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申し訳ありませんは,ずるい。

申し訳ありません。
という言葉に,もやもやしている。

起きてしまったことは変えようがない。
だからこそ,次にどうするか?を考えて,どうにかするしかない。申し訳ありませんと何度言ったって,何も変わらない。今起きている問題は何か,それを把握して,複雑に絡み合った結び目を解いていくしかない。

申し訳ありませんと言われたら,もうそれ以上,何も言えなくなってしまう。
申し訳なさそうな顔をしていたら,なおさら。起きてしまったことはどうにかしなくちゃならない。私は責任を負う立場にはないのだけれど,それでも,誰かがどうにかしなくちゃならなくて,周りを見渡しても誰もいなくて。何も言っていられない,とにかくどうにかするしかない。

申し訳ありませんは,ずるい。
できませんと同義だ。できないのではなくて,どうにかするしかないのだ。限られた時間,限られた能力の中で,日々,もがくしかないのだ。できないのではなくて,できる範囲でどうにかするのだ。

私だって逃げ出したい。
だけど,目の前にいる人たちを放っておくことはできない。私がどうにかできるなら,どうにかしたい。どんなに複雑な結び目だろうと,どうにか解いてみせる。それでもどうにも苦しくて,頭の中から離れなくて,文字通り歯を食いしばっている。ずっとあごが痛い。

それでも,放っておくことはできない。
それは私が決めたことだから,どうかこれ以上,申し訳ないと言わないでくれ。申し訳ないと言うことで,一人だけ楽になろうとしないでくれ。お願いだから,もう何も言わないでくれ。

彼は何度も繰り返す。申し訳ありません,と。
その度に私の中には,もやもやが溜まっていく。


彼は知らない。私の中のもやもやを。
私は言えない。私の中のもやもやを。

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