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teshioniとブランドと職人のこと

teshioniをスタートしてから3年が経ちました。

来週には新サービスとして
【現在はフォロワーがいない方であっても、一緒にブランドを作っていく】
Maison407 の1期性の募集が始まります。
(詳しくは改めてnote書きます!)

そのスタートに向けて、私が普段から考えていること、
「なぜnutteを運営する会社がteshioniをやっているのか」
を書いてみたいと思います。

縫製職人のためのサービスとは

縫製職人が仕事を継続するための「仕事」と「仕事量に見合った報酬」が得られて、その技術を次世代につなげること。だと思っています。

そもそも次世代を担う人たちが「縫製」という仕事を選ぶ魅力が無ければならないし、現職の職人さんたちが、次世代を育てるだけの技術力と収入面での余裕がなければ成立しません。

縫製職人が継続して仕事ができるために何が必要か

下請けで言われるがままの仕事をするのではなく、
自分できちんと仕事を選んで依頼を受けるための技術を磨き続けること。
そしてその環境が維持されることが大切です。

下請けは「仕事を選ぶ権利」がありません。お仕事を出す方の条件がどうであれ、一度断ったら次が無いかもしれない。となると正当な取引が難しくなります。
いくつかのお仕事をから良い条件のお仕事を選ぶことができれば、割に合わない仕事は自然に淘汰されていく、と考えています。

teshioniにおける我々の立ち位置

私たちは「職人に仕事を与えている」わけではありません。
私たちは、nutteをはじめ「職人さんのためのサービス」を展開しています。
teshioniでブランドをつくるのは、ブランドのお客さんを増やして、縫製職人の仕事を増やすためです。

一般的なアパレルやOEMの座組みではなく、いち個人がブランドを立ち上げてそのブランドの「量産」が「継続的な職人の仕事」になったときに初めて職人さんに喜んでもらえます。

小ロットの縫製で量産と同じ価格(工賃)では、職人側にいつまでたっても利益が出ません。
小さなブランドに量産の職人さんが手を貸してくれているのは投資です。

私たちはteshioniのブランドを「職人さんに選んでもらえる仕事」を出せるブランドにしなければいけません。

誰かを動かす責任

わたしたちの仕事はどの職種も【誰かを動かす責任】のある立場にいます。
特に生産管理は、その「誰か」と直に交渉し、またその人たちの生活の一部を背負っています。
協力してくれる取引先ベンダーさんの売上、我々に期待してくれる職人さん、それぞれの顔を思い浮かべながら、仕様・素材・販売のための動きもすべて、なにをとっても「誰の笑顔のための仕事」なのかをおおいに意識しながらブランド運営をしています。

小ロットでも上代が高ければ良いのか

縫製職人にとって、量産は、ロット(数量)も納期も工賃も、いずれもあればあるほど良いものです。
量産で量があれば、同じものを縫うので工数計算もしやすく、収入の計画も立てやすくなります。
職人にとって、縫製は「お仕事」です。
技術を守るとか、こころをこめるとか、そういうこと以前に、自分自身や、養う家族の毎日の生活のために、こなさなければならない仕事です。その中で品質と効率を極限まで高めています。
販売価格が高くなると、当然あまり売れない可能性が高いので、定番化して再生産もできなくなります。
効率化は量を生産するごとにあがりますので、毎回違うものを小ロットでちまちまと作り、採算を合わせるのはとても難しいのです。
「高くてもセールにかけずに時間をかけて売るからいいよね」というのはブランド側の論理であって、実際にそれ自体に職人のメリットはありません。

それでもなぜ小ロットで生産するのか

100着生産するブランドにしたいから、100着積みましょう!
となると、一気に在庫に押しつぶされてブランドの成長の機会を失います。
ブランドの成長の機会を失えば、将来的な縫製職人の仕事の機会も同時に失うことになります。
だから最初は10着でも良いからデザイナー自身が、一生懸命にブランドを伸ばし、ブランドを継続させることを重視しています。

nutteというプラットフォームを使えば、無理に合わない価格のお仕事を下請けにお願いすることもありません。
もちろんteshioniのお仕事でも、nutteでは選ばれずに、成約しにくいこともあります。

それでも我々は、ブランドが伸びていく実績をつくり、その未来にかけてくれる職人さんと一緒に、新しいブランド、新しいデザイナーに投資をしているのです。

私たちは職人の代表です

わたしたちは登場人物全員が対等に『選ぶ権利』を持つことを重要視しています。【nutte】は誰でも利用できるサービスです。依頼者は誰でもユーザー登録することができ、自由に依頼を掲載できます。

職人さんには、依頼者さんが掲載したお仕事に対して、応募するかどうかを選ぶ権利があります。
職人さんは下請けではなく、仕事や依頼者を選ぶ権利を持つ対等な登場人物で、その職人さんが「合わない」と判断する安い仕事や、面倒な依頼者さんは選ばれません。
一方で、依頼者さんは複数の職人から応募があった場合、その中から自分に合う職人さんを選ぶ権利があります。腕が悪い、納期を守らない職人は二度と選ばれません。
もちろんわたしたちにも、ユーザーさんを選ぶ権利があると同時に、ユーザーさんに選んでいただけるためのサービスを提供するハードルがあります。

そして、【teshioni】では、いま『選ぶ権利』を持っているのはわたしたちです。
それは私たちの権利ではなく、職人さんたちから委任された権利です。

【teshioni】を利用すれば、
・初期費用無料
・生地資材手配
・製品の生産
・イベント運営準備
・販売カート
・商品発送などの物流
・各種事務手続き
まで全て巻き取り、驚くほど簡単にブランドを始められます。
しかしそのメリットを提供する相手は、職人にメリットを提供できる方に限ります。

選ばれるデザイナーとは

では、職人さんにメリットを提供できるデザイナーとは・・・
とてもわかりやすくいうと『継続して売れる』デザイナーです。

誰からも求められない、ひとりよがりな妄想を押し付けるのではなく、

●買うのは誰か、具体的に言語化し(Who)
●その方々に刺さるコンセプトを練り(Why)
●コンセプトを具体化したプロダクトを考え(What)
●的確なプロモーション手段で伝えて(How)
●一定のロットを継続的に売れるデザイナー(How much)

こういう方々が現在でもteshioniでブランドを続けています。

最後に

私たちは
「技術を持った職人の所得の向上と技術の継承」を目指しています。

お客様に喜んでいただける製品を生産し、小さなブランドのファンを増やして継続させることによって、職人さんが毎月きちんと収入を得ることを目的としています。

teshioniに長く関わってくれている職人さんには我が社の社員として雇った弟子に、技術を教えて、育てていただいたり、デザイナーに深く関わってもらってブランドのクリエイションを一緒につくっています。

私たちの取り組みは、業界全体でみれば本当にちいさな1歩でしかありません。

それでも、このあゆみが未来を少しでも動かしてくれることを信じて、わたしたちも日々努力し続けています。


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