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家具と勉強、それから自室。

心の乱れが姿勢の乱れにつながる。あるいは因果の流れは反対で、姿勢の乱れが心の乱れにつながる。そうした話はよく耳にします。だからこそ、空間を設計するときには「その場所で、何をしたいのか」が重要になってきます。安心してリラックスする環境には明るい色合い、ゆったりとした家具が適切でしょうし、一方で何かに集中する環境には落ち着いた色合い、身をただす家具が適切でしょう。

さて、それを踏まえて今の自室(リゾバ先の社員寮)を見てみるとゆったりと過ごすことを主軸に置いた設計だといえます。家具らしい家具といえば(簡易)ベッドと、ローテーブルだけ。前のリゾバ先の寮にあったような机は見当たりません。一日を怠惰に過ごす分には問題は生じませんが、いざ勉強しよう、と思いを新たにすると厄介です。身をただそうとしてもローテブルだと胡坐が限界だし、腰かけるものもベッドしかない。えいやと姿勢を正してみても、気が付けば猫背になったり、ベッドに寝っ転がったりしてしまう。

ここに赴任してきてから3週間。小学校に入学して日常に勉強が入り込んで以来、これほど長い間勉強机に一度も向かわなかったのは初めてかもしれないです。そういう机に向かわない生活が続いていたら、春から大学院で研究をするのだから勉強をして準備をしたいという動機がなければ「勉強する」発想すら抜け落ちてしまっていたことでしょう。

人間の寿命が延び、終身雇用制度が瓦解したために、「勉強する」というのは狭義の学生だけでなく社会人にも必須となりつつある現代を生き残るためには、誰もが自分のプライベートな空間の中に身を正せる場所・家具が必要なのではないかと思います。

何か勉強したい人は「気持ちを切り替える」前に、「気持ちを切り替えるための家具」を用意してみるのはいかがでしょうか。

頂いたサポートは、南極の植物を研究するために進学する大学院の学費や生活費に使わせていただきます。