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非知財情報・非特許情報という表現やめませんか?

今日の話は過去の自分への反省も込めています。

2017年4月以降、極力使わないようにしているキーワードがあります。それは

非知財情報・非特許情報

です。

知財情報・特許情報に非ず、で非知財情報・非特許情報です。

ちなみに ”極力使わない” と書いたのは、まだ使ってしまっているケース(過去から続いているセミナーアジェンダに掲載されている例なども含めて)があるからです。

ちなみに拙著「特許情報分析とパテントマップ作成入門」(2011年初版、2016年改訂版)でも”第6章 その他知財情報と非知財情報の分析”と書いてしまっています・・・・次の改定では修正します。

とはいえ、知財情報をより積極的に活用いただく際には、内向きで良くない表現だなと思うので、使わないようにしていくのが良いのではないでしょうか?というのがこの記事の趣旨です。

そもそも非知財情報・非特許情報とは

知財情報というのは、主に

・特許情報(実用新案も含む)
・意匠情報
・商標情報

で、これ以外の情報が非知財情報ですので、どういった情報が非知財情報かというと、

・企業情報
・ベンチャー・スタートアップ情報
・マーケット情報・市場情報
・財務情報
・製品・サービス情報
・学術文献情報・論文情報

などが挙げられます。

MECEに考えれば

MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)でもれなくダブりなく考えるという点で、Aと非Aで考えること自体悪くないのですが、特許情報と非特許情報というとどうも特許情報が主で、特許以外の情報が従であるという印象を受けてしまいます。

一言で言ってしまえば特許情報中心主義ですね。

もちろん、2017年4月以降に利用されることが多くなった「IPランドスケープ」というキーワードが含意している”特許情報だけではなくマーケット情報など特許情報以外も総合的に分析”を強調するために利用している点は承知しています。

しかし、常日頃分析・コンサルティング案件を行っていると、特許以外の情報分析を中心に行うこともあります。「IPランドスケープの底流―情報分析を組織に定着させるために」にも掲載したのですが、

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業界・業種や分析対象となる製品・サービスによっては特許以外の情報収集・分析を厚く分析することもあります。

特許情報と言っても万能なわけではなく、あまたある情報の中の1つの情報が特許情報であると考える方が良いのではないでしょうか。

というよりも、現時点では知財以外(あとR&D)の部門の方にとって、特許情報と言うのは分析対象資料・情報として認知度が高いとは言えないので、TPOに応じて特許情報がとても重要なシチュエーションもあるので、認知度を高めて分析を行う際にすぐに想起する情報の1つとして認知してもらいたいと考えています(それがイーパテントのモットーである「知財情報を組織の力に」)。

非知財情報・非特許情報を使わない方が良いと思う別の理由

一応、他のリサーチや分析・コンサルティング業界について調べてみましたが、非マーケット情報でGoogle検索すると6件でした。

ちなみに非金融情報だとそこそこヒットします。

知財情報(特に特許情報)は一般的に言われているように、

権利情報・・・特許権
技術情報・・・発明は技術的思想の高度なもの
経営情報・・・ヒト・モノ・カネ

なので、少なくとも3つの側面を有した情報なわけです。特許情報を使った新規事業開発・新規顧客開拓なども行えますので、マーケット情報的な側面も有しているわけです。

なので、もしもA情報と非A情報で切り分けるのであれば、情報の持っている属性で”非”をつけた方が良いのではないかと思います(例:金融・非金融、財務・非財務、技術・非技術など)。

おわりに

冒頭で申し上げた通り、この記事は過去の自分への反省であり、現在使っている方への批判等するものではありません。

ただ、非知財情報・非特許情報というキーワードを使わないことが特許情報中心主義から抜け出して、真に特許情報を1つの情報として認知してもらえるための一歩になるのではないかと考えています。

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