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【Museum⑫】アドミュージアム東京@カレッタ汐留

退職に伴う有給消化期間の楽しみとして、
都内の博物館・美術館を巡ってみることにしました。

気になっていた「ぐるっとパス2024」を購入したので、
その対象館が中心となります。


第12回:アドミュージアム東京

広告をテーマにしたミュージアム。

ぐるっとパスの対象施設ではなく、
常時入館無料
です。

8/31 まで、企画展「これって広告?!」展
が開催されています。

https://www.admt.jp/exhibition/program/


最寄り駅は汐留駅。

カレッタ汐留の地下2F です。

アラジンの幕があるところが地上階だと思われます。

地下鉄出口の階段を上ったところが地下2F だったり、
汐留は立体的な構造なので
階数の感覚がわからなくなります…


地下1F にはライブラリーがあり、
ここから地下2F に下りることも可能です。

ただ、展示の中盤に放り込まれてしまうので、
素直に地下2F から入るのが正解。


展示

江戸時代から現代までの広告の歴史を学べます。

といっても堅苦しさはなく、
気軽に来て楽しめる工夫が凝らされている印象でした。


広告の源流となる、江戸時代の越後屋についての展示。

屋号入りの傘を客に貸して
広告塔にしていたのは知っていましたが、
通し番号(千弐百六番) が入っていたんですね。

貸出や返却を番号でそれとなく管理していたのかも。

他にも、チラシ、タイアップ、マスメディアなどの概念が
江戸時代に誕生していたそうです。

こうしたマーケティング戦略を評して、
ピーター・ドラッカーが三井高利を
「世界初のマーケター」として評価したんだとか。


江戸の美人を列記した、大江戸美人揃評判記

愛すべきゲス文化ですね。

名前と年齢だけを見て、
アレコレ想像するのが楽しかったのかも。


時代は明治に入って、
広告の重要性を説いたのが福沢諭吉

新聞広告は「読まざるは損」で読まれる! など、
サンクコストを見切るのが苦手な人間心理を突いた
広告戦略を提案しています。

福沢の活動もあって広告が活発化しますが、
それが次第にエスカレート。

医薬品の宣伝広告を批判した福沢は、
営業妨害だとして売薬業者から提訴されたりしています。


広告費をかけまくった仁丹

売上の 3分の1 を広告費に充てたと言われています。

私が株主だったら、広告ではなくもっと本質的なことに
お金を使ってほしい、と思っちゃいますね。


東京勧業博覧会(明治40年)の「船すべり」と観覧車。

こんな広告見たら、子どもが行きたいって騒ぎますね。


戦時中の広告は、
デザインよりもメッセージ性
が強くなってきます。

灯火管制の正しいやり方広告

攻撃対象にならないように、
というシリアスなメッセージではありますが、
私にはゴミ分別のチラシみたいだと感じました。

昔は家や国を守るため、今は地球を守るため、
広く伝えようとする意思は共通なのかなと。


「買わないで、すませる工夫」
これは刺さりました。

文字だけのシンプルデザインからは、
強めの圧を感じます。

大量生産・大量廃棄社会への反動ともいえる
ミニマリズムに通じるメッセージだと思いました。


戦後は、デザイン性の高い広告が復活し、
テレビ広告も盛り上がっていきます。

1970年代以降、消費主義の反動で
こころの豊かさが求められるようになると、
豊かさとは何かを広告が決めるような動きがありました。

「金曜日はワインを買う日」が典型的。

モノやサービスを売るためには、
人々が憧れるようなライフスタイルを
広告で提案すればいい、ってことですね。


戦隊ヒーローみたいなのに襲われて、
最終的には一員になっちゃう 2006年のCM。

フルバージョンが YouTube で見られます。

「広告(=戦隊ヒーロー)は、正義の顔をした悪意」
言っているように私は感じちゃいました。

CM のサラリーマンのように、
普通に生活していても周りには広告があふれています。

逃げても逃げても追いかけてきて、
最終的にはその影響下に置かれてしまい、
モノやサービスを入手させられる。

それどころか、口コミを介して広告の一端となり、
次のターゲットに影響を与えることになります。

2006年当時は、インターネットでの口コミの影響力が
注目されはじめたタイミングだったのかもですが、
現代の視点から見ると、強くなりすぎた口コミの力を
揶揄しているように感じられます。

昔の広告を見ることで時代の変化を感じられ、
こういった新しい発見があるのはおもしろいんですけどね。


ここにもガラケーコレクションが。

すっかり歴史的遺物の顔をしていますね、君たち。


広告とは何か?を来場者が書いて貼っていく
コーナーが展示の最後にあります。


専門家の回答も掲示されていて、中でも
「あたらしいあたりまえ」は、
まさにプロフェッショナルの回答。
(同じ書名の本があるので、
 まったく新しい言葉ではないのかもですが)

広告が担ってきた「ライフスタイルを提案する役割」
端的に表した一言だと思いました。

大量消費を煽るのも広告なら、
節制を呼びかけるのも広告。

まさに社会を映す鏡ですね。


おわりに

江戸時代からの歴史を学びつつ、
ノスタルジーにもひたれる
空間でした。

入館無料なので、お近くにお越しの際は
ふらっと立ち寄ってみては。

情報量はかなり濃いですが、
見たいところに絞って流し見も可能です。
(広告って本来そういうもの)


NTTドコモ歴史展示スクエア でも感じたとおり、
自分が見聞きしていた広告が
歴史の一部になっていく
のは感慨深いですね。

ちょっと昔の CM やガラケーを見て
「あの頃の記憶」が蘇ってくるのは、
子ども時代には味わえないオトナの贅沢です。


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いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。