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舞台「大地 Social Distancing Version」大千穐楽を見て

先日、観た三谷幸喜さんの新作舞台「大地 Social Distancing version」が本日、大阪サンケイホールブリーゼで千穐楽を迎えました。
ちょうどストリーミング配信があるということだったので、配信用チケットを購入して、タイミングよく仕事がお休みということもあり、自宅で視聴していました。
あらためて思いますが、独裁政権における抑圧と、表現者の葛藤、そして本音と建前、偽善と人の本質という意味で、前半までの役者たちのつながりから最後の苦い結末までの流れは、その対比含めて見事な流れ。何度見ても飽きさせない話でした。
途中の藤井隆さんのアドリブで濱田くんが完全に負けたことと、山本サンガサングラス落として、笑ってごまかすなど、今日はラストということもあって役者さんの勢いがさらに上がったように感じました。浅野さん、かめはめ波はずるい(笑)
こうして配信での作品を見ると、役者さんの表情から読み取れる感情の演技だったり、所作のキレなどの映像ならではの良さもあらためて感じます。同時に以前も書きましたが、全体像の見えない舞台は、客観的視点が抜けることによって、舞台上での出来事すべてを捉えきれていないことが、物足らないという感じにもなります。こればかりは仕方ない。劇場で最前列で見ることが良いのかどうか?も同じ命題ですし。
個人的には劇場で見たあとにこうやって配信での視聴という流れは、満足度の高いものでした。受け止め方に関して、補完できる部分も多かった。これからも同じことができるのかはわかりませんが、これからしばらく配信というスタイルは続くでしょうし、そこからどういう作品を作っていくのか?も創作者の腕の見せ所かと。
今日の最後の挨拶で大泉洋さんが、60公演を感染者などが出ることなく終えたことが、非常にありがたいと。これから公演していく演劇作品にとって、何か良い参考になればという言い方をしていて、演劇関係者にも安心感を与えたと思います。同期にこれが奇跡で終わってはいけないという話にも大きく頷きながら配信を見ていました。演劇界隈はこのコロナウイルスの話では、矢面に立っている業界の一つです。目の敵といってもいいくらいの時期もありました。そんな中、無事にやりきったことの価値はとても高いものです。
同時にこの公演が採算ベースでどの程度のものだったのか?も演劇関係としては気にするべきものかもしれません。
今日も大泉洋さんが今度は満員の客席でチャペックノキカンを見せたいと話していましたが、一席ずつ開けた劇場、感染予防、物販なしなど、課題は山積みでこれが採算も含めた最終型でもないからです。
ただひとまず、素晴らしい作品を楽しむことができたこと、無事に全公演を終えることができたこと、このことが演劇界への大きな勇気になったということをファンの一人として喜んでおきたいと思います。
また劇場に脚を運ぶ機会はあります。そのときに客として守ることができること、これを忘れずに作品を楽しむ全員で守っていきたいという気持ちをあらためて持ちました。
今回の「大地」に関わったすべての役者さん、スタッフさん、お疲れ様でした。

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