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名だたる巨匠の版画を堪能『20世紀巨匠の版画達展』inパラミタミュージアム

三重県菰野町にある「パラミタミュージアム」へ、開催中の展覧会『20世紀巨匠の版画達展』を観に行ってきた。

『20世紀巨匠の版画達展』

この展覧会では、笹慶之さんが収集してきた版画コレクション「Sasa Adair(ササ アディア)コレクション」から、マティス、シャガール、ピカソ、ミロ、ダリなどのリトグラフが紹介されている。

巨匠たちのリトグラフ

リトグラフとは、「水と油の反発作用を利用した印刷技術」のことである。19世紀にヨーロッパを中心に広がった。画家たちの作品を技術者たちが制作したリトグラフは、美術雑誌、挿画本、ポスターなどに広く活用されてきたのだそう。

版画といえば、小学生の時に作った画用紙を使った紙版画とか木版画とかが思い浮かんで、どことなく素朴というイメージだった。でもリトグラフはそんなイメージとはかけ離れた印刷技術である。
作品を観れば版画と言われないと分からないほどで、その技術に驚く。ミュシャ、ロートレックなどの作品は100年以上も前の物だ。版画技術が広がって美術作品を多くの人が楽しめるようになったという背景も知りつつ、作品に見入った。

表紙やポスターに使われてきたという作品は、今でいうグラフィックアートだろうか。キャッチーで、見た瞬間に目を奪われる。それにしてもシャガールとかマティスとかの作品が何枚も印刷されていたって、あらためてスゴイなと思う。
撮影が禁止だったのが残念だが、あまりにも印象的な作品ばかりで、目に焼き付けるべく会場を何周も観て回った。

ロックウェルのイラストも

夫が画集を買うほど気に入っていたロックウェル

この展覧会では同時に、パリッシュ、ロックウェルというアメリカの国民的画家のイラストレーションも展示されている。
ロックウェルという名前は何となく聞いたことがあったが、すぐに見たことのあるイラストだと分かった。そんなアメリカ代表のような、50年近くも雑誌の表紙を飾ってきたというロックウェルのイラストである。
その作品は、物語を切り取ったみたいで想像力を駆り立てる。遊び心があって、おしゃれでかわいい。そして何気ないシーンが描かれているようで引き込まれ、心を奪われた。

池田満寿夫さんの常設展

展示作品のポストカード

パラミタミュージアムには、世界的な版画家である池田満寿夫さんの作品が多数常設展示してある。
幼いころの記憶だが、池田満寿夫さんがテレビ番組に出演されていたのを見たことがあった。外見のインパクトも相まって「変わったおじさん」なのにどうやらエライ人らしいというイメージしかなかった。

そのイメージは大きく覆される。

池田満寿夫さんの版画作品は、スタイリッシュで、ものすごく素敵だ。見た瞬間「好き!」と思った。晩年に制作されたという陶芸の作品も、迫力がすごくて見ごたえがある。
ちょっとした衝撃を受けて調べてみれば、芸大に落ちて美術は独学、そして小説を書いて芥川賞を受賞されているらしい。規格外なおじさん、いや芸術家である。

パラミタミュージアムは隠れ家的美術館

愛知県に住んでいるから三重県はお隣で、パラミタミュージアムのある菰野町へは高速を使えば1時間ほどという近さである。
ミュージアムのお隣のリゾート施設「アクアイグニス」には行ったことがあったけれど、美術館があることは知らなかった。今回訪れたのは、シャガールとかピカソという名前をこの展覧会のポスターで見たというあくまでミーハーな動機ではあるが、ま、きっかけはどうであれ、この美術館に来れてよかったと思った。作品は展示室から展示室へ続く通路にもあれば、トイレにも展示されていて見どころ満載。ゆったりとしていて落ち着いて鑑賞できる。また来たくなる隠れ家的な美術館だ。

https://paramitamuseum.com/index.html

お隣にはリゾート施設「アクアイグニス」

そびえ立つ高速がなければもっとナイスビュー

リゾート施設「アクアイグニス」にある、辻口博啓さんプロデュースの『コンフィチュールアッシュ』でケーキを食べることも、忘れてはいけない。

その名も「利休」

まるで美術館のような建物、洗礼された景観を背景に食べるアートのようなケーキ。お腹も満足!


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