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特許から見た企業・ベンチャー動向

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GAFAM+BATなど注目を集めている大手企業テクノロジーから、注目テクノロジーのベンチャー・スタートアップに至るまで幅広い企業を対象にして特許出願状況から見たトレンドを解説。
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記事一覧

経営破綻してしまった電動キックボードシェアサービスBird Ridesの特許出願

「知財情報を組織の力に🄬」をモットーに活動している知財情報コンサルタントの野崎です。 「電動キックボードの米バード経営破綻」とのニュース 日本では電動キックボードのライドシェアLUUPが規制緩和で一気に街中で走るようになりましたが、先行していた米国企業が破綻してしまいました。 ちなみにバード(正式社名はBird Rides)は子会社のScoot NetworksとScoot Ridesを加えて、6ファミリーの特許を出願しています。 うち1件は日本対応出願もあり、 「

ARヘッドセットメーカーMagic Leapの身売り先は?|特許情報から候補を出してみる

先日、AR(拡張現実)ヘッドセットメーカーのMagic Leapに身売りか?との報道が出ました こちらの記事や他のニュースも調べると、Magic Leapはこれまで ジョンソンエンドジョンソン Facebook Apple Google が買収を検討したことがあるようですが、いずれも買収断念ということで終わっています。 IPランドスケープが注目されるようになった2017年7月の日経の記事で、”ナブテスコがM&Aを行うにあたって特許情報を活用した”ということが取り

注目されるメタバース企業Robloxはどのような特許を出願しているのか?

「知財情報を組織の力に®」をモットーに活動している知財情報コンサルタントの野崎です。 2021年10月28日付でFacebookがMETAに社名変更してから、メタバース(Metaverse)への注目が徐々に高まっています。 本noteでも「Meta(旧Facebook)の目指すMetaverse関連の特許出願状況は?」と題した記事を投稿していますが、 今回は以下のBusiness Insiderで取り上げられていたメタバース企業Robloxに着目したいと思います。 こ

M&Aによる技術面のシナジー効果を特許情報から検証する-オラクルのCerner買収を例に-

「知財情報を組織の力に🄬」をモットーに活動している知財情報コンサルタントの野崎です。 昨年末にオラクルが医療用情報システムプロバイダーのcernerを約283億ドル(約3兆円)で買収すると発表しました(プレスリリース)。 今回はこのM&Aを例にして、特許情報を用いた技術面のシナジー効果について検証していこうと思います。 1:特許情報を用いたシナジー効果の検証とマーケット面の整理特許情報を用いてM&Aのシナジー効果を検証する際、3C(自社、競合、顧客・市場)の3つの側面で

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転んだときだけ柔らかくなる床「ころやわ」を手掛けるMagic Shieldsの特許出願

「知財情報を組織の力に🄬」をモットーに活動している知財情報コンサルタントの野崎です。 SNSを見ていると、ベンチャー・スタートアップの資金調達などの情報を目にすることがあります。 たまたま、Magic Shieldsが1.4億円の資金調達を実施したというニュースが目に入ってきました。 手掛けている製品が 転んだときだけ柔らかくなる床「ころやわ」 とIT関係ではなくモノだったので、どんな特許出願しているのか気になったので調べてみました。 まずMagic Shield

【グローバルランキング】2020年に発行された特許・実用新案

2021年度がスタートしました。 ここで昨年2020年に発行された特許のグローバルランキングについて紹介したいと思います。 YouTubeでの解説は以下をご覧ください(2021年4月4日ライブ配信)。 なお、ランキングをご覧いただく際に以下の点にご留意ください。 ・最先発行日が2020年1月1日~12月31日であるものが対象です。 ・パテントファミリーベースで検索を行っているので、出願件数ではありません。 ・中国は特許出願と同等規模の実用新案出願がありますが、特許と実

人工たんぱく質・蜘蛛の糸のSpiber-注目ベンチャーの特許出願状況-

注目ベンチャー・スタートアップ企業の特許出願状況について紹介するシリーズを開始します。 各ベンチャー・スタートアップの出願トレンド(件数推移・技術分野別出願状況)をまとめるとともに、実際の特許リストをGoogleスプレッドシートで公開することで、ベンチャー・スタートアップの皆さまがたに実際に特許公報を読んで、慣れ親しんでいただく機会を増やしたいと考えております。もちろんベンチャー・スタートアップ以外の方々にも実際どのような出願があるのか確認いただければと思います。 第1弾

【特許から見るM&A】日立金属はどこに買収されるのか?-日本企業編-

事業再編を進めている日立製作所。 日立化成(現昭和電工マテリアルズ)を昭和電工に売却したのに続き、御三家といわれた日立金属を売却するための1次入札を昨年11月末に実施しました。 また、昨年末には産業革新投資機構(JIC)が日立金属への出資に名乗りを上げたとのニュースも流れました。 日立金属は2013年には日立電線を吸収合併し、素材・材料メーカーとして幅広いラインナップを誇っています。 1次応札に応じたのはベインなどのファンドでしたが、なぜファンドなのか?という疑問があ

【特許から見る】IBMの顔認証事業の特許はどうなるのか?

IBMが顔認識事業から撤退することを表明しました。 知財サービスに従事している自分からすると、こういうニュースを見ると気になるのが IBMの顔認証・顔認識関連特許はどうなるのか? という点です。 本記事はあくまでも私個人の推測になりますので、本記事をベースに何らかの意思決定をされた上での損害等について責任は負いません。ライセンス先・売却先候補を探すための特許分析のアプローチとして参考にしていただければ幸いです。 IBMの取りうる手段は大きく3つ 1.特許群を放棄(

【無料記事】特許から見たオリンパスがデジカメ等の映像事業売却-何件ぐらいの日本特許が売却されるのか?-

今日は、こちらのニュース「オリンパスがデジカメ等の映像事業を売却」でミニ毎朝特許検索をしたいと思います。 オリンパスのデジカメのCMというと宮崎あおいさんの印象が強く残っています。 事業売却というと、それに伴って特許も譲渡されると予想されます。さて、オリンパスのデジカメ・映像事業関連で譲渡される特許は何件ぐらいあるのか、J-PlatPatでざっくりと検索してみたいと思います。 あくまでもJ-PlatPatを用いた特許検索のアプローチを説明しておりますので、投資目的等に本

【特許から見るM&A】昭和電工の日立化成買収によるシナジーは?

2020年4月末になりますが、昭和電工が正式に日立化成を連結子会社化したことを発表しました。 日立化成の買収にはカーライル、ベイン、日東電工、そして昭和電工が名乗りを上げていましたが、最終的には昭和電工が日立化成の時価総額の約3倍である1兆円規模で買収することになりました。 昭和電工はプレスリリースにおいて、 今回の再編を機に、化学業界の川上(素材)に位置する昭和電工グループと川中から川下(機能・モジュール・評価)に位置する日立化成グループが一体となり、今後予想されるグ

【特許から見るM&A】昭和電工ではなく、仮に日東電工が日立化成を買収していたら?

1か月ほど前に【特許から見る】昭和電工の日立化成買収によるシナジーは?という記事をアップしたところ数多くの方にご覧いただきました。 また 皆様から注目度合いが高ければ、仮に日東電工が日立化成を買収していたらどうなっていたか?も記事にしたいと思います。 と記事末尾に書きましたところ、ぜひ日東電工-日立化成編についても記事を読みたいというコメントをいただきましたので、今回は昭和電工ではなく、日東電工が日立化成を買収していたら?というタイトルで分析記事をお届けしたいと思います