階の住人を叩き起こすことで有名だった。
6時過ぎに出勤して学校の鍵を開けるのを使命としていた。

妙に早口で、県や教育委員会絡みで何かあったときには慌てふためいてよくブチ切れた。
筆者も1年目の時、県主催の人権研修に遅刻して、会場に向かいながら電話で報告したら「どういうつもりだお前は!!」と怒鳴られた(別にさぼっていたわけではない。授業が詰まっていたためだった。筆者に「うちから誰か1人出さなきゃいけないのよーこの研修。行ってきてくれる?」と依頼してきた職員室最年長のマダムに「その日はギリギリまで授業入ってるんですが」と言ったら、「これはそんなお固い研修じゃないから、多少遅れても平気よ!」と太鼓判押してくれたのだが…? →のちに職員室あるあるだと知る)。

もうちょいデカくなれよ。


3位「校長の名前欄に、間違って僕の名前入れといていいよ」
(離島の学校の教頭→進学校の教頭 愛称:「キューピー」)

必殺技は「ブチ切れてハサミ投げ」。

いつも新聞とか雑誌の記事をハサミでチョキチョキやっていて、その最中に不愉快な報告を受けると手に持ったハサミを投げるのである。

メモの取り方にはうるさく、ある会議で筆者のとったメモを見て「こんなんでお前、仕事ができるか」と鼻で笑ってきた(まあ実際、汚い自覚はある。縦横無尽に空白を使うタイプなんで)。が、こいつはどうなのかというと、人と話している時も相手の顔を一切見ずにひたすらノートに律儀なメモを取っている奴である。
それもどうなん。

公立4年目・初担任の筆者を停学者・脱走者が続出するようなクラスの担任に任命したのもこいつであった。
ある日、生徒指導でバタバタしている時に個別に呼び出され、校務分掌の仕事をしていないことを罵られたが、その際の発言が、

「頭使えよ、頭。高学歴のくせに、なんのためにあるんだよその頭」

うっわ、小物〜〜〜! おま、学歴気にしてんのか! と思ったが、「申し訳ございません」と神妙な顔で謝っておいた。

その一方で(その通りだな、こんなやつらとの付き合いに使うための頭じゃねえわ)とも思ったので、こいつも筆者の転職の遠因を作ってくれた1人だと言えると思う。

少し砕けた場になれば、好きな時代劇の話と「早く校長になりたい」しか言ってなかった気がする。なれるといいね……(校長になれる率は部活実績や学歴によるという噂もあるからそれであの発言か)。でも低身長・小太りで髪の毛がささやかにしか残ってないから、壇上にのぼった際には生徒に笑いのネタにされることうけあいである。身長はやむを得ないが、せめてかつらの使用などを検討されてはいかがかと提案したい。


次点「君の喋りかたは、どうにも、間の取り方が変で気になるんだよね」
(進学校の校長→退職してどこかの教授になったらしい 愛称:「クマさん」)

上記は教員1年目の時、校長に言われた言葉である。

「奇遇ですね! 私もあなたの喋りかたに対して全く同じ感想を抱いていました!」

と思わず返しかけた。
結局個人の好みだよね? とは思うが、ちょいちょい詰まったような沈黙が突然訪れる喋り方は誰でもおかしいと感じるんじゃないかな。

まあ家ではいろいろと大変だったみたいだけど、教員の内輪の飲み会に奥さん連れてきて、その奥さんが延々愚痴ったりするのは流石にどうなん。
筆者の指導教官であった不毛の人に「あなたのとこはいいわよねえ」と涙ながらに訴え、流石に不毛の人も「お気の毒だと、思いますが」くらいしか答えられていなかったのは面白かったがな。
つーか、その飲み会の幹事は筆者だったのだが、どうやっておひらきにしたかは覚えていない。

新天地では楽しくやれていますか? 私は元気です。


次回、「08.生徒に掃除させたら怒られた」(予定は未定)。

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