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43:相続税基礎控除と法定相続人

人が亡くなると故人の所有してた財産は法定相続人の管理下に入り一定額以上の財産があれば相続税が掛けられることになりますが、まずは故人と法定相続人に与えられた控除額を書いておきます。

『基礎控除額』
故人には動産、不動産合せて非課税枠3,000万円の基礎控除があります。
更に法定相続人数 × 600万円の控除枠があります。

基礎控除額  3,000万円
法定相続人3名×600万円=1,800万円(配偶者、子供2人の場合)
-----------------------------------------------------------------------------------  本ケースの非課税葬額=4,800万円

動産(現金・有価証券など)と不動産(土地・建物など)の合算で3,000万円の基礎控除+法定相続人×600万円=非課税額となります。
例えば、夫(故人)・妻・子供2人の場合、法定相続人3名となり1名に付600万円加算され3,000万円+1,800万円=4,800万円が非課税枠となります。

『生命保険控除額は法定相続人数×500万円』

基礎控除枠とは別に生命保険には法定相続人1名に付き500万円の控除額加算がありますが、生命保険については別途記載します。

『法定相続人とは』

法定相続人とは「亡くなった人の遺産を相続する権利のある人」の事、ネット等で調べると「直系尊属」「直系卑属」などの言葉も出てきますが、さほど気にすることはありません。『故人』との関係毎に『相続する権利の優先順位がある』とさえ理解してれば基本的に問題無いでしょう。

分配に不服があるなら法律で定められた『分配率』や『遺留分』を調べれば分りますし法定相続人の遺産分割協議で解決できない場合、法律の専門家に依頼することになるため事前に詳細な知識を持つ必要はありません。

『法定相続人の優先順位』
絶対相続人 : 
配偶者(常に相続人のため順位は付いてません)
第1順位 : 子供(子供死亡なら孫、更に孫死亡ならひ孫)
配偶者及び第1順位の子供は通常であれば必ず相続する権利を有します
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第2順位 : 父母(父母死亡なら祖父母、更に祖父母死亡なら曾祖父母)
第3順位 : 兄弟姉妹(死亡なら甥姪)

「1」配偶者はいかなる場合も必ず権利がある『絶対相続人』です。
「2」第1順位の子供(死亡してれば孫)も実質必ず相続人です
「3」配偶者+第1順位なら、第2順位、第3順位に相続権利ありません
  ・配偶者+第2順位なら、第3順位に相続権利はありません
「4」配偶者+第1順位例の例
  ・配偶者1/2+子供1/2(子供複数なら1/2を均等分割)
   子供が死亡しており、孫がいれば子供と同じ権利を持つ
「5」子供の無い夫婦の場合『配偶者2/3+故人の父母1/3」となります
「6」子供の無い夫婦で父母不在なら『配偶者3/4+兄弟姉妹1/4」となる
「7」配偶者不在で子供の場合、全て子供が相続となる
  ・子供が複数いれば均等分割となる
  ・死亡した子供の子(孫)は他の子供と同率で相続できる

但し、法定相続人間の遺産分割協議で誰か一人が全て相続すると全員が納得して正式な遺産分割協議書を作制すれば、全財産を法定相続人の誰か一人が全て相続しても問題はありません。

例えば、夫婦、子供2名の家族で土地建物は全て父親名義で父親逝去の場合
法律の相続は、母親50% 子供①が25%、子供②25%ですが、子供達は自立しており、母親はいずれ施設入所する必要があり、不動産の価値があるなら、100%母親名義にして不動産を入所費用に当てれば当面は子供達が負担せず済むメリットもあります。

遺留分権利いりゅうぶんのある人達』

遺留分とは『相続人に法律上確保された最低限度の財産』で、例えば遺言書で「お前には何も相続させない」或いは「誰かに全て相続させる」と書いてあったとしても、受け取れる権利が『配偶者』『第1順位者』『第2順位者』にはあり請求できるのは『法定相続分の1/2』です。

配偶者と子供の家族なら配偶者1/2・50%ですから法定相続分の1/2である25%が遺留分として相続する権利があります。また子供のない夫婦で不動産の名義は全て夫なら、妻2/3・66,6%で、夫の両親1/3・33,3%ですから、遺言書に全て妻に残すと書いても1/6・16,6%の遺留分があります。

残された妻と義両親の仲が良ければ問題ないでしょうが、残った財産が住んでるマンションだけで2,000万円の価値で、遺言書に全て妻に相続させると書いたとしても16,6%・332万円の遺留分があるわけで、現金で渡すことが出来なければマンションを売って渡すしかない・・・って事もあるのですから子供の無い夫婦で両親存命なら、この辺りも考慮する必要がある。

ところが子供の無い夫婦でも両親が逝去して不在なら、妻3/4・75%、兄弟姉妹1/4・25%の相続ですが、遺言書に全て妻に相続させると書いた場合、兄弟姉妹は第3順位で遺留分がありません。から遺言書の通り全て妻が相続することになります。法律の上での兄弟姉妹の扱いは遠いことが分ります。

『相続する権利の無い人』

・内縁の妻
・離婚した元配偶者
・養子縁組していない配偶者の連れ子
・故人の姻族(配偶者の血族)
・上位順位のいる後位順位の人
ですが、遺言書に『遺贈(遺言で財産を相続人以外の者に送る事)』すれば誰にでも財産を渡すことができます。但し相続には非課税の基礎控除枠がありますが遺贈には無く相続税の1.2倍の税金が掛かります。

ついでに言うと
・まだ産まれてないお腹の子にも相続権利はある
・遺言書で認知した隠し子も子供としての権利がある

『面倒診て来た子供の配偶者なら特別寄与料もあるが・・・』

時々あるケースで子供の妻が儀父母の面倒を無償で行ってきたとしても遺産相続する権利はなく、途中で夫(故人の子)が逝去した後も面倒を看てきた場合でも儀父母の遺産相続権利は全くない事でした。儀父母名義の家に住んで介護してた場合、死後は追い出されるケースも現実としてあるのです。

2019年7月1日から特別寄与制度(民法)が施行された事で介護報酬基準額から算出した寄与料を相続人から受け取れる基準は出来ましたが、請求先が相続した人達ですから喧嘩別れも覚悟する必要があるように思えます。しかし今まで何の権利も無かったのですから大きな進歩と言えるでしょう。

上記、息子の嫁を筆頭に相続権の無い人達に世話に成ったり、財産を残したいと思う人や法人があるなら、対象者(故人・被相続人)が存命中に公正証書遺言・又は自筆証書遺言(法務局預け)に遺贈いぞうする旨を明記しておくことです。

また千数百件の葬式施行した結果で言うと、きっとあなたが思っているより子供同士の財産争いは確立が高いでしょう『兄弟姉妹は他人の始まり』とは良く言ったものです・・・・

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参考資料(お時間のある時にでも読んでみてください)
あんしんサポート葬儀支援センター  
代表ブログ 葬儀支援ブログ「我想う」
家族の死後に後悔しない為の一冊

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