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映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」。

観てきました。

映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」。

なななな、なんてぇ!!???

と言われそうなタイトルですが。笑

「ソラニン」や「おやすみプンプン」でおなじみの浅野いにおさんの漫画のアニメーション映画でございます。

【あらすじ】
3年前の8月31日、東京上空に突如として巨大な宇宙船「母艦」が襲来し、世界は終末を迎えるかに思われた。しかし上空に宇宙船が浮遊する光景は徐々に日常の風景となり、女子高生の小山門出と「おんたん」こと中川凰蘭は、受験勉強に追われながらも趣味のゲームに興じ、友人たちと共に学生生活を楽しんでいた。異様な状態が日常へと溶け込んでいく中、ついに悲劇が起こる。

公式ホームページより


大名作「ソラニン」

「ソラニン」は個人的にとても大切な作品で、漫画はもちろん実写映画(最高)のDVD、主題歌のアジカンの「ソラニン」(超最高)まで余すとこなく網羅しておりますが、その他は短編集をいくつかと「素晴らしい世界」あたりを読んだくらいで「おやすみプンプン」も含めそれ以降は触れてきていませんでした。

「ソラニン」が2006年なんですね。実に18年前。こりゃーもう“昔”だわ。笑

今回、『浅野いにお作品初のアニメ化』と謳われたりもしていますが「意外にも」といったところですよね。実写化の方がされているっていう。

漫画の実写化というと近頃はなかなかセンシティブな話題になっていますが、少なくとも「ソラニン」は大成功だったと言えるのではないかと思います。

アジカンが歌った(劇中で宮崎あおいさんも歌った←最高)「ソラニン」の作詞は浅野いにおさん自身が手掛けているくらいだし。宮崎あおいさん、高良健吾さんら役者陣も本当に素晴らしかったし。

あ、すみません。「ソラニン」の話じゃなかったですね。笑

浅野いにお作品をずっと追ってきていたワケじゃなかったので少し迷っていたところではあったのですが、今週のCBCラジオ「チュウモリ #むかいの喋り方 」でパンサー向井さんが絶賛していてやはりこれは劇場で観なければと久しぶりに映画館に足を運びました。(危うく「配信まで待つかー」のパターンに陥るところでした)


“持ってる”いにお

この通称「デデデデ」ですが、結論から言うと最高。さすがの素晴らしさでした。

やっぱり浅野いにおは天才だなと。

僕にとっては『はやお』よりも『いにお』だなと。(「君たちはどう生きるか」が意味わからなかったので汗)

色んな方も感想で述べていることですが、やはり特筆すべきは主人公の2人を演じていたYOASOBIの幾田りらさんとあのちゃんのハマりっぷりではないでしょうか。

言わずと知れた超売れっ子2人が声優を務めるということで、最初にこの報せを聞いたときは「これはまたとんでもないビッグビジネスに乗せられたもんだなー」と思っていたのですが、聞くところによるとお二人が今のような大ブレイクをする前から、しかもあのちゃんに関してはオーディションでこの役が決まっていたのだそうで。

これは驚きですよね。もはや“持ってる”としか言いようがない。今思えば「ソラニン」もこういう側面を持っていたような。凄いですよね。


オマージュの宝石箱や!

もはやオマージュというよりは原作者や製作陣、そして作品を観る我々のDNAに刷り込まれているとも言えると思うのですが、作中には色々な漫画のオマージュ的な描写が数多く出てきます。

一番分かりやすいところでいうと今作の一つのシンボルのような位置付けで描かれている「イソベやん」。これは言うまでもなく「ドラえもん」ですよね。「イソベやん」の「四次元ポシェット」には「ないしょ道具」が入っているっていう。笑

怒られるぞw

あとは個人的に宇宙人?やメカ的なデザインに「鳥山明」を感じたし、モブキャラ的な登場人物には「ゲゲゲの鬼太郎」の「水木しげる」を感じました。僕は「エヴァ」を観ていないので分かりませんがそれを感じた人もいるかもしれない。

さらにこの「イソベやん」の中のいわゆる“のび太”的なポジションの女の子役を先日亡くなられた「ちびまる子ちゃん」の声優TARAKOさんが務めていたことも含め、なんだか現代“漫画アニメ”の集大成のような作品になったなーとやや大げさですが思ったのでした。

決してネガティブな意図で言っているのではありません。本当に。なんだかこのタイミングにおいてこの作品が世に出たということが何かの意味があるのではないかと思わされる作品でした。


“風刺”ではなく“ただの日常”

劇中のニュース映像などで上空に浮かぶ巨大な“母艦”が現れたその日を「8.31(ハチテンサンイチ)」と読んでいたり、主人公の母親がその影響による健康被害を異常なまでに気にしていて少し偏った思想になっていたり。

それでも、こんなにとんでもなく大きなことがあっても私達の日常は残酷なまでに“普通に”続いていて、このままで“ちゃんとしたオトナになれるのだろうか”と不安になる。

これはたぶん、粒立てて描いた「風刺」などではなくむしろ日常。“非情な日常”を描いている作品でした。これは彼の作品に一貫して言える要素かもしれない。

そして、この「とんでもない非日常の中における日常」の様子を見たときに“松本人志の世界”も僕は少し感じたのでした。

子供に情けないところを見られたくない親の悲哀を描く「カッパの親子」をはじめとする、「設定はぶっ飛んでるけどそこで描かれる会話は日常のあるある」みたいな要素を少しですが感じました。


超絶アンセム爆誕

またエンドロールで流れていた主題歌も最高で。

「絶絶絶絶対聖域 」 / ano feat. 幾田りら

楽曲を提供しているのはロックバンド「凛として時雨」のTK氏ですね。最初聴いたときはthe telephonesの石毛さん辺りかなと思いましたが。TK氏が他の人に提供する曲も良いんですよね。SMAPの「掌の世界」とか。

2人とも紅白歌手ですし今すぐにでも歌番組に出て歌ってもらいたいところですね。「しゃべくり007」等のトークバラエティに出てたけど、歌番組で主題歌を歌うのが一番のプロモーションになるような気が。

今作は「前章」となっていて5月に「後章」が公開予定とのことですが、そのときは『幾田りら feat. ano』となるようです。確かに今回の楽曲はあのちゃんメインの思いっきりロックな曲調だったので、後章ではもう少し歌ものに寄るのかもしれません。

【3/31追記】
と思ってたらメチャクチャMステ出てました申し訳ありませんでした。笑
しかも2曲とも披露していて。
“母艦”を模したセットも凄かったですね。
それにしても、「私たち、ちゃんとしたオトナになれるかなぁ?」「余裕でなれるよ」はやっぱりキーになる台詞だったのだなと確信。“令和版キッズリターン”なのよ。


まとめ

映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(前章)」。メチャクチャ面白かったです。オススメ。

いわゆる「キャラデザイン」が水木しげるタッチなキャラがいるかと思えば、「ザ・浅野いにお」なシリアスなタッチのキャラもいて妙な世界観だったりするので(これは「ソラニン」等のときからわりとそうだったけど)、好き嫌い別れる作品ではあるかもしれません。

実は「おやすみプンプン」に乗れなかったのはこのキャラデザインの部分があったのですが、今回の映画を楽しめたことにより逆にハードルが下がって(免疫ができて)もう一度手に取ってみようかなという気持ちになりました。

ただこの辺りのゆるいキャラクター設定とは裏腹に、背景の“母艦”や街並みなどの描き方はとても緻密でキレイだし(“作画”っていうんですかね)、何よりストーリーそのものがそこに裏付けされたようにしっかりしているので見応え十分です。

前章として良い感じに謎も残ってるし、終盤にまた違う舞台で新キャラも出てきてる感じで終わっているし。

5月に公開される「後章」を楽しみに待ちたいと思います◎

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