徒然駄文11.東京五輪の開会式に見た日本の縮図

ロードレース見たいじゃないですか。来週末まで一時的に東京に戻ってきていて、地元を駆け抜ける選手たちを一目でいいから見たかった・・・(実家が自転車屋も経営している。そして当日は個人的に仕事だった人

で、開会式も東京の自宅でくだをまきながら見ていました。
反対ムード、具体的には憎悪と怨念とが渦巻く新国立競技場で、トラブル続きの運営の捻りだした糞のような開会式で、それでも身体をはって演目をやりきってくれたパフォーマーの方々、準備に携わった方たちには心から敬意を表します。皮肉でもなんでもなく、本当に、あの場に立つのは大変なことだったと思う。いろいろ言われているし、これから罵詈雑言を書き連ねるつもりではるけれども、それでも、一人一人の演技やパフォーマンスは素晴らしかったです。誰かがやらねばならない、手を挙げて立ち上がり、責任をもって引き受け、やり遂げねばならない仕事を、見事にやり切った彼ら/彼女らは間違いなく英雄です。

で、悪口ね。
もうさー、しみったれた感じだったよね。
ロンドン五輪を意識して準備したものが、コロナ感染予防対策で密集や大人数での運動を避けるためでもあるのか、ぶつ切りでCMのごとく挿入される動画は邪魔でしかなかったし、あんな手順で入れられたらパフォーマーにも失礼だろう。国旗を運んでくるシーンも、新国立競技場のスペースが薄ら寒いくらいに目立ってしまっていて、なんだこれ、お葬式??みたいな、まさしくお通夜ムードを醸し出していた。国旗を運んでくるのが名選手たちや実際の救護にあたるスタッフだっていうのは、なんですか、また選手や実務班を盾にして「こいつらに弾を当てたくなければ撃つな!」っていう人質作戦でしかない。

更に、らんま1/2のOPアニメみたいだということで話題のアレ。あれこそ動画でやれよってくらいつまらないし、意味がよく分からない。挙句にナレーションで演出意図を解説し始めてしまい、思わず「紙芝居かよバーカ」とつぶやいてしまった。日本人が見ても意味がわからないものを、違う言語圏の視聴者や、まして耳が不自由な人にどう理解しろというのだ。実にバリアフルな演出であったし、何より盛り上がりに欠けていて、この時点で新興宗教の奇抜な葬儀のようにしか見えなかった。

ミーシャが君が代。いろいろ言われてるけど、個人的にここは良かったと思う。繰り返すけど、個々の演者は良かったんだよ…。

まさかこれで終わりじゃねぇだろうなと思っていると、今度は式場中央に江戸の大工と火消しをモチーフにしたセットとダンサーが入り込んでくる。お!東京の歴史や文化をモチーフにしたパートが始めるんだな!と思ったのも束の間、数が少ない、規模が小さすぎて「そこをミニマムにしなくていいだろう!」と突っ込みをいれたくなる。誰か上に立ったなぁと思えば、タップダンスを始める。なぜ???浅草?世界チャンピオンの無駄遣いとしか思えないような突飛なタップダンス。大体、大工が自分の施工した土台でいきなりタップダンスなんか踊られたらぶち切れるぞ。大工、火消し、タップダンス。ビートたけしが怒るのも不思議ではないくらい「浮いた組み合わせ」になってしまっていた。素晴らしい素材を企画・計画が台無しにしてしまった。一流の材料を下手くそが生ごみにしてしまったのだ。

どうでもいいが、タップダンスを見ながら思ったんだけど、東京にはヘブンアーティストという公認大道芸のような制度があって、そこでタップダンスやパントマイム、紙芝居といった様々なパフォーマーが活躍し、中には日本の継承されにくい伝統芸能を受け継ぎ、次の時代に生き残らせる重要な役割を果たしている、んだが!都も国も、そういうパフォーマーに緊急事態宣言とまん防でずいぶんな仕打ちをしてくれたじゃねぇか忘れてねぇぞ。

東京五輪の開会式から感じたことは、この後のゲームBGMを用いた選手入場行進までひっくるめて

「薄っぺらなサブカル野郎と上澄みだけさらって要領よく出世してきたクソ野郎どものやらかし」を「オタクに尻ぬぐい」させてきた、ここ30年間の日本の縮図

なのである。
小林賢太郎がオタク的なものにつきどう思っていたのかは知らないし、開会式と閉会式を企画していた連中がどのくらいアニメや漫画やゲームにリスペクトがあったのかも知る由もないが、あの使い方は一体何様のつもりだろうか。自分たちが酷い、中途半端で支離滅裂な展示を作っておいて、その尻ぬぐい、帳尻合わせをゲームBGMに埋め合わせをさせる。それなのに、ゲームやアニメや漫画の映像が全く出てこない。あんなものを出したら品位が落ちるとでも思っていたのかな?それとも、

あまりに酷い東京五輪の運営に嫌気がさした任天堂やKADOKAWAや徳間書店のようなスポンサーに「こっちによるな薄汚い差別主義者め」とでも言われて拒絶されちゃったのかな?ねぇ、どんな気持ち?今、どんな気持ち??

いずれにせよ、東京の、日本の、歴史も文化もまったく理解できない中途半端で薄弱な演出。歌舞伎?大工?引用するならもっとちゃんとやれよ。失礼にも程がある。一番腹が立つのは、実際に東京に住んでいる人々の顔や生活を一瞬だってしっかり映していないことだ。東京五輪の運営はどいつもこいつも、日本人のことも東京都民のこともどうだって良いと思っている証拠だろうこれは。

大体だな、ジョン・レノンのイマジンなんか中途半端に流してみたって、世界から見れば「なぜ、日本人は日本の歌を唄わない?どうして、東京都民は東京のことを唄わない?」としか思わないし「じゃあ東京じゃなくてよくないか?」と思ってしまうものなのだ。いや、だって世界の人たちに伝わらなきゃ意味が・・・とか言ってる卑屈な引きこもり野郎はいっぺん海外で暮らしてみればいい。いかに現地の言葉をきれいにしゃべろうが、「自分のことをきちんと述べられないヤツは舐められる」のが現実の世界というものであり、五輪の理念にもなっている多様性や相互理解といったものは、個々人にそういう心構えがある前提で提唱されているのだ。

舐められたくないです。でも、日本らしさは素敵だと思って欲しいんです。でも、笑われたくないです。

そんなメンヘラ根性で作られたのが開会式の企画書であろう。だから、小奇麗なだけで中途半端で意味の伝わりにくい煙に巻いたような絵面ばかりが続き、「世界で売れている」という評判を頼りにしてゲームのBGMを流した。なぜ映像を使わない?退屈だよ正直。世界で売れているゲームなら、映像も流して、モニュメントでもバルーンでも飛ばしてあげれば、世界中の選手だって喜んだだろうに。正気のスタッフをどんどん辞めさせ、あるいは、あきれさせて去らせてしまったのだから、狂人と意志薄弱者だけの組織委員会と企画担当だけが出来上がってしまうのも無理はない。最低。

それにさ、天皇陛下の両脇にバッハ、菅、小池なんて汚物を並べ立てた国辱的な貴賓席の中で、ゲームのBGMに多少なりとも反応できたのはガチ勢の陛下だけだったんじゃないの?

とにかく酷い。
まだムカついているのでもう少し悪口を書くけれども、イスラエルの選手団が入ってきたときに、とってつけたようにミュンヘン五輪のテロのコメントを差しはさんだのは、最初から決まっていたことなのだろうか?小林ホロコースト騒動で焦って、いきなりねじ込んだんじゃないの?あれ?政治的中立性は?そういうとこなんじゃねぇのかマジで。

小林賢太郎にしても小山田圭吾にしても、それぞれクレバーで素晴らしい才能を持った芸人で職人でアーティストだと思うけれども、その悪行は事実であったわけでさ、問題はそいつらを起用してしまった運営側にもあるわけ。これについても、彼らの悪行を良くも悪くも知っている世代が社会の中心から悉くはじかれている問題があるんじゃないのかなぁ。具体的には、ロスジェネ世代がもう少しちゃんと組織の意思決定や運営の中枢に起用されていたら「いや、あの人はちょっと問題が・・・」ってな具合に、事前に上申されてこんな大騒ぎにならずにすんでいたのではなかろうか。これもまた、一部の人間が有利な立場や利益を確保するために、その他の大多数を見捨てたり切り捨てたりしてきた日本の縮図であり、末路だ。

なんだろうねぇ。
海外の友人や教え子たちも、「リオの時の期待を完全に裏切られた」とか「意図的に国や民族の歴史を省略しているのですか?」とか「あれのどこが日本なんでしょうか?」とか言ってきているけれども、本当に、本当に、もう少しどうにかならなかったのだろうか。ドローンによる演出は面白かったし、海外メディアがやけくそ気味に褒めていたピクトグラムパントマイムもすごかった。それでも、なんだろう、最近悪評の多い懐石料理屋に食べに行ってみたら、卵かけご飯だけ出てきた。くらいの物足りなさ。スケールの小ささだったのだ。

あれで160億円。

一体どこへ消えたのやら。
まだ始まったばかりだし、コロナ感染は本当に恐ろしいし、来てくれた選手には感謝しかないわけであるが、五輪閉幕後の都や国の無責任がとにかく恐ろしい。コロナのワクチンは僕の自治体では1000くる予定が400しか届かず、予約は1時間も持たずに瞬殺された。出向で北海道へ行く僕がうてるのはいつになるやら。移動の無い人は、医師会系の病院でキャンセル待ちするのが狙い目らしいけど、どうなんだろう。

自分たちはまっとうでスマートで感じよく生きている。そう思い込んで世の中の真ん中の、綺麗で見晴らしの良いところを歩いてきた連中が、奴らの足元を支えている様々な現場をまったく無視して始め、そして始まってしまった東京五輪。
閉会式はきっと、巨大なバルーンで作ったアクシズを、νガンダムやサザビー、ジェガンやギラドーガのコスプレをした世界中の選手団が押し返すパフォーマンスをやってくれるか、安倍マリオが聖火台からゲームオーバーのポーズで飛び出してきて「あ、失敗したんだ」と世界中に一瞬で理解させてくれるであろうと信じつつ、愚痴りつかれたので昼寝することにする。

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