研究者の心に寄り添えるキャピタリスト

皆さんはじめまして、榊原和洋と申します。ディープテックチームのベンチャーキャピタリストとして8月にANRIにジョインいたしました。タイトルからいきなり私のありたい姿を書いてしまいましたが、今回はこの場をお借りして自己紹介と私の思いを綴らせていただければと思います。(役に立つ類の文章ではないこと、ご了承いただける方は読んでいただければ幸いです)

プロフィール

ANRIベンチャーキャピタリスト
アソシエイト 榊原 和洋(さかきばら かずひろ) Ph.D.
:東京大学理学部卒業、同大学院で生命科学分野にて博士号取得。エムスリー株式会社で製薬企業に対するコンサル営業、CVC業務に従事した後、2022年8月にANRIに参画。

「研究者である父の背中を見て育った私」

みなさんにとって、研究者はどのようなイメージでしょうか。難しいことをしている、論文書いてる、オタク、メガネ?いずれにしても、とっつきにくい難しそうな存在だったりしないでしょうか。私の父は大学で教鞭をとっていた研究者ですが、私の研究者の認識は父親の職業ということ以外あまりよくわからないものでした。

ただ、研究はよくわからないながらも身近にあるものでした。父の職場に遊びに行けば遊んでくれるのは研究者、父の書斎に行けば分厚い英語の専門書といった具合に。家の固定電話に突然海外の共同研究者から電話があり(なぜだったのだろう)、突然の英語にパニックになった思い出もあります。小さい子どものころ、研究も研究者もさほど興味を持っていたわけではないですが、生活の中で、父の背中を通して、意識していたもしくは意識せざるを得ない対象だったのかと思います。

私は元研究者の卵

サッカーに没頭していた少年だったはずが、不思議な引力で研究をするために大学へ。修士、博士と進み分子生物学領域で研究を続けました。未知に挑戦すること、今この世界で誰よりも知っていると自負できるものがあること、論文や学会で海を超えて成果を発表できること。魅力的なことを沢山経験し、楽しい充実した日々だったと思います。

それと同時に、アカデミアが閉じた世界に感じ、それが非常にもったいないと感じるようになりました。研究者の知恵と努力で解き明かされたもの、作られたものによって世の中の多くの人がもっと幸せになってほしい。そのような世界を作るために自分はアカデミアの外から研究者と産業をつなげる架け橋になれないものだろうか。そう思いながら過ごしている中でベンチャーキャピタルというものを知り、投資という形での貢献に興味を持ちました。

加えて、上記の世界が実現できた時、きっと研究者はかっこよく輝いているのだと思います。そんな姿を見たいと思い、バイオに明るいキャピタリストになるべく、アカデミアからビジネスの世界への転身を決意します。新卒で入社したエムスリーではCVC部門でバイオベンチャーへの投資をさせていただき、この度ANRIにジョインしたという経緯です。

私にできること、したいこと

社会人になり2年数ヶ月、「バイオに明るいキャピタリストになる」という思いは変わらないのですが、博士号を持っていることに思いあがっては絶対にいけないのだとも強く認識するようになりました。

  • そもそも私が研究していたのはバイオの小さな領域でしかない

  • 私は「元研究者の卵」というなんともしょぼいものでしかない

  • 博士号の有無にかかわらず、研究領域について熱心に勉強されている方は沢山いる

ということを肝に銘じて、仕事をさせていただきたいと思っております。
一方で、私が研究者の心に寄り添いやすい立場にいるということは大事にし続けたいと思っております。

  • データや図から研究者の見えにくい熱を感じること

  • 研究の進捗が出ない焦りや苦労に共感すること

  • 私生活を含めた一人の人間としての研究者を想像すること

は私の立場上しやすいはずです。

共感だけでは仕方ないことを認識し、勉強し続けながらも、自身のバックグラウンドやアイデンティティを大事に仕事をさせていただきたいと思います。
ディープテックスタートアップの経営者、研究者の皆様、スタートアップにご関心のある方、大学生・大学院生の皆様、お役に立てることがあれば喜んでお会いできればと思います。お気軽にご連絡ください。どうぞよろしくお願いいたします。
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最後に余談です。私の妻の祖父は核融合分野の研究者であり筑波大のプラズマ研の立ち上げメンバーでした。その義祖父が先日他界したのですが、このタイミングで核融合分野への投資を声高に叫ぶ「狂気のベンチャーキャピタリスト」のいるファームにジョインしたことは、何かを感じずにはいられません。空から見ているじいちゃんに恥ずかしくないよう頑張ろうと思います。

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