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ブルガリア 春を祝うお祭り「クケリ」
ブルガリアのお祭り「クケリ」
2022年1月9日、ブルガリアのソフィア市内で開催されたお祭り、"Кукери”(クケリ)に行って来た。
本記事では、ブルガリアで毎年1月から3月ごろにかけて行われるお祭り"Кукери”(クケリ)をご紹介する。
クケリ概要
現在のクケリは「春の訪れを祝い、邪気を祓い、豊穣そして幸運を祈る」行事である。
怖いけど、少し可愛いクケリのお面
羊などの毛皮でできたお面を被り、「クケリ」に扮した男性たちが腰に付けたベルを鳴らしながら町や村を練り歩き、邪気を払う。
このお面は、地域ごとにデザインが異なる。
「怖いお面を被り、邪気を払う」そして「お面のデザインが地域ごとに異なる」
この2点は秋田県の「ナマハゲ」と非常に似ていると思う。
秋田のなまはげも、秋田県内で様々なタイプのナマハゲがいる。
腰につけたベルは金属で出来ていて、全ての衣装の重さはおよそ60キロぐらいらしい。(友人情報)
だいぶ疲れている参加者の若者。このゆるさがブルガリアっぽくて良い。
時期
1月〜3月にかけて開催される。
冬を超え、春が訪れることを祝うお祭りなので、大体この時期に行われるらしい。
「夏にあの衣装で練り歩いていたらとんでもないだろうな」と思うなど。
場所
ブルガリアの各地の町、村で行われる。
最も大きいものは、ブルガリア西部セルビアとの国境近くの地域「Pernik」(ペルニック)で行われる。ペルニックでは、国外各国から大勢の人が集まり盛大に祝う。
ソフィアでのクケリの写真。かなり人が来ていて、老若男女楽しんでいた。
中央に小さく見えるのが「クケリ」
起源
古代からバルカン半島に住んでいたトラキア人の信仰対象「ディオニソス神」を祀る儀式が起源。
ディオニソスは「豊穣」「ぶどう酒」「酩酊」の神らしい。(酩酊の神!)
ちなみに、トラキア人は現在のブルガリア人の祖先。歴史の中でブルガール人やスラブ人と混ざって今のブルガリア人が誕生したとされている。
冬を超えたこと、そして夏を迎えることを祝ったのが始まり。
写真を撮っていると、私に襲いかかってきたサービス精神旺盛なクマ。
ここで人々が着ているのは、ブルガリアの民族衣装「Носия(ノシヤ)」
地域ごとにデザインや使われる色が異なる。
ブルガリアの国土は約111㎢。これは日本の4分の1程と、決して大きくはない。
それでありながら、クケリのお面やノシヤ等にも見受けられるように、
地域ごとに様々な文化や料理が存在する点がブルガリアの魅力の1つだと思う。
私にとってのお祭り
その形態を少しづつ変えながらも、長い歴史の中で地域の人々の様々な思いによって維持されてきた「お祭り」
そこには、恋人同士、友達と来ている若者、家族連れ…様々な人が集まる。
共に踊り、歌い、お祭りを作り上げる地域の若者と大人。
奇妙な衣装を着た人を目の前に、不思議そうな顔をする小さな子供たち。
そして、その子供たちを微笑ましそうに見つめる彼らの親。
「今年もこの季節が来た」といった表情を受かべながら静かに楽しむお年寄り達。
みんなの中に、それぞれのクケリがあるんだなぁと感じると同時に、世代を通して受け継がれる伝統と、愛情を見ることができた。
2022年を迎えた高揚感と、万国共通のこの光景に対して既視感に似た何かを覚えながら、数十年後も、いや、数百年後も、そこに同じ光景があることを願った。
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