見出し画像

48:財産より借金が多いなら相続放棄

時々あるのが残した財産より借金が多い故人、逝去前から分かってる場合は『相続放棄』の手続き方法を説明しますが、葬式期間や葬式後に借金が判明するケースもあり残された家族は綱渡りの時もあるのが現実です。

『相続放棄とは、誰が放棄手続きするの』

故人の財産より負債(借金)が多い場合等に、プラス財産もマイナス財産も法定相続人が相続しないことを『相続放棄』と呼び、相続の事実を知った日から3か月以内なら家庭裁判所で手続きできます。

『相続放棄の流れ』

配偶者と第1順位の子供や孫が相続放棄した場合、第2順位の父母や祖父母へと相続権が移り、第2順位全員がいないか相続放棄すれば、第3順位の兄弟姉妹に相続権が移行する為、第3順位の兄弟姉妹までの全員が相続放棄する必要があります(通常は兄弟姉妹の子供達まで必要ありません)

第2順位の人は第一順位者が相続放棄の事実を知ってから3か月以内ですから慌てることはありませんが、相続放棄は第3順位の人達まで事前に話しをしておくべきでしょう。下記記載の相続放棄費用1名3,000円についても相談しておく必要はあるでしょう。

相続放棄については所轄の家庭裁判所に連絡し、相続放棄の仕方について教えて欲しいと伝え指定された日時に出向いて詳細確認しましょう。

『相続放棄に掛かる諸費用』前橋家庭裁判所の場合

・収入印紙800円分(以下全て1名につき係る費用です)
・被相続人の住民票除票(350円)
・申述人(放棄をする方)の戸籍謄本(450円)
・被相続人の死亡の記載のある除籍謄本(750円)
・連絡用の郵便切手(272円)
・以上の合計2,622円(1名)1人3,000円と思っていれば良いでしょう。

以上の手続きを司法書士、弁護士に依頼すると1名につき3万円~10万円ほど掛かる覚悟が必要ですから自分でしましょう。

『相続放棄できる期限3か月以内』

故人の死を知り自分が相続人である事を知った日から3か月以内
、ですから逝去日ではありません。また借金や財産の実態や詳細を調べたり判断する期間を『熟慮期間』と呼び3か月で足らない時は期間内に家庭裁判所に熟慮期間の延長申請を行い、認められた場合は更に3か月間の延長が可能です。

『相続放棄の可能性があるなら絶対にしては成らない事』

以下のような事をすると「単純承認」したと見なされ相続放棄できません

・故人の預貯金に手を付けてはいけません
・故人のお金で入院費、施設費、葬式代を払ってはいけません
・故人の借家解約手続きなどしてはいけません
・故人の家財等を売買、処分してはいけません

相続放棄を視野に入れるなら、故人の物には一切手を付けず、極端に言えば家の中の片づけさえもしないほうが無難です。これらの行為は『故人の遺産に自分の意思で関わった』からで相続放棄できなくなります。入院費や施設入所費など人情的、モラルとして払いたいと思うなら自分のお金で支払う分には問題ありません。

『相続放棄できない人』
① 故人の借金の連帯保証人
② 死後の故人財産に関わり単純承認した人

『父母などが誰かの連帯保証人だった場合』

親が逝去したら誰かの連帯保証人だった事が判明した場合、配偶者や子供達は財産も受け継ぎますが、連帯保証人も受け継ぐことになります。ただ連帯保証してる人が自分で返済し続けてるなら問題はありませんが、逝去したり蒸発したり、返済してない状況で、親が残した財産より負債のほうが多いなら親の遺産を相続放棄すれば返済は免れます。

『2020年4月1日以降に締結した契約は民法改正されてる』

改正民法により個人が根保証をする場合、極度額(限度額)を定めなければならないと下記のような記載をする旨が決められました。
--------------------------------------------------------------------------------------
第◯条(連帯保証)
連帯保証人は、金◯◯万円を限度として、主債務者と連帯して、本契約から生じる主債務者の一切の債務を負担するものとする
-------------------------------------------------------------------------------------
これにより連帯保証人の保証範囲も定められますが、2020年4月1日以降に締結した契約ですから、それ以前の契約はそのまま残る事になるので早い段階で上記のように『契約修正」をしておくべきでしょう。

ただ2022年現在、限度額の算定基準など無く10万円でも、1,000万円でも有効ですから連帯保証人となる方は限度額の確認は必須であり、普通に考えれば余りに高額なら連帯保証しない人が増えるでしょうから、ある程度まで下げた金額を提示されるようになるかもしれません。

僕自身、中学生で家業倒産経験があり、家族離散、祖父母は悠々隠居の身から70才を超えて突然、働きに出なければ食えず、僕自身も高校1年生で稼ぎの良いキャバレーでバイトという生活でした。

倒産で家族離散、蒸発した父親は37年後に八王子裁判所から死亡連絡が入り、倒産後は親戚関係も険悪になるなど決して良いことはありません。

元凶は父親の兄の借金の連帯保証でしたから連帯保証人の恐ろしさは身をもって体験している為か、現在主宰するあんしんサポート合同会社はNPO法人設立当時から15年間無借金で経営してきました。

成人してから思えば人生15才の多感期での経験が、その後の人生に於いて自立心、土壇場の強さ、向上心、どんな時でも前向きに思考など身に付けられた事から、個人的には必要悪だったと感じますが、平凡で穏やかな人生が送れるならそれにことた事はありません。

個人の借り入れで連帯保証人を付けねば出来ない借金は、返済が難しい借金とも言えるし、事業用なら保証協会でけで済まない状態なですから、自分だけで済まない現実を見据えて大切な家族を守る為にも、時には非情な判断が必要なことを知るべきです。

また個人でも事業用でも、残す財産より負債のほうが大きいのは分っているのですから懺悔ざんげのつもりで、ありのままを言葉だけでなく書面と借用書も添付して家族に渡しておけば、家族は生前に出来るだけの手を打ち逝去後は故人の財産に手を付けることなく、相続放棄もスムースに行えるのですから隠して黙って借金を残すことだけは避けて欲しいものです。

|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
参考資料(お時間のある時にでも読んでみてください)
あんしんサポート葬儀支援センター  
代表ブログ 葬儀支援ブログ「我想う」
家族の死後に後悔しない為の一冊


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?