「不登校と承認欲求」7つのポイント
中学校の教師を辞めて5年が経とうとしている。その間に娘は高校を退学し通信制高校に入学した。そして今は受験生だ。1月の入試に向けて秒読みの時期。でもなんだか落ち着いている。「なるようになる」と考えられるようになったみたいだ。子どもは変わる。でもその前に変わったのは私自身だった。
仕事が第一優先
私は中学校で教師をしながら2人の子どもを育ててきた。子どもを愛し大切に思う気持ちに偽りはない。でも私の優先順位は子育てではなく、常に仕事が上だった。それが間違っているのか、おかしいのかはわからないが、そんなことを考えたことすらなかった。
私にとっては仕事で認められることが何より幸せだった。だから子ども達が小学生くらいまでは、本当に毎日必死だった。つらくても弱音を吐くことはしなかった。もちろん1人ですべてできたわけではなく、実家の両親のサポートや夫のヘルプも十分に使わせてもらって、仕事と子育ての両立ができていた。
自分が受けてきた教育は、その時代の背景もあるし私の親の特性もあるが、競争社会で生き抜くための教育そのものだった。人よりも先に、少しでも高みを目指すことがよしとされた。だから私だけが特別だとは思わない。でも人よりも抜きん出て周りから賞賛されることでしか、自分自身に〇(マル)が出せない私は、承認欲求(周囲から認められたい、自分を価値ある存在として認めたい)が強いのだと後で気づいた。
親も先生もその他の周りの大人はいつも「もっと頑張れ」と私を励まし、努力すれば報われると言い続けた。自分もそれに応えようとそれなりに頑張ってきた。でもいつまでたっても終わりがなかった。学生の間は成績が良ければ評価が上がるのでまだわかりやすかったが、仕事を始めると、数字では評価されなくなった。
教員としての私は、生徒の成績を上げるとか学級をうまくまとめるとか、親からの信頼を獲得するとか、様々な角度から評価され続けた。でもやってもやっても一番上には届かない。いつも周りに認めてもらえることを考えて行動しているから、いつまでたっても自分の自尊感情(自分自身を価値あるものとして尊重する感覚)は低いままだった。
娘の不登校で自分の無力さに気づく
中学2年の時、娘が「学校に行きたくない」と言った。最初はそのうち元気になるだろうと深刻に考えていなかったが、状態は良くなるどころか悪化していった。高校1年の夏休みを前に欠席したのを最後に、2度と学校へ戻ることはなかった。
その娘は想像通り、やはり自己評価が低い(自分自身の能力や成果を過小評価する傾向)。「私なんか頑張ってない」「〇〇ちゃんはもっとやってる」とよくそんなことを口にしていた。でもそれは成長するために必要なことだと思っていた私は、寄り添うこともせずに励まし続けたのだった。
ありのままの自分を受け入れ肯定的に評価する(自己受容)ことができなかった私は、他者に対しても厳しかったと思う。家族にも「なんでこんなことできないの」といつも腹を立てていた。教師としても生徒に「もっとしっかりやってほしい」と相手の欠点やできないことばかりに目を奪われていたと思う。「私はこんなに必死にやっているのにどうしてうまくいかないの」と周りを恨むことも多かった。
でもそうした私の生き方を根本からひっくり返したのが娘の不登校だった。不登校の原因がすべて親のせいだ、子育てを間違ったからだというつもりはない。その点は強く言いたい。不登校の原因はそんなに単純なものではない。子どもが生きている環境や個々の特性、周りの大人たちの影響などが様々に絡み合った結果うまれた状態だと思う。
その上で私の場合は、我が子の性格や気質の判断を間違って、自分本位に接してきたことが一因だと考えている。
私は教師として「教育のプロ」だったのに、自分の子どもを導くことさえできなかったと無力さでいっぱいになった。
一生懸命子育てをしているお母さんの中には、もしかしたら私と同じ思いをしている人もいるかもしれない。我が子が不登校になったことで、自分の育ち方や親の教育、学校教育での問題に気づいた人は多いと思う。その中で、承認欲求が強いと感じた方がいたら、次の7つのポイントを読んで今後の参考にしていただきたいです。
承認欲求が強い親が子育てをする時に気をつけたいポイント7つ
1.子どもの独立性を尊重する
親は無意識に自分の期待や価値観を押しつけてしまう、子どもが自分で考えて選択することを認めなければならない。
2.過度な期待をしない
親の承認欲求を満たすために子どもに過剰に期待してプレッシャーをかけてしまうと、子どもにとってはストレスになり、自己評価が低くなる可能性がある。
3.前向きな言葉で伝える
子どもが努力して成長してきたことを認め、小さなことでもうまくいったことを褒めることで、子どもは自分に自信を持つことができるようになる。
4.比較をしない
親は悪気なく、兄弟姉妹、同級生などと比べてしまうが、その子自身の成長や進歩に焦点を当てることが自尊感情を育てることにつながる。
5.子どもの感情に寄り添う
子どもが安心して自分の感情を表現できるためにも、子どもの気持ちや考えをしっかりと聞いて共感することが大切だ。家庭の中で感情を表現できる環境を作ることで、子ども自身の自己肯定感も高まる。
6.親自身の承認欲求を自覚する
親は自分の欲求を理解し、それが子どもにどのような影響を与えているか振り返り、分析しながら子どもに接することが大切だ。
7.親自身が成長し続ける
親はどうしても子どものことを優先して、自分自身に目を向けることが難しいが、親が何かに夢中になったらり、学ぶ姿勢を子どもに見せることは、子どもにもよい影響を与えることになる。