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世の中に実際にある様々なサービスや商品を、『小説と音楽の融合コンテンツ』でユーザーに仮想体験してもらう、PRとUXを融合させた、新しいエンタメサービスです。ご興味のある方は、【アナザUXストーリーについて】のノートをご覧ください。

マガジン

  • 小説:GoodVibesな夜

    【飲み会マッチングアプリ『ジョイナス』のとある物語】 http://joinus30.com/

最近の記事

最終話 Good Luck, Good Vibes.-03

「あれ、亜由美ちゃん。」 「探してたんだよ、なにしてたの?」 「んー、まぁちょっとね。さ、さ、残り僅かなイベントを楽しもー!」 会場に戻るとスタッフの粋な計らいか、作品となったエルサルバドルがステージ横のスペースに展示されていた。それには依然として多くの人たちが群がっていた。亜由美と海保は今更ながらにIKIBAに酒をもらいにいく。注がれたカップには顔写真が貼ってあった。 「あ、こいつ!」その顔は火を見るより明らかな顔見知り。SARIRAHの縞柄メガネだった。ごった返した人々

    • 最終話 Good Luck, Good Vibes.-02

      「あなたは、気が付いていたんですか。龍馬のこと。」 「さぁ、どうでしょう…もういいですか?クタクタに疲れているんです…」 ふらふらと夜の表参道へ消えていく司を、これ以上呼び止めることはできなかった。司は帰り際、今までのメモを全て消してしまおうとスマートフォンを眺めた。しかしそこには、見覚えのないメモが一つあった。司はそれを見て、手を止め、足を止めた。 「今まで勝手にカラダを借りて悪かったの。日本の夜明けはまっことGoodVibesだったぜよ!!ほいでは、またいつかの。」 「

      • 最終話 Good Luck, Good Vibes.-01

        「龍馬ちゃん…。」 「どうやら、催眠やら暗示やらが解けるようじゃ。意識が薄くなってきとるぜよ。」 「そんな…。」 「悲しむことではないき。やっと、ワシの時代に戻れるんじゃ…。」 龍馬は決して過去へ戻るわけではない。意識ごと彼方に消滅するのだ。リカにもそれは理解できたが、あえて口にするほど野暮ではなかった。 「リカにはまっこと世話になったぜよ。」 「ううん、こちらこそだよ…!何もしてあげられなくて…ごめんね。」 「何を言うがじゃ。こうしてワシの時代に帰れるのは、リカのおかげじゃ

        • 第19話 ミッドナイトコーラ-03

          「きたわね。ミッドナイトコーラ。」 「これは…何が始まるんじゃ?」 「ミッドナイトコーラは、貴方にとても興味があるそうでね。貴方を題材としたアート作品を創りたいんですって。そしてそれを、この大衆の前で完成させる。それこそが彼等のアートなのよ。」エルサルバドルが説明するも、龍馬には皆目理解できなかった。 「なにを言うとるんじゃ?」 「そうか…!その水みたいので、龍馬ちゃんを固めて、それを作品にするってこと!?」リカの閃きに、エルサルバドルは答えた。 「ご名答。よくわったわね。貴

        最終話 Good Luck, Good Vibes.-03

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        • 小説:GoodVibesな夜
          61本

        記事

          第19話 ミッドナイトコーラ-02

          「ミッドナイトコーラだぁぁ!」一人の男が上げた声が、辺りを騒然とさせた。過激派気鋭アーティスト集団ミッドナイトコーラが、ネオンサインと着物と宇宙服をぐちゃぐちゃにミックスした様な奇抜な衣装に身を包み、昨今の近未来アミューズメント施設に常設してありそうなセグウェイを操作していた。近づく群衆をビビービビーと電子音で威嚇し、爆音で淋しい熱帯魚 Showa Groove Mixを流しながら、歩くほどの速度で突き進んでくる。それは着実にステージのほうへ向かっていた。 スタッフが「乗り物

          第19話 ミッドナイトコーラ-02

          第19話 ミッドナイトコーラ-01

          「最初タイムスリップの方法がわかったなんて聞いたときはホント焦ったわぁ。タイムスリップも何も、あんたは坂本龍馬じゃないんだから。でも調べていくうちに、違うってわかったの。」 ただ無造作に騒ぎを起こさせるだけではインパクトと話題性に欠けると考えたエルサルバドルは、そのタイムスリップの一件を利用することにした。 「それ、どういうこと。違うって、なに?!」衣川から聞かされなかったそれを、リカはエルサルバドルに問いかけた。 「あんたも何も知らないのねぇ。ただのパーツ、哀れな歩の駒ね。

          第19話 ミッドナイトコーラ-01

          第18話 恋する乙女-03

          「なぜ、こんなことを??」司が言った。 「ドラマは坂本龍馬が現代に現れる話だと聞いて、ピンと来たのよ。この現実世界に実際に坂本龍馬をタイムスリップさせれば、きっと話題になる。そしてドラマが注目されるとね。」 もちろんエルサルバドルとはいえ、坂本龍馬をタイムスリップさせることなどできない。そこで考えたのが、誰かを坂本龍馬に仕立てることだった。 協力者を用意して演じさせようとも考えたが、ボロが出るかもしれない。そこに現れたのが、佐々木司だった。司とはバーで偶然出会った。エルサルバ

          第18話 恋する乙女-03

          第18話 恋する乙女-02

          「なっ…これは…!」跪く龍馬に観客はよりざわめきを増す。リカは慌てて駆け寄った。 「りょ、龍馬ちゃん…?!」龍馬の視界がぐにゃりと歪んでいく。赤く、青く、緑に変色して、チカチカガンガン、リカの声も遠巻きになっていく… 「おはよう、ご機嫌いかが。佐々木司さん。」エルサルバドルの問いかけに、ぐったりした龍馬が顔を上げ虚ろな目で「こ、ここは…?」見た目や声はもちろん同じなのに、龍馬ではない、とリカは察した。 「あなた、誰?」「エルサルバドルさん、あなたがなんで?!ここはどこですか

          第18話 恋する乙女-02

          第18話 恋する乙女-01

          「ど、どうしたんじゃ?エルサルバドル。」 騒然とする観客と舞台上の人々を代表するように、龍馬が問いかけた。エルサルバドルはヘラヘラと笑みを浮かべながら、ぼそっと何かを言った。 誰にも聞こえないような声で、龍馬をはじめとした辺りの人間は疑問の表情を浮かべる。するとエルサルバドルはすーっと息を吸う素振りを見せた。 「もう少しだったのにぃぃぃぃぃ!!」しばらくの沈黙が会場を包んだ。マイクも通していないその声は、イベント中、IKIBAの厨房にも届くほど突き刺さる発狂だった。 「もう

          第18話 恋する乙女-01

          第17話 いつだってドラマチックスタンダード-03

          ゴツゴツ、という鈍い足音と「あ、おい!」というスタッフの静止の声が聞こえ、龍馬たちはステージの袖に目をやった。パチパチパチ… 歓声と音楽が、一瞬時が止まったように、乾いた拍手だけがそこには響いたように思えた。目がチカつくほどの衣装、怯むほどのガタイの良さ、金銀の装飾に超ド派手で奇抜なメイク。まるでレディガガを模して造られたオブジェと人間を足して2で割ったような存在、エルサルバドルだった。 「おお、エルサルバドルか!おまんも来とったがか?!」 「おめでとう、おめでとう、おめでと

          第17話 いつだってドラマチックスタンダード-03

          第17話 いつだってドラマチックスタンダード-02

          亜由美と海保もステージから少し離れたところからそれをじっと眺めていた。亜由美は感涙したのか「よかった、ホントよかった。」と呟きながら 必死でデジカメのシャッターを押し続けた。来賓のウルティモセカンドライフも酒をごくりと飲み、華やかに拍手を送っている。舞台挨拶にきた監督と俳優たちもよくわからないが拍手をした。 特に監督は作品のインスピレーションを得たのか満足気に微笑んでいる。龍馬としても思ってもみない展開だったが、まぁ2人とも良いならば良いか、と納得した。よくわからないままマイ

          第17話 いつだってドラマチックスタンダード-02

          第17話 いつだってドラマチックスタンダード-01

          「それは…本当にすまない…俺が弱かったばっかりに…こうなってしまってはもう言い訳でしかないけど…このドラマは俺にとって、あの事故以来、初めて関わる作品だ。もう一度こうしてプロデューサーという立場で仕事ができている。だからもし、このドラマが無事成功すれば、もう一度君を…」 「そんなの、勝手な話じゃん…」 「…ああ、わかってる。」 「わかってないよ!リョウマは何も!」舞台上で展開される白熱のメロドラマに、人々は手に汗を握った。まるで往年の大映ドラマのようなベタな会話の連続は、人々

          第17話 いつだってドラマチックスタンダード-01

          第16話 今夜のメイクドラマ-03

          「リカ、おったぜよ!相沢リョウマじゃあ!!」 「相沢リョウマ、おまんが、相沢リョウマじゃな?」龍馬の問いかけに、リョウマはゆっくり首を縦に振った。 「アナタ、誰、ですか??」落ち着いた口調でリョウマが聞く。 「ワシは、坂本龍馬ぜよ。」 先ほどまでの動揺とざわめきは徐々に歓声と笑みに変わっていった。周囲は、これはきっとこういった催しなのだと勝手に理解はじめていた。 「いいぞー、坂本龍馬ー!!」 「よっ、日本の夜明けー!!」歌舞伎の大向こうのように、酔いが回った観客からは声が飛ん

          第16話 今夜のメイクドラマ-03

          第16話 今夜のメイクドラマ-02

          「ん??あのドラマ…、あの時の…!」 亜由美の脳裏に、かつての光景がフラッシュバックする。 『話題の動画配信サービス、MovieFreaks 新作映画から人気ドラマ、オリジナルドラマまで!!』 『新作オリジナルドラマ 主演 名護樹、三上美々 他…』 「あれって、あの時に亜由美ちゃんが言ってた、例の?」 「うん、間違いない…。」 あの日、三軒茶屋の駅前で見たドラマのポスター。 その内容は、今世間を賑わしている『現代に出没する坂本龍馬』とあまりにも酷似していた。そのドラマの舞台挨

          第16話 今夜のメイクドラマ-02

          第16話 今夜のメイクドラマ-01

          酷い頭痛で目が覚めた。音楽と歓声が聞こえる。ここは…。 座り込んでいたパイプ椅子から腰を浮かして、辺りを確認する。何かの会場だろうか、どうやらここは会場外、いわば舞台裏らしい。空はすっかり黒く、イベントの賑わいを確かに感じる。司は頭痛を感じながらもおぼつかない足で歩みを進めた。その間、何人かの男女とすれ違ったがみんな同じ衣服を着ている。どうやらスタッフらしい。やはり何かのイベント会場。なぜ俺はこんなところにいる? 「おはようございます、今日はよろしくお願いします。」 すれ違っ

          第16話 今夜のメイクドラマ-01

          第15話 現代のねずみ男-03

          今から1週間ほど前、龍馬の噂が巷を賑わし始めたころのこと。 リカは合コンで知り合った男から、衣川を紹介された。誘い文句は儲かる話がある、というテンプレートなものだった。リカも半信半疑で犯罪に手を染めるつもりはなかったが、衣川から告げられた内容は実に簡潔だった。「東京都内にいるという坂本龍馬を探し、とあるというイベントに連れてきてほしい。」龍馬がそもそも実在するのかはさておき、たったそれだけでいいのならとリカは快諾した。 報酬は数百万にも及ぶという俄かには信じがたい話だったが、

          第15話 現代のねずみ男-03