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夢は人生の「現在位置」を示す(夢の学び27)

前回私は、ひとつの仮説をご紹介しました。それは「弁証法的な時間的連続性が分断されることによって、人は精神を病む」というものです。これには、もっと深い意味があります。弁証法的な時間的連続性が断たれることで、仮に精神病は免れたとしても、実はもっと大きな弊害が起きるのです。
あなたは、何をもって人生の成功と呼ぶでしょう。その人生の成功にとって、必要な条件とは・・・?
若い頃は誰しも人生にそれなりの夢(願望)を抱きます。それが、学校を卒業し、就職し、パートナーを得て結婚し、子どもができ・・・という進み行きの中で、年齢とともに、風船がしぼむように、かつて抱いた夢がどんどん実現困難なものになっていくのを、切実に感じるのではないでしょうか。
一般に、年齢とともに、できることは減っていくのに対し、社会的要求や責任は増えていきます。それに必死に応えるだけで、人生の残り時間を費やすことにもなるでしょう。
時間の流れを「過去→現在→未来」という具合いに直線的・不可逆的にとらえるなら、風船はどんどんしぼんでいくイメージになります。
しかし、時間は流れるのでなく、堆積するのだとしたら・・・?
人は、いくつになっても、年齢(経験)を積み重ねることで成長します。「子どもがいずれ大人になることは必至だが、いったん大人になったら、あとは横這い(あるいは下降線)だ」と、あなたは考えるでしょうか?
それこそまさに、弁証法的な時間的連続性が断たれることの最大の弊害なのです。
あなたは、いくつになってもどんな願望を抱いてもかまいません。ただし、それを実現するには、ひとつだけ条件があります。それは成長することです。成長なき成功はあり得ません。
なぜなら、年齢を重ねるごとに、社会的要求は上がっていく(増えていく)からです。あなたの願望実現のためには、ある意味、あなたの人間的成長度が社会的期待値を上回る必要があります。
ニュースを見ても、社会的な成功者が、つまらない反社会的行為によって失墜する様が連日報道されていないでしょうか? 成功の第一義的条件を満たしていないからです。
成長とは、ある日突然現れるものではありません。まさに時間的連続性の中で培われるものです。このことを実感させてくれるものが二つあります。ひとつはケン・ウィルバーのインテグラル理論です。この理論は、人間にとって成長が「時間的堆積物」であることを実感させてくれます。私が夢学を体系化するにあたり、ウィルバー理論をバックボーンにした最大の理由はそこにあります。
しかし、理論は全体の地図、全体の青写真、全体のタイムスケジュールを提示してはくれるものの、今現在自分がどこにいるかをピンポイントで示してくれるわけではありません。
そこで二つ目です。人生の現在位置を正確に指し示す「ポインター」の役目を果たしてくれるのが「寝てみる夢」なのです。
このような意味において、「寝てみる夢」と「叶えたい願望としての夢」は、人生において、車の両輪の役目を果たす、というわけです。つまり、願望が人生の目的地を示し、ポインターである夢がそこへ至るルートと現在位置を示す、というわけです。
理論と実践、これが人生成功のカギであることに間違いはありません。
さて、あなたは海図も磁石もコンパスもなしで、目的地も決めず、人生という大海原を航海するでしょうか?


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