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昆虫食の王道、「佃煮」の再考。

ANTCICADAの製品製造担当、山口です。
この度、ANTCICADA の新製品として、「昆虫の佃煮」をリリースしました。
昆虫食の中ではメジャーなジャンルであり、言ってしまえば「昆虫食としては普通」の佃煮を「なぜ」開発したのか、まとめてみました。


1. なぜ、佃煮なのか

日本における伝統的な昆虫食に代表される「佃煮」。
様々な人に「昆虫食」について聞いてみると「イナゴの佃煮だったら食べたことある」、「長野県出身なので見たことはある」など、マイナージャンルである昆虫食の中でも比較的受け入れやすいものではあるという感覚があります。

現在でも、イナゴや蜂の子の佃煮は長野県のお土産として珍重されているなど、最も日本人の文化に根付いた昆虫食なのかと思います。

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長野県伊那市で70年以上も昆虫の佃煮を作っている「塚原信州珍味」
いつもお世話になっている、僕らの大先輩です。

またANTCICADAの店舗があるのは、東京、日本橋馬喰町。
実は、歴史を辿ると佃煮の発祥の地は日本橋からほど近い佃島(現在の中央区佃周辺)。佃島の漁師が保存食として造っていた佃煮を、日本橋の商人が製品として製造、販売。
保存性の高さや、価格の安さから江戸庶民に普及し、さらに参勤交代のお土産として地方に持ち帰ることにより、瞬く間に日本全国に広がりました。

現在でも、新橋に軒を構える「玉木屋」、浅草橋の「鮒佐」等、このエリアには歴史ある佃煮屋さんが存在します。

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日本の道の起点となっている日本橋という地で、
未来に向けた新たな一歩を踏み出します。


日本橋にて店舗を構えたこと、そして日本の昆虫食として最も伝統的な食品であること。僕たちが佃煮を造るには十分すぎる理由でした。

僕たちは「コオロギラーメン」や「タガメジン」等、素材としての昆虫の可能性を模索し、新しい昆虫食の製品を手掛けてきました。しかし、日本、世界で脈々と受け継がれてきた昆虫食の素晴らしい歴史も守りたい。
僕らANTCICADAが佃煮を造るうえでできることは何か。ただ佃煮を造るだけでは、何十年も佃煮を造っている老舗の後追いでしかない。

考えた結果、「それぞれの虫の持つ豊かな味に注目し、それを最大限まで引き出す」ことを目指しました。


2. ANTCICADAにしか造れない佃煮を目指して

特にこだわった点は、ANTCICADA特製の「秘伝のたれ」。
ANTCICADAの原点である「コオロギラーメン」のチャーシューを仕込んだ際に出る、うま味の詰まった煮汁を秘伝のたれとして隠し味に使用することで、他の佃煮にはないうま味とまろやかさが生まれました。

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コオロギラーメン。2種のコオロギで出汁をとった一杯です。

さらに、それぞれの虫に合わせた味付けを行い、既存の虫の佃煮にはない美味しさを生み出しました。

たとえばイナゴ。日本において佃煮として最も食されている昆虫ですが、素材の味について触れた情報は余りないように感じます。
イナゴを食べた際に感じたのは「畳のような、グリーンであり、且つどこか落ち着く香り」と、「キャンディ産の紅茶のような、渋味は少なく、控えめだがどこか綺麗に枯れたような香り」、そして「魚介類のようなうま味」でした。

これらを生かすにはどのように味付けしたらよいか。
そこで考えたのが、2つの異なる青々しさを持つ「紫蘇」と「青唐辛子」。
この2つの食材をプラスすることによって、イナゴ本来の香りは邪魔せずに、素材の良いところを底上げすることができました。

食材としての昆虫の魅力を探究し続けているANTCICADA。そんな私たちだからこそ提案できるアプローチがあると信じて、これからも美味しく、虫の魅力を感じてもらえるような佃煮を作っていきたいと考えています。


3. 新製品について

今回開発した昆虫の佃煮は、3つ。
コオロギとイナゴ、そしてカイコの佃煮です。

<コオロギの佃煮>

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徳島大学発、コオロギ養殖を手がける「株式会社グリラス」で大切に育て上げられたフタホシコオロギを使用。グリラスのフタホシコオロギは、しっかりとしたうま味と、癖のない繊細で優しい味わいが特徴。

この味わいを最大限に引き立てる為、選んだ食材は「生姜」。
佃煮としてシンプルな味付けで、コオロギの魅力を是非お楽しみください。


<イナゴの佃煮>

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イナゴの特徴は、殻の香ばしさと、摂食した植物由来の草のような香り。
まさに「稲刈り」を思わせるこの香りに対して、「しそ」と「青唐辛子」をプラス。うま味の中に爽やかさのある、ほんのり辛い佃煮に仕上げました。

ごはんの最高のお供です。


<カイコの佃煮>

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ナッツのような強い香りと強いうま味があるカイコ。
独特の滋味深さを持つカイコを食べやすく、かつ、カイコの魅力を最大限に引き出すために選んだ食材は「ピスタチオ」と「カルダモン」。
既存の佃煮の概念にとらわれず、自由な発想で純粋に相性を求め、今までにない佃煮が生まれました。

カイコのうま味とピスタチオの香ばしさ、カルダモンの上品な香りをお楽しみください。


<3種の佃煮セット>

コオロギ、イナゴ、カイコ。3種の佃煮セットもご用意しました。


それぞれの昆虫の個性を尊重しつつ、アクセントとなる食材を重ね合わせ、納得の仕上がりになりました。ご飯のお供や、お気に入りの酒の肴にはぴったりかと。

日本の伝統食である佃煮。ANTCICADAなりに自由な発想で向き合った佃煮。
ぜひ家族や友人と、楽しい食卓のお供にしていただければ幸いです。


文:山口歩夢(@juniper223)


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