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特許分析って公報を読まなければいけないの?統計解析すれば良いの?-ユーグレナ・ファンドのキューサイ買収を例に-

特許分析を行う際に、クライアントからよくいただくのが

特許分析する際は数千件~数万件の母集団を対象にすると思うのですが、公報ってすべて読まなければいけないんですか?

という質問です。

結論をいうと、

分析対象技術の出願特性と分析の目的に応じて、公報を読む読まないを選択すればよい

となります。

むしろ、なんでもかんでも公報を読まなければいけない、統計解析すれば良い、というものではありません。

今回は昨年末にニュースになった「ユーグレナが青汁で有名なキューサイを買収」を例に考えていきたいと思います。

1. ユーグレナとキューサイのシナジーを特許面から考えてみる

ここではユーグレナがキューサイを買収することでどのようなシナジーがあるのか?というのを特許面から考えていきたいと思います。

上記のニュースから

健康食品部門の収益力を高め、バイオ燃料の開発につなげる

とありますので、キューサイの青汁などの健康食品関連の技術を吸収して、自社事業を強化したいのだろうと予測できます。

キューサイの健康食品関連出願によって、ユーグレナの健康食品関連出願ポートフォリオが強化されていることを示すことで、特許面からのシナジーを確認できそうです。

2. ユーグレナ・キューサイの国内出願状況

まずJ-PlatPat特許・実用新案検索で両社を検索します。

以下のようにユーグレナ100件、キューサイ26件となります(期間限定なし)。

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まず、エレクトロニクスや情報通信分野に比べると非常に出願規模が小さいことが分かります。続いて件数推移を見てみましょう。

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キューサイは1994年から出願を行っていますが、毎年コンスタントに出願しているわけではなく、断続的に年1~数件程度の出願を行っています。

3. ユーグレナ・キューサイの技術分野ごとの出願状況

つづいて日本固有の特許分類である筆頭FIサブクラスの累積件数をコンパラマップで見てみましょう。

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ユーグレナの出願が多いのは、

A61K 医薬用,歯科用又は化粧用製剤
C12N 微生物または酵素;その組成物;微生物の増殖,保存,維持;突然変異または遺伝子工学;培地
A23L A21DまたはA23BからA23Jまでに包含されない食品,食料品,または非アルコール性飲料;その調製または処理,例.加熱調理,栄養改善,物理的処理

となっていて、医薬品、バイオテクノロジー、食品・飲料に関する出願が多くなっています。一方、キューサイの出願が多いのは

A23L A21DまたはA23BからA23Jまでに包含されない食品,食料品,または非アルコール性飲料;その調製または処理,例.加熱調理,栄養改善,物理的処理
A61K 医薬用,歯科用又は化粧用製剤

のように食品・飲料、医薬品です。

2社が注力している医薬品(A61K)、食品・飲料(A23L)の2つの分野について件数推移を見てみます(2001年以降に限定、2019-2020年出願は未確定値)。

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