注目されるメタバース企業Robloxはどのような特許を出願しているのか?

「知財情報を組織の力に®」をモットーに活動している知財情報コンサルタントの野崎です。

2021年10月28日付でFacebookがMETAに社名変更してから、メタバース(Metaverse)への注目が徐々に高まっています。

本noteでも「Meta(旧Facebook)の目指すMetaverse関連の特許出願状況は?」と題した記事を投稿していますが、

今回は以下のBusiness Insiderで取り上げられていたメタバース企業Robloxに着目したいと思います。

このRobloxは、

ユーザーがゲームを作成、共有したり、他のユーザーが作成したゲームをプレイしたりできる、オンラインゲーミングプラットフォームおよびゲーム作成システム

https://ja.wikipedia.org/wiki/Roblox

というもので、

など有名企業もRoblox内での仮想店舗設立を発表しています。10年以上前に流行したセカンドライフをほうふつとさせます。

今日は、個の注目されているメタバース企業Robloxの特許出願について紹介していきたいと思います。

Robloxの特許をGoogle Patentsで確認してみます。

AssigneeのところにRobloxと入力して検索するだけです。結果、97件(2022年2月22日)がヒットしました。

ヒットした特許については以下をご確認ください。

97件全部を紹介するわけにはいかないので、メタバース関連特許や私個人が見て面白いと思った特許をピックアップしたいと思います。

まずは仮想空間上でおもちゃを作成する方法です。Robloxを実際にプレイしたことがないのですが、使われている図面は実際のRobloxの画面なのでしょうか。

US8292744B2
オンライン・ビルディング・トイ
本発明は、オンラインゲームを構築するための方法および装置に関するものである。一実施形態では、本方法は、ユーザによるパーツの選択を容易にするユーザインターフェースを提供することと、ユーザが選択したパーツのセットを3次元(3D)世界に配置することとを含むことができる。この方法は、3Dワールド内で互いに近接していることに基づいてセット内のパーツを結合して、ゲームのための1つ以上のモデルを形成することと、これらのモデルのそれぞれのモデルファイルを、様々なユーザが使用するためにネットワークを介してサーバに送信することとを含むこともできる。

続いては仮想空間内における照明に関する特許。

The computing load for very busy videos, to keep them looking real, is a severe limitation to the number of objects and lighting variety that may be incorporated. What is clearly needed in the art is a new way to render lighting effects on objects in a dynamic video that has far less demand for computing power, but still renders very real effects.(非常に忙しい映像をリアルに見せるための計算負荷は、組み込むことのできるオブジェクトの数や照明の種類に大きな制限を与えています。そこで、計算負荷を大幅に軽減しながらも、リアルな映像表現を可能にする、ダイナミックな映像におけるオブジェクトの照明効果の新たな表現方法が求められています。)

という課題に対する出願で、仮想空間内によりリアリティを持たせるための工夫です。

US10163253B2
仮想世界での照明管理
方法は、命令を実行することによって3次元の仮想環境を提供し、コンピュータ化された家電製品の表示画面上に環境を2次元で表示することと、座標仮想環境によって配置された表面を持つオブジェクトを有する仮想環境の空間内のセルのマトリクスを定義することと、セルを持つオブジェクトの交差するセルの相対的な占有値を決定することと、光源の方向に、セルからセルへのオクルージョン効果を含む、強度と方向と占有値を考慮したセルの相対的な照明値を決定することと、隣接するセルの照明値に応じてピクセルの色と強度を管理することによってオブジェクトの表面に照明効果を表示することを含む。

続いては仲裁システム(裁判所?)。既に仮想空間内での紛争を念頭にこういう出願までされているとは(笑)

US20110196723A1
仮想仲裁システムおよび方法
3次元仮想世界が提供され、1つまたは複数の3次元ゲーム・オブジェクト上の侵害訴訟の被告側当事者を表すアバター、侵害訴訟の被告側当事者を表すアバター、紛争中のオブジェクトを含む仮想空間アリーナ、侵害訴訟を主宰するために集められた陪審員を表すアバターを含む陪審員ボックス、および陪審員を指示し、陪審員の意見に基づいて訴訟の判決を下す裁判官を表すアバターを含む。陪審員は、仮想アリーナでのオブジェクトのデモンストレーションを通じてオブジェクトとオブジェクトの機能を観察し、裁判官の指示に従ってオブジェクトの類似性に関する意見を提供し、裁判官は陪審員から収集した意見を統計的に分析して評決を下すというものです。

最後に面白いと思った特許を1件。

US9901833B2
モチベーションスコア
システムは、ネットワークに接続され、プロセッサを有するコンピュータ化されたサーバと、プロセッサに結合されたデータ・リポジトリと、非一時的媒体からプロセッサ上で実行されるソフトウェア(SW)とを有する。ソフトウェアは、ネットワークに接続されたコンピュータ化された機器を操作するプレーヤが、サーバ上でホストされているサイトにログインすることを可能にし、サイトは、プレーヤがナビゲートすることができるビデオゲームおよびその他の場所を提供し、プレーヤがプレイするために入力することができるゲームおよびプレーヤがナビゲートするために選択することができるその他の場所で、プレーヤが使用可能な仮想通貨を購入することを可能にします。プレイヤーがサイトにログインしている間に使用した仮想通貨に応じて、あらかじめ設定された比率でプレイヤーにポイントを付与し、プレイヤーおよび他のプレイヤーに付与されたポイントを計算し、少なくともポイント数の多いプレイヤーのポイント数をサイトに表示します。

Robloxはゲームということで、ゲームのやる気=モチベーションを起こさせるためのスコアという仕組みですが、これはゲームに限らず、仮想空間内での仕事などにも応用できるのではないでしょうか。

以上、注目を浴びているメタバース企業Robloxの特許について紹介しました。Robloxの特許は特許に不慣れな方でも読んでいて楽しいと思うので、ぜひとも下記よりざっと全件眺めていただければと思います。

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