第2話 feat. 坂本龍馬-02

「なにしちゅうんじゃ?」
「写真撮ってるの。インスタあげていい?」
「いんすた??ほりゃあなんじゃ?」
「インスタ。わかるでしょ?」わかるわけがなかった。
龍馬は必死に考えてインスタなるものについて思考を巡らせた。
「それは、あれか。西洋のものかの?」
「んー、どうだろ?多分日本人が作ったやつ。」
残念ながら日本由来のモノではない。
「よーわからん。それは何をするもんじゃ。」
「私の写真をみんなが見て、いいね、とかしたりすんの。」龍馬はそのとき、自分がかつて写真撮影したときのことを思い出していた。
後世に姿を残すため、なにより興味本位で撮影したものだ。今の自分を一瞬で描き出す機械、それがきっと現世では彼女が手に持つスマートフォンなのだ。


「んならば、、この時代の瓦版というところか?」龍馬は写真を大勢に見せ回るということを聞いて、それはつまり現世でいう瓦版ではないか?と考えた。龍馬は悍ましいほどの想像力で、現世の物事や出来事を理解しようと、自分なりに思考を巡らせ話しをしていた。
「ん?かわらばん??」しかし残念なことに、
女は瓦版というものを知らない。
「瓦版じゃ。知らんのか…?」二人は話が噛み合わないことが、いい加減おもしろくなってしまって吹き出して笑った。
「すまんが、瓦版には載せんでくれ。それだけは駄目なんじゃ。」
「どうして?」
「ワシの時代に帰れのおなる。」
「え、マジ?ヤバいじゃん…!」女は見た目の割に、真面目なところがある。人様に迷惑を掛けないことをモットーにして生きてきたほどだ。女は律儀にインスタへの投稿をやめ、スマホをカバンに放り投げた。

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