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シリーズ「新型コロナ」その32:成功例・北欧4国とその女性首相たち

■フィンランドのサンナ・マリン首相

https://www.vogue.co.jp/change/article/female-leaders-fighting-covid19
https://precious.jp/articles/-/18886
https://forbesjapan.com/articles/detail/33831/1/1/1
https://www.vogue.co.jp/change/article/celebrities-driving-social-change-sanna-marin
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200426-00010001-courrier-eurp
フィンランドのサンナ・マリン首相は、2019年12月に34歳という若さで就任し、世界で最も若い在職中の国家指導者になった。「行政科学」で修士号を取得。
19人のうち12人が女性閣僚という、ジェンダー平等を掲げる最先端の内閣でもある。
その背景には、彼女の生い立ちがある。
マリンがまだ幼い頃、父親のアルコール中毒が原因で両親が離婚。母親は仕事を転々とし、経済的に苦しかった。7歳の頃には母親の同性パートナーと一緒に暮らすようになり、「レインボーファミリー」で育った。
首相就任直前に長女を出産した彼女は、この非常事態の下で仕事と育児を両立させている。

<具体的対策>
〇死亡者が確認されない早期から非常事態宣言を発令し、出入国禁止、公営施設の閉鎖を断行。
〇教育に関しては早々にEラーニングに転換したが、保育や業務上就業が必須とされる親の子供だけのための教育機関のみ継続。また、社会的距離を保った上で、子どもたちに安全に給食を提供し続けている。
〇自身も娘を持つ母親である彼女は、感染予防のためにも娘を集団保育から自宅保育に切り替えている。
〇二人の女性閣僚(教育相と科学&文化相)とともに、史上初となる子供向けの記者会見を行う。
〇国民の健康面だけではなく、経済活動も損なわないような手腕に、国民の支持率は上昇。4月中旬の政策支持率は85%。
〇ニュースを読まない層に対しては、SNSを素早く活用し発信。さまざまな年齢層のインフルエンサーに対して、感染拡大防止に向けた正しい情報発信を要請。
〇現場の医療従事者やバスの運転手、スーパーマーケットのスタッフなど、この状況下で献身的に働く人々に対して、あたたかいメッセージを発信。
〇4月26日時点での死者数は190人。

<サンナ・マリン首相語録>

「社会的格差をなくすこと、皆が平等に扱われること、教育を受けられること、環境の保護や気候変動問題に取り組むこと、ウェルビーイングな社会であること。それが私たちの目指す社会の姿です」
「ジェンダー平等は、あらゆる性別・世代の人に大きな利益をもたらします。この価値を認識し、真のインクルージョンが実現すれば、私たちの行動や目指すべきゴールの障壁となる固定観念から、自分たちを解き放つことができるのです」
「誰も、キャリアか家庭かの選択を迫られるべきではありません。子どもが幼い時期は一度しかなく、父親にも育児をする権利と義務があります」
「社会的、そして経済的にサステナブルな世の中をつくるだけでなく、必ず環境面でもサステナブルでなければなりません」
「私は20歳のとき、上の世代の人たちが若い世代に比べ、圧倒的に気候変動に対する危機感が薄いことに失望しました。だから自分たちが変えないといけないと、政治に関わることを決めたのです。確かに2035年までにカーボンニュートラル達成を目指すという目標は野心的です。でも私たちは、必ずこの目標を成し遂げられます」
「年齢やジェンダーについて気にしたことはない。考えるのは、自分が政治家になった理由と、有権者は私たちに何を託したのかということ」。
「いつか性別や年齢について問われない時代になってほしい。私は出来る限り社会に尽くしたいと思っているだけで、男性よりも能力が上なわけでも下なわけでもない。何事もすべて上手くいく保証なんてないけれど、もし思うようにいかないことがあった時に『若い女性だから失敗した』と解釈されたくありません」
「誰だって、周りの人の協力なしに大きな目標を成し遂げることはできません。それは当然のことなので、自分を過小評価する必要はないと思っています。政治の世界で長年仕事をしていて気づいたのは、私たちはただ同じ人間であるということ。そして、どんな人にも限界があるから、できないときにも気に病むことはないということです」

<成功の秘訣>
〇ハートはあたたかく、頭はクールに
〇勇気と決断力で迅速な対応
〇SNSなどの新しいメディアを有効活用
〇適材適所、「餅は餅屋」。自分の領分をわきまえ、専門分野は専門家にまかせる。周りの協力を取り付けるのがうまい。
〇国民それぞれの立場に合わせたキメの細かい柔軟な対応
〇子どもへの対応が丁寧


■デンマークのメッテ・フレデリクセン首相

https://www.vogue.co.jp/change/article/female-leaders-fighting-covid19
https://toyokeizai.net/articles/-/347146
https://note.com/sawaguri_cph/n/n2a2f1663c352
2019年にデンマーク史上最年少かつ2人目の女性首相に就任したメッテ・フレデリクセン(42歳)。大学での専攻は行政学・社会科学。
思いやりに満ちた3分間のスピーチを通じて国内の状況を全国民に報告。具体性を持ちながらも現状への不安を煽ることなく人々を励ましたこの記者会見は、国内外から称賛を浴びた。
ロックダウンの最中に、歌を歌いながら皿洗いをする映像をFacebookにアップしたが、炎上することもなく、そのユーモアが評価されている。

<具体的対策>
〇国立血清研究所が、各大学や研究所から、数学、コンピューターサイエンス、保健科学、理論物理学、疫学、統計学といった専門家と医師による専門家集団を構成し、そこで分析された結果が政治判断の根拠となっている。
〇4月中旬から一部のロックダウンを解除。まず再開されたのは、保育所、幼稚園、学校教育の一部(プレスクールから5年生)。14日から準備を始め、15日から少しずつ子どもたちの受け入れを開始。
ただし、子ども一人につき2メートルの距離を屋内外共に保ち、決まった子どもと決まった遊びしかしてはいけないという条件つき。
〇4月20日からは、美容院やマッサージ店、歯科医、理学療法士、タトゥー店、自動車教習所など、小規模で顧客と接するサービスの再開を段階的に決定。
〇人口約500万人のうち、4月26日時点での死者数422人。

<成功の秘訣>
〇ハートはあたたかく、頭はクールに
〇幅広い専門家の数値分析にもとづく慎重な対策立案
〇ひとたび決定したことへの迅速な対応
〇対象者ごとにキメの細かい対応
〇ブレーン(タスクフォース)の使い方がうまい
〇まずきんちゃく袋の紐をしっかり絞め、徐々に緩めるという方針


■ノルウェーのエルナ・ソルベルグ首相

https://www.vogue.co.jp/change/article/female-leaders-fighting-covid19
https://forbesjapan.com/articles/detail/33831/1/1/1
ノルウェー史上2人目の女性首相となったエルナ・ソルベルグ(59歳)は、2013年より現職。社会学、政治学、統計学、経済学の修士号を持つ。
デンマークのメッテ・フレデリクセン首相のスピーチに感銘を受け、大人の参加を禁じた記者会見を開き、全国の子どもたちから寄せられた質問に答え、「恐怖を感じるのはいけないことではないのだ」と時間をかけて説明。その独創性と分かりやすさに、人々が感服。

<具体的対策>
〇早々にロックダウンを実施し、すでに規制緩和を開始。
〇4月26日時点での死者数は201人。

<成功の秘訣>
〇他国であっても、いい政策はただちに取り入れる柔軟さ。
〇子どもたちを、国の将来を担う大切な国民だと考えている。
〇慈悲心と知性を兼ね備えている。


■アイスランドのカトリーン・ヤコブスドッティル首相

https://www.vogue.co.jp/change/article/female-leaders-fighting-covid19
https://forbesjapan.com/articles/detail/33831/1/1/1
https://encount.press/archives/40296/
2017年にアイスランド首相に就任したカトリーン・ヤコブスドッティル(44歳)。
女性の権利を訴える活動家でもあり、グリーンレフト(緑の左派)党首でもある。世界女性リーダー委員会(Council of Women World Leaders)の委員長も務める。

<具体的対策>
〇希望者全員に無償でウイルス検査を提供。
〇人口に対する検査件数は韓国の5倍。
〇人口の10%が検査を受けているという他に類を見ない結果を生んでいる。
〇4月26日時点の死亡者数、わずか10人。
〇新型コロナウイルスを徹底的に追跡するシステムを開発・導入。
〇20人を超える集まりを禁止しているが、ロックダウンも学校閉鎖も回避。

<成功の秘訣>
〇客観的データにもとづいて論理的に考え、決断したことは最後までブレずにやり貫く。
〇最新テクノロジーを駆使し、データ検証主義を貫くことで、ロックダウンせずに感染拡大防止できることを立証した。
〇人命と経済は両立できることを証明
〇きちんと説明責任を果たす。


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