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購入する書籍・読む論文をどう選ぶか?-私の選び方

分析・コンサルティングという仕事柄、書籍や論文には日々目を通しています。

ちゃんと読んでいるかどうかはさておき、書籍については年間100冊ぐらいは購入しています。論文については日々必要に応じて検索して読んでいるので、年間で何本ぐらい読んでいるか分かりませんが、100本以上は読んでいると思います。

当然実際に購入している書籍や読んでいる論文以上に、数多くの書籍や論文が発行されているのですが、購入する書籍や読む論文をどうセレクトしているのかを紹介したいと思います。

あくまで私自身のセレクトするポイントなので、一部でも役に立つようであれば今後の参考にしていただければと思います。

1. 購入する書籍をセレクトするポイント

まず購入する書籍ですが、

・現在手掛けている分析・コンサルティングプロジェクトに関連する(短期)
・分析・コンサルティングに関連する/あまり関連しないが興味がある(中期・長期)

のように短期、中長期の2つのフェーズに応じたセレクトの仕方があります。

1-1. 短期的視点での書籍セレクトのポイント

短期的というのは、現在手掛けている分析・コンサルティングプロジェクトに直接的に関連しているテーマです。

たとえば「A社のブロックチェーン分野への新規事業開発戦略策定」であれば、ブロックチェーンに関連する書籍が該当します。

現在手掛けている分析・コンサルティングプロジェクトに使いたい場合は、分析・コンサルティングプロジェクトのテーマについて概要を把握すると同時に、どのような技術や課題が注目されているかを確認することが目的になります。

このような合は、

・入門書を1~数冊
・専門書を1~数冊
・ブロックチェーンに関連する人物(経営者、研究者)の書籍を1~数冊

と購入します。

書籍の場合、選び方はいたって簡単で、AmazonなどのECサイトではなく、実際の書店に行って[ビジネス書]のコーナーや[理工書]のコーナーに行って数時間背表紙を眺めつつ、気になったタイトルなどがあったら実際に手に取って中身をパラパラめくって、良いと思ったら購入します。

その際の「良い」の基準ですが、

・著者のプロフィール:その分野の専門家か?
・はしがきで書籍の目的を明示し、それが自分の目的に合致しているか?
・目次が充実しているか?
・図表が豊富か?(テーマに依りますが)
・引用・参考文献が充実しているか?

があります。あとは

・文章のスタイルが自分に合っているか(自分にとって読みやすいか)?

も基準としてありますが、これは個人差があると思います。私にとってはフィットしない文章スタイルでも、ほかの方にはフィットするかもしれません。

入門書、専門書、人物に関連する書籍を1~数冊ずつ買っていますが、全部を熟読するわけではありません(入門書は通読しますが)。複数冊を比較して読むことで共通することは繰り返し出てきますので、抑えておくべきポイントなんだと分かります。

また実際に購入してみたが、読んでみたら期待していた内容とは違ったということもありますので、1冊だけではなく分野が異なる書籍を複数冊買うようにしています。

1-2. 中長期的視点での書籍セレクトのポイント

中長期的視点での書籍セレクトのポイントですが、これは前提として自分が興味あるテーマを複数持っておく必要があり、私はこれを「アンテナ」と呼んでいます。

詳しくは拙著「調べるチカラ」をご参照ください(スイマセン、宣伝で)。

私の場合、中長期的なテーマ(=興味があるテーマ)としては

・経営
・ベンチャー・スタートアップ
・分析
・コンサルティング
・発想法・アイデア創出
・可視化・ビジュアル化
・新たなテクノロジー

などがあります。目の前にあるプロジェクトには直接的には関係しないのですが、ゆくゆくは役立つかもしれない書籍をセレクトすることになります。

本を選ぶ場所は書店の場合もありますが、Amazonで選ぶ場合もあります。書店の場合は、セレンディピティのような偶然に自分が興味を持っていたテーマに合致する書籍が見つかるケースがありますので、

・その場で購入
・写真を取っておいて、後でAmazonでショッピングカートに入れておく

のいずれかになります。重要なのはどこかに記録としてとっておくことです。

以前に、本屋で見て「あ、この本良いな、あとで買おう」と思ったのですが、途中で何という本で、誰が著者だったか忘れてしまい思い出せなくなってしまったことがあるので、それ以来、その場で購入しないのであれば少なくとも表紙だけでも写真を取っておくようにしています。

ショッピングカートに入れておくと、別の本を購入する際に目に触れますので、その都度自分の問題意識を再確認するのにも役立ちます。結果的に購入するか否かは自分のテーマへの興味度合いでまちまちです。

仮に中長期的なテーマについて1冊購入して良かったら、そこからAmazonの関連書籍(レコメンデーション)や、書籍の引用文献・参考文献を参考にして他の書籍も購入します。

2. 読むべき論文をセレクトするポイント

短期的テーマで論文を読む場合は、書籍の場合と異なり、図書館にいって論文をざっと読むということがなかなかできません。

大学・大学院生の時代は大学図書館にこもって、自分の研究分野である熱流体力学関連のジャーナルを片っ端から読んでいました。いわゆるマニュアル調査ですね。

そのため、CiNiiやJ-STAGE、Google Scholar、海外であればScienceDirectなどを使ってキーワード検索を使って論文を探します。もちろん普通のGoogle検索で論文を探す場合もあります。

ピックアップした論文を読むか否かですが、短期的なテーマではとりあえず片っ端から読んでいきます。全文読むというよりは、必要なことが書いてあるか否かをつまみ食いしながら読んでいくというイメージでしょうか。

ただし、論文であってもレビュー(過去から現在までの歴史やトレンドをまとめている論文)は一通り目を通すようにしています。レビュー論文の場合は引用文献・参考文献もしっかりしているので、必要に応じて引用文献・参考文献の論文を探して芋づる式に読んでいきます。

中長期的なテーマの場合、論文の探し方自体は短期的なテーマと同様なのですが、セレクトする基準は上述した書籍をセレクトする際の基準と似ているところもあります。中でも重視しているのは

・査読付きか否か
・参考文献・引用文献

の2点です。

査読付き論文であれば、レビュアーのチェックを経ていますので、ある程度記載内容が信頼できると考えられます(レビュアーの質は担保されているという前提)。

一方、査読なしの場合はチェックが入っていません(入っていたとしても特許でいうところの方式審査ぐらい)ので、著者の個性がモロに出ています。著者自身がある程度論文などを書き慣れた方であれば良いのですが、そうではないと単なる我田引水系の論文である場合も多いので、参考文献・引用文献がしっかりしているかをチェックします。

参考文献・引用文献がない、参考文献・引用文献があっても薄い、または参考文献・引用文献が自著ばかりの場合、過去の研究をしっかりとサーベイできておらず、勝手に自分自身のオリジナリティを主張している可能性が高いです。

特許出願でいうところの先行技術調査を行わずに、自分の発明には新規性があると勘違いしているのと似ています。もちろん進歩性はあるとは思いますが。

また、査読付きか否か、参考文献・引用文献の2点は関係なく

・著者

でセレクトする場合もあります。

特許情報関係であればスマートワークスの酒井美里さんやVALUNEXの中村達生さん、旭化成・知的財産部長の中村栄さんの論文であれば、査読付きでなくても読みます。

3. 知財分野の論文について思うこと

知的財産というのは特許法を始めとした法律の世界と、実務の融合領域だと考えています。

また知財法だけではなく、知財マネジメントについてアカデミックに研究されている研究者の方もいるので非常に学際的な分野だと思うのですが、ややもすると法律は法律、アカデミアはアカデミア、実務は実務とそれぞれの枠に閉じてしまう嫌いがあると感じています。

もちろんそれぞれクローズするところもあるのですが、お互いの領域の研究成果が相互に活用できるのであれば、活用しない手はないと思います。

その1つのつながりを示すのが「参考文献・引用文献」なので、私としては書籍であろうが論文であろうが「参考文献・引用文献」をセレクトする際のポイントとしてかなり重視しています。

4. 参考書籍

購入すべき書籍や読むべき論文をセレクトする際の1つの基準として「参考文献・引用文献」を挙げていましたので、noteの記事とは言え、参考書籍を挙げないことは単なる我田引水になってしまいます。

当然ながら上述したことは全てが私自身のオリジナルというわけではなく、様々な書籍に影響を受けています。その中で参考になりそうな書籍を何点か紹介します。



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