見出し画像

幼い頃の思い出の町に恩返し。長年培った経験やスキルを活かした地域活性の形


自分が生まれ育ったまち、縁のあるまちに恩返しがしたいという想いをもった方は多くいらっしゃいます。

その想いを「地方複業」「ふるさと複業」という形で実現した方がおられます。奈良県三宅町に複業タレントとして参画し、町の広報活動において活躍された小林慎一郎さんです。

民間人材である小林さんが行政でどのような働き方・関わり方をしていたのか?どのような地域課題・行政課題を解決できるのか?伺いました。

*Another works と奈良県三宅町の取り組みはこちら

*プロフィール

スクリーンショット 2021-07-26 11.36.50

小林慎一郎氏
京都大学工学部電子工学科卒業後、朝日放送入社。ラジオ・ディレクターを端緒にテレビ編成~番組制作にあたる。その後、BSデジタル放送、iモード、動画配信など新規事業を開拓。2017年春に独立し、プロデュースハウスSync Japanを立ち上げ、メディアもフル活用しながらマルティプルにビジネス展開。渋谷駅街区再開発のマーケティング、NTTグループのコンテンツサービス事業、大手外食チェーンなどのアドバイザーや、日本整形外科学会学術総会、総合スーパーマーケット・グループのオウンド・メディアなどのプロデュースに携わり、山梨県北杜市と渋谷区との2拠点で活動中。2児の父。



自身のスキルを活かし
心の故郷である三宅町に恩返し

集合

ーー三宅町の複業求人にご応募いただいた理由を教えてください

三宅町は母の実家のすぐそばで、幼い頃から奈良の里を駆け回っていました。このエリアはシンパシーも強く、土地勘もあるので、心の故郷のひとつである奈良の活性化に貢献したいと思っていました。

そしてもともと地方創生に対する意識が高く、この国が”地方の時代”にシフトすべきと前々から強く感じており、これまでもいくつかの市町にさまざまな提言を行ってきました。

幼い頃の思い出が詰まった三宅町に恩返ししたい、地方創生に貢献したいという想いから応募しました。


ーー実際に小林さんが三宅町で取り組んだ内容についてお聞きしたいです!

まずは広報担当のお困りごとをヒアリングすることから始めました。日頃の業務の悩みを気楽に相談していただける「広報相談もくもく会」を開催し、三宅町の広報担当の方とコミュニケーションをとっていました。

伝えたい人に伝えたい情報が届かない点に対してどうしたら良いかという相談を受け、それに対し分析や戦略の面で提案をしました。



濁りと淀みのない、役場の方とのお付き合い

スクリーンショット 2021-07-26 11.38.25

ーー大変だったことなどはありますか?

一番大変だったのは、三宅町まちづくりセンター”MiiMo”のコミュニティープロデューサーを公募するプロジェクトのお手伝いをしたことです。MiiMoは2021年12月に「三宅町の未来を育む交流まちづくり拠点」としてグランドオープン予定の公民館や図書室・学童保育などの機能を兼ね合わせた複合施設です。

スタッフを公募するにあたり、どうリリースすれば欲しい人材の心に響くのか、表現の一言一句にこだわって広報面をお手伝いしました。いろいろな方の意見もある中で、役所として外せないことも多々あります。しかしそれを全部書いていたら膨大なボリュームとなり、かなりの確率で途中脱落が起こり、興味を持っても応募にいたりません。

厳しい云い方ですが、「送り手の論理で送っても意味がない」と申し上げました。伝えたい人に伝わることが大切だということを意識してサポートしました。

端的な例としては、こまごまと書き連ねるよりも上記のような1枚のグラフィックの方が読み手には遥かに判り易い、ということをお伝えしました。


ーー今回三宅町の役場の方々とプロジェクトを進める中でコミュニケーションの面で課題はありましたか?


役場の方々も初めての取り組みで、複業人材に対する遠慮と警戒があったかと思います。しかし暖かく受け入れてくださり、気兼ねと気遣いなく、お互いがリスペクトしあえる関係性を築くことができました。

今回のプロジェクトで一番よかった点は、一線を引かれている感じがなかったところです。三宅町の広報担当の方お二人や、森田町長のお人柄もあると思うのですが「よそから借りてきた人」という感じが、我々に対して全くなかったんですよね。

透明度が高く、濁りと淀みのないお付き合いでした。


特色を活かした地域活性により、没個性を防ぐ

スクリーンショット 2021-07-26 11.43.21

ーー自分自身が新たに得られたことはありましたか?

ご一緒させていただいた複業人材の方々からたくさんの刺激を受けました。それぞれの方に個性があり、自律性・自活性をもっておられる方ばかりでした。

私は今フリーランスとして活動していますが、給与所得者であった時期が長かったので、発想の中にどうしてもスピード感が不充分な点もあります。今回若くてアクティビティのある方々と地方創生という一つの集約点に向かってご一緒できたことは、とてもフレッシュな経験となりました。


ーー地方自治体に複業人材として活躍されたご経験から、今後地方複業やふるさと複業にチャレンジされる方にメッセージをお願いいたします!

地方自治体は人口減少や少子高齢化といった同じような課題をおもちです。それに対する解決策として、観光や一次産業のDXといった、似通った考えをもっておられます。

この先どの町も同じようなことをしていては、オールジャパンで見たときに没個性になっていきます。いち旅人としても、いち市民としても、それではつまらないと思います。

だからこそ、その町の良さや特徴を見極め、情熱をもって取り組むことができる町と、一緒に汗をかいて取り組んでいくことが大事だと私は思います。


取材・編集 高岡慧

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?