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不登校30万人

不登校30万人時代。

 旧態依然とした学校教育システムそのものに手を付けず、子供や学校、フリースクールや居場所づくりへの支援を手厚くしたって、不登校の数が減るわけはない。不登校の子供たちに学習の機会を保障する施策を打つことも大切だが、もっと根源的な部分にメスを入れなければ、50万人を超えるのも時間の問題だ。

 150年間変わらぬ日本の学校教育を根本から見直し、社会の教育観を啓発し、教育に対するステレオタイプを払拭していかない限り、この現象が起こるのは必然。

 国を率いる政治家や官僚は、古い学校教育の中でのし上がった勝ち組だ。学校教育という枠組みの中で、何の違和感も感じず、むしろ模範生として充実した日々を送った人たちであろう。不登校問題を本気で解決したいと思うのであれば、不登校を数値として捉えるのではなく、一人一人の傷ついた心に思いをはせ、彼らを傷つけた学校教育に大鉈を振るう勇気をもって臨むべきだ。この国の教育を率いる者たちが、彼らの思いを共感、理解し、自身が受けたこともない新しい教育システムについて真剣に議論し、実現する。本気でこの国の学校教育を健全なものにしていこうと思うのであれば、毎年の全国学力調査に支出する60億円以上の予算は、そのために使った方がいい。

 何がいじめや不登校を生み出しているのか、もっと根源的な部分に目を向けてほしい。

 テーブルの上に置かれたたくさんのビー玉。それらをすべて同じ方向に動かそうとするのであれば、テーブルを少し傾ければ良い。みんな同じ方向に向かって転がり出す。
 しかし、やがてビー玉はテーブルから転がり落ちる。落ちるのが早いか遅いかは、テーブルの大きさと傾き方で変わってくる。テーブルの表面のデコボコや抵抗にもよるかもしれない。

 不登校は転がり落ちたビー玉に似ている。

 落ちたビー玉を元のテーブルに戻しても、やがてまた転がり落ちる。テーブルの傾きは次第に大きくなっている。落ちたビー玉を拾っては戻し、拾っては戻す。
 ビー玉がテーブルの上にとどまるためには、傾いたテーブルを直すしかない。テーブルを直すことなく、落ちていくビー玉の数が増えていることを嘆く。

ビー玉に非はない。

本気でテーブルを直さなきゃ。

毎年60億円もあれば、案外簡単に直せるかもしれないのに。

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