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奥を味わう、ホッカイドウトウホク

みなさんこんにちは!
8月2日にオープンしたアナザー・キュウシュウが、10月2日、2か月間の開催期間を経てついに終了してしまいました…

キュウシュウという宴が終わり、最後は私たちセトラーで宴を開いてパーッと打ち上げ…

なんてしている余裕はありません!3日後の10月5日からは、アナザー・ホッカイドウトウホクが始まります!!!!!

南のキュウシュウ展から、大移動して北のホッカイドウトウホク展へ。

店舗開業準備&アナザー・キュウシュウが開催されている間、裏でひっそりと仕入れや企画展準備を進めていたアナザー・ホッカイドウトウホクについて、どんな企画展なのか、このnoteでご紹介していきます!

今回の執筆は北海道出身、ホッカイドウトウホクチームの千葉が担当します。
10月初旬時点では自分たちの企画展が始まるなんてまだまだ実感のなかった私が今回のnoteを執筆いたします。

朝から晩まで、みんなで返送&入れ替え作業


▶コンセプト

アナザー・ホッカイドウトウホクのコンセプトは、
”奥を味わう、ホッカイドウトウホク”

ホッカイドウトウホク  ステートメント

北海道・東北は、日本の都に対し常に奥地にあり続けた地域。だからこそそこには、雄大な自然が広がっています。
その豊かな自然は私たちの生活に恵みをもたらすだけではなく、江戸時代の飢饉や干ばつ、冷害、雪害、東日本大震災など、脅威ももたらしてきました。
 
そんなどうしようもなく恐ろしい自然に対して、悲観的になるわけでもなく、かといって自然を打ち負かそうとするわけでもなく、厳しい気候の中どうすれば生きていけるか、北海道・東北の人々はじっと忍耐強く考え、実行し、共生の道を模索してきた歴史があります。
 
日本の奥地であるという地理的事実と、北海道・東北の地で出会った人々、そしてそこで暮らしてきた北海道・東北出身の私たち自身の心の奥に秘めている忍耐強さ。「奥」というキーワードをもとに、北海道・東北の地だからこそ生まれた商品をセレクトしました。

アナザー・ホッカイドウトウホクのキービジュアル


▶コンセプト策定まで

キュウシュウのコンセプトを初めて聞いたのは、約5か月前の4月27日。
「キュウシュウという宴が、あなたを待ってる。」
企画展トップバッターのキュウシュウが短期間で仕上げてきたコンセプトを発表した時、会場はざわめきに包まれました。
キュウシュウのコンセプトを聞いた私たちホッカイドウトウホクの3人はその後集まって、
「すごい。やばい。」と言い合った記憶があります。
正直、企画展トップバッターで怒涛のキュウシュウに比べ、私たちは二回目だから~と、正直油断していた部分がありました。

自分たちもみんなを圧倒させるようなコンセプト・店舗を設計していかねばならない。
10月からの第二回目の企画展も、もう半年を切っていてすぐそこの出来事なんだ。

キュウシュウのコンセプト発表を経て、奮い立たされました。

…そして毎週毎週会議を重ね、北海道や東北の魅力、特産品、イメージなどを書き出し、議論し合うもののいまいちピンと来ない。

一番苦労したのは、北海道と東北の共通点を見つけることです。
どちらも北の地域という共通点はあるものの、北・寒い・雪と言ってしまうと北海道のイメージが強くなってしまうし、逆に七夕祭りやねぶた祭りなど、東北六県のような盛大なお祭り文化は北海道にありません。そもそも私たち自身が、「ホッカイドウトウホク」の地域を「北海道」と「東北」と捉えてしまっていたのだと思います。

そしてたどり着いたのが、「奥」という一文字。
正直私も鮮明には覚えておりませんが、「深い雪の中生活し春を迎えたり、何かと災害の多い地域だけど乗り越えたり。表だってメラメラと燃えさかるような雰囲気ではないけど、静かに、静かに耐え忍び生きてきた。」
上記のような北海道・東北のストーリーから、心の「奥」に忍耐強さや深い深い優しさを持っているという人間性に着目し、さらに奥羽山脈や奥参り、陸奥など、東北には奥という文字が入る地名があり、また北海道・東北が地理的に都から見て奥地であるという立地の観点からも、「奥」という言葉が想起されたため、「奥」に着目しコンセプトを策定しました。

「奥」という漢字の意味をさらに調べてみると…
・表面に現れない深い所。内部。
・心の底。
・奥州。みちのく。
というような意味があり、私たちが見いだした、「心の奥に忍耐強さを秘めている」という意味合いはもちろん、そもそも「奥」という言葉自体にみちのく=東北というような意味合いを持ち合わせており、これほど私たちにぴったりな言葉はない!と、確信しました!


▶仕入れ出張で出会った地域、人、もの

「なんだろう。震災で津波が来て、私たちのよく知っている海が、私たちの知らない、恐ろしいものに変わってしまったの。海を見ることすら恐ろしくなってしまった。だけど、やっぱり海の見えない生活は落ち着かなくって、こっち(気仙沼)に帰ってきて海を感じたときは、心の底から安心したのね。私自身海が怖いと感じていたし、今でも海を見たくないって思う方もいるけれど、やっぱり私は海が見えないと落ち着かない。海がすぐそばにあるこの気仙沼が、いちばん安心するのよ。やっぱりここで数十年育ってきたんだから。」

印象に残っているこの言葉。
気仙沼で”The Sea”という海の景色を表したキャンドルを製作されている方が話してくださった言葉です。

気仙沼の風景

その方は生まれてからずっと、海の見える気仙沼のまちで育ってきましたが、震災により避難生活を余儀なくされ、海の見えない場所での暮らしが続きました。
いまでは生まれ育った気仙沼へ帰ってきてお仕事・生活をされています。

私はこの言葉を聞いて、とても深く共感しました。
被災した方のお話を聞くと、「被災者」として特別視してしまい、いまいち自分事に捉えることはありませんでしたが、この言葉は、自分の軸と通じ合うような感覚を覚えました。

というのも、私は気仙沼へ向かう前に宮城県七ヶ浜の海岸や、丸森町という宮城最南端の地域へ赴いたとき、その海や山の景色ははじめて見るはずなのに、とてもなつかしいような、知らない地への出張ですこし緊張しているはずの心が解きほぐされ、落ち着いていく感覚を感じていたからです。
それはきっと、私も海や山が身近な地域で生まれ育ち、最近は生まれ故郷とはまったく違う風土で生活をしているため、旅先の海や山の景色に故郷のような安心感を覚えるからなのでしょう。

その感覚とお聞きしたお話が重なり、その時はじめて、心の奥底で想う地域への感情という軸で、作り手さんと私自身とがつながれた気がしました。

ともしびプロジェクト 代表の杉浦さん

アナザー・ホッカイドウトウホクでは、自分の生まれ育った地域はもちろん、はじめて訪れる地域でも、このようにその土地はもちろん作り手のみなさまに惹かれ、つながりを感じたことで仕入れさせて頂いた商品がたくさんあります。

私自身、はじめて訪れ、なじみのなかった東北の地でもつながりを感じられたように、ご来店されるお客様にも、商品を通して北海道・東北の地、そして作り手さんの思いに深く共感して頂き、親近感やつながりを感じていただけるようなものが一つでもあったらいいな、という思いで商品を仕入れました。

北海道・東北で生まれ育ったり、ご縁があるお客様はもちろん、今まで行ったことがないというお客様にも、私たちセトラーが商品ひとつひとつのエピソードや風土のこと、作り手さんのことを一つ一つお伝えいたします。
まったく聞いたことがなかったという地域でも、なにか訪れるきっかけとなれば、とても嬉しいです。


▶お客様に向けてのメッセージ

ホッカイドウトウホク展がオープンしすでに3週間ほど経過しておりますが、「出身だけど知っているものがない」「物産展や旅行によく行くのに知らないものばかり」そう伝えてくださるお客様が多く、とても嬉しいです。

なぜなら私たちがその地域出身でなければお伝えできなかった、定番から少し足を踏み入れた奥の商品をお伝えできているということですから。

今だから言えることですが、アナザー・ジャパンに参加したときは、北海道出身の私は、北海道愛しかありませんでした。もちろん北海道が一番だと思っていたし、東北のことは何も知りませんでした。
しかし実際に訪れた北海道・東北の地域には、それぞれ物語があって、その物語を紡ぐ、あるいは作り上げている人がいました。
その物語はその土地ごとに全く違うのに、どの地域も、帰る頃にはまるでそこで生まれ育ったかのような懐かしさと安心感を覚える場所でした。

すべての仕入れ出張を終える頃には、北海道はもちろんのことですが、実際に足を運び自分の目で見て肌で感じてきた青森県・宮城県、ホッカイドウトウホクメンバーの小國さんの出身地&出張先での心温まる出来事をたくさん話してくれた岩手県・秋田県、同じくメンバーの一員で福島愛あふれる久間木くんが案内してくれた福島県、そしてメンバー3人でコンセプトのキッカケ探しに出張へ行った山形県、1道6県すべての地域がほんとうにほんとうに「また帰りたい」と感じるような場所になっていました。

山形県への出張。初めて名前を聞く駅にたくさん降りました。

お店に並んでいるすべての商品に、作り手さんと私たち3人の愛がこもっています。
ひとつひとつに込められた「奥」の意味合いを、お客様と共に咀嚼していけるような、そんなお店を目指していきます。

今回のライター:Atsuki Chiba (ホッカイドウトウホク)


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