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初回夢は人生の隠された地図(夢の学び33)

「ドリームワークあるある」をひとつご披露します。
「ドリームワーク初参加のときの夢には、その後の人生全体の青写真が示されていることがある」
これを言い換えると、こうなるでしょう。
「夢に注目すると、夢はその後の人生全体の地図をまず示してくれる」

この「夢の学び」シリーズ8で、私が夢の記録をつけ続ける決意をした22歳のときのイルカの夢をご紹介しましたが、この夢はその後の数十年の私の人生を予見するような内容でした。これも、夢を意識したときの「初回夢」と言えるでしょう。

夢に対して意識的になると、夢の方は「よしよし」とばかり、「では、あなたがこれからの人生、道に迷わないように、まずは全体的な地図を手渡しましょう」というわけです。
この「人生地図」の形態はいろいろあるものの、意外に多いのは「高層ビル」です。実は、これには「大いなる秘密」があるのです。
このところ、初めてドリームワークを経験なさる参加者が「高層ビル」「高層マンション」の夢を持っていらっしゃる例が相次ぎました。夢に注目したての頃に、10階建てぐらいのビルやマンションなどの夢をみる人は意外に多い、ということにまず驚かされます。実は、私自身も夢に注目したての比較的初期の段階で、この手の夢を何度かみて、「このビルにはどんな意味があるのか」と不思議に思ったものです。

私がその意味を理解できたのは、ケン・ウィルバーの「インテグラル理論」を勉強してからです。
「高層ビル」「高層マンション」のイメージとは、明らかにその人の「自己成長」「自己発展」の全体的な「見取り図」を表しています。しかも、この「見取り図」は、20世紀後半になってから、多くの発達心理学者たちの研究によって、ようやく発見されたものです。つまり、それまでこの見取り図は「隠された地図」だったのです。私たちは、その地図の存在をまったく意識することなく、自然なかたちで利用しながら成長してきた、というわけです。
この事情を、ウィルバーは言語の修得にたとえています。私たちは、特別な意識的訓練を積まなくても、子どもの頃からある文化圏に生活していれば、その文化圏の言語を自然に修得します。しかも、10歳ぐらいになれば、文法的にもかなり正確に言語を操ることができるようになるはずです。つまり、私たちは生まれついて言語習得能力を持っているということでしょう。それは、ただ単に「誰しも言語中枢を持っているから」という以上の何かです。
人間としての(心の)成長に関しても、私たちはただ単に「誰しも成長ホルモンが分泌されるから」という理由以上の何らかの成長の「設計図」を持っていて、それが無意識的に働くことによる、と考えることができます。もちろん、この設計図は、言語の修得がそうであるように、生活圏にも影響されます。

この成長の設計図がどのような仕組みになっているかは、研究者ごとに異なりますが、共通項も少なからずあることが、ウィルバーらの研究によって明らかになっています。それは、心(あるいは意識、あるいは自己)の成長とは、ただ単に小さい状態から大きい状態になる、ということではなく、階層構造(あるいはロシアのマトリョーシカ人形のような「入れ子」構造)になっている、ということです。つまり、「昔の自分」「未熟な自分」というものは消えてなくなるのではなく、層になって下から順番に積み重なる、あるいは新しい成長した自分の内部に包含される、ということです。
この事情を、それが心理学的に確認されるずっと以前から、私たちは夢で(たとえば「高層ビル」というイメージによって)みせられ続けてきたことになります。もちろん、「高層ビル」というものが世の中に登場して以後、ということになるでしょうが・・・これははっきり言って心理学的な大発見です。つまり、隠されていたはずの「地図」は、実は夢によって開示され続けていた、ということです。
夢が持つ可能性は、まだまだ未知の分野なのです。夢は、私たちがまだ知らない大切な何かを、すでにみせ続けてくれているに違いありません。


意識成長の高層ビル

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