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蚕(カイコ)の魅力は、シルクだけではない。 〜その① 蚕沙(サンシャ)の魅力を伝える為に糞闘中!〜

こんにちは!はらぺこむしです。ANTCICADAでは昆虫をはじめとした食材の調達を担当しています。

これから数回に分けて、現場担当の私が、実際に養蚕の現場に行って、見て、触れて、聞いて感じたシルクだけに留まらない、蚕の魅力を発信していきたいと思います!
私もまだまだ養蚕や蚕について勉強中ですが、少しでも養蚕に興味を持ってくれる方が増えると嬉しいです!よろしくお願いします!

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養蚕の歴史

まず、養蚕の起源は中国大陸にあり、蚕は、中国浙江省で紀元前2750年頃(推定)から人間に飼われてきたとても珍しい昆虫です。日本には弥生時代に養蚕技術が伝わりました。

養蚕のピークは1930年頃。日本の農家の4割にあたる200万軒がお蚕を飼っていました。家の二階で蚕を飼育するなど、日本の暮らしにこんなにも密着した昆虫はこれまでもこれからも蚕だけでしょう。

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家で繭を分ける大正初期(参考:Wikipedia)

しかし日本を支えてきた養蚕も、1940年ごろにアメリカからナイロンが輸入されたことで、急激に減少していきます。現在では、養蚕農家の軒数は293件まで減ってしまいました。(2018年 参考:大日本蚕糸協会 シルクレポート)

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日本の養蚕農家数・繭生産量(参考:シルク博物館)

シルクの価格は高いものの、養蚕農家の作る繭の価格は平均キロ1800円と安価であり、養蚕農家は養蚕業だけでは生計が立てられません。補助金などの補填を受け産業が成り立っているのが近年の養蚕の現状です。


蚕の魅力は無限大

そんな衰退産業ではあるものの、蚕の魅力は無限大です。
まず、シルクの活用法は、生糸だけではなく美容、食品、医療など数えきれないほどの用途があります。

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シルクの活用法例(参考:シルク博物館)

そして、蚕の魅力はシルクだけには留まりません。シルクを取った後の蛹(さなぎ)は、貴重なタンパク源として食されて来ました。その文化は未だに長野や群馬県などに色濃く残っており、お土産品としても販売されています。

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私たちANTCICADAでも、蚕の蛹の食材としての魅力を引き出そうと、佃煮の商品開発に踏み出しました。蚕の風味に合わせてカルダモンとピスタチオをブレンドした、他にはない一品に仕上がっているかと思います。(ANTCICADAオンラインショップにて販売しております。)


また、蚕沙(サンシャ)と呼ばれるカイコの糞は良質の葉緑素が多く含まれており、中国では古くから漢方として使用されています。日本でも食品の緑色色素や塗料や家畜用肥料や鉛筆の芯として扱われています。

しかし多くは畑にすき込んだり、捨てられていたりしていてあまり活用されていないのが現実です。

そんな蚕沙は、蚕が農薬の影響を受けないように無農薬で育てられた桑の葉だけを食べて育った蚕の糞です。桑の葉茶を濃縮したような香りが特徴的で、育てられた環境や桑の葉の取る時期によっても味わいが変化するなど、生き物ならではの変化も楽しめるとても魅力的な食材なのです。

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左:蚕沙 /   右:蚕沙茶 (撮影:Hiroki Yamaguchi)


蚕の糞という先入観を取り除き、お茶としての魅力を世に広め、日本を支えてきた養蚕の手助けになる為に糞闘中(笑)!なのでした。

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養蚕農家さんにいただいたカイコの幼虫。
この子達を飼い始めたことがきっかけでカイコへの興味が右肩上がりに。


次回は、「蚕の魅力はシルクだけではない。その②〜養蚕農家さんのご紹介〜」。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


文:はらぺこむし(harapeko64chan)


👇「蚕の佃煮」など、昆虫食の王道である佃煮について再考した記事はこちら。


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