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誰がための、受験?② ドラマ『スカイキャッスル』を観て

このドラマを拝見してまさに以前執筆した文章のタイトルとして付けた「誰がための、受験?」を強く感じました。

(※この記事には第1話のスジが書かれています。ご了承ください)

お受験ドラマといえば…
私はTBSテレビの東芝日曜劇場『Sweet Home』を好きで観ていました。
塾長で玉ねぎヘアの野際陽子さんは受験する親と子に対して厳しさはあったが、その裏側にはしっかりあたたかく支える優しさが存在。
物語に殺伐とした空気もイヤな人も誰一人いない。一生懸命さと滑稽さがあって、最終回でみんなの合格を野際さんの塾長が共に喜び合うシーンは胸がスーッとしてほっこりした。

しかしこのドラマは同じようなテーマですが、不穏な空気が流れている。
酷暑の今に降りしきるゲリラ雷雨前のような。真っ黒く低い雲が辺り一帯に垂れ込めている。

そもそも『スカイキャッスル』は韓国で放送された同名ドラマの日本版リメイク作品。

日本も韓国も「お受験戦争」が熾烈な国。
いまだに両国とも「個性重視」と叫んではいても「学歴社会」から抜け切れていない現状。
いったい何を信じて進めばいいのかがわからない世の中。
そんな中で一番わかりやすく人が信じられるよすが・盾になるのが「高学歴」
もはや「将来の安心材料」として手にしたい・手にする人が多い気がする。
ただ、それを得たとしても明るい未来が保証されているわけでもないのに…。

そんな受験という魔物に翻弄される愚かな親・苦悩する子供の姿が描かれているこのドラマは正直、私にとっては親たちを反面教師として拝見した。
人間として静かに心に沸々と煮えたぎる狂気と欲望と不気味さを物語全体に感じる。
小雪さん演じる受験コーディネーターの九条はどこか日本テレビの『女王の教室』の天海祐希さん演じる阿久津真矢を彷彿とさせる。(ちょっとこのドラマが寄せてる気も)
ただ救いの人物もいる。(女王の教室でいえば志田未来さん演じる神田和美的な)木村文乃さん演じる作家の南沢泉。唯一、お受験ママ友とは一線を画す人物。
ママ友の集まりに関して「なんか、苦手なんだよね」と、ママ友と受験戦争に巻き込まれるのもイヤな感じを漂わせる。
「バキッ!シャキッ!」とはせず、淡々としてマイペース。息子には気丈で明るくサッパリ振る舞う。

泉のような親ばかりならいいのですが、世の中そうではないらしい。
親の見栄や栄誉のために本音を呑み込み息苦しそうな子供たち。
しかし親はというと、子供がうまくいかないがゆえに募ったイライラを何のためらいもなく子供に暴言にして吐いていく。
子供はもはや親の人間サンドバッグなのか…?

こんなシーンがある。
まるで社長室のような子供部屋にて…。
鈴木浩介さん演じる父親は受験を控えて、成績が上がらず苦悩している息子に対してソファにふんぞり返ってこう言い放つ。

「おまえのためを思って言ってるんだ!」

「本当にそう?」とツッコんだ私。

「(父親・母親)であるあんたのためでしょ!」と反発したくなる。

私は親の根底に「子供は親の言うことを聞くべき弱い生き物」だと決めつけている気がする。
確かに、脆弱な部分はある。だけど、子供にだって決定権はある。
しかし、子供の決定権を平気で親が奪う。
これじゃ「家庭内恐怖政治」じゃないですか!?

そんな政治が敷かれるスカイキャッスルの住人たちを揺るがす悲劇が。
戸田菜穂さん演じる冴島香織の自殺。
墓前で父と涙するその息子・遥人。Padに香織の生前に遥人が記していた日記には…。

「死んだ方がいいのは、親だ」

密かにそんなことを思う子供は正直多いのかもしれない。静かなる発狂。

自身が高学歴で息子にもと願って高学歴を求める親。
自身に学歴コンプレックスを抱く親である私の威厳のために子供に高学歴を求める親。

そんな親に無理を強いられ完璧を求められる子供たちはこう思うでしょう。

「自分はあなたみたいな親にはなりたくない!」

酷な話、「誰を信じる?」と子供に問うても、もしかしたら両親の名前が出てこないかもしれません。
そんな悲しい事実が子から親へ突きつけられることだってあり得る。

このドラマの第一話を拝見して、
受験戦争の渦中にいる両親は、今一度「自分は何と戦っているのか? 我が子を守るためにホントは何と戦うべきなのか?」を知る必要が。

そんなヒントがこのあと、このドラマで展開されることを願って…今回のああだこうだは、以上です!

【番組URL https://www.tv-asahi.co.jp/skycastle/】

【執筆:Oneness A 年がら年中IceCoffee】