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「湯呑みの形した畳の凹(へこ)」


拝啓、すずめ園さま

すずめちゃんこんにちわ!🌻
この二週間でめちゃあちになりましたが、夏バテなど大丈夫でしょうか。
わたしは湯豆腐になってしまいそうです。冷えピタ代わりに昆布貼り付けたら、いい出汁取れそうだな‥とか、思っています◻️

最近はすずめちゃん家で通販の発送の準備をしたり、あそんだり、来週もせきしろ句会で会えちゃったり‥ひだりききクラブはもうすぐ二周年ですが、この時期は毎年よく会える気がしてます 夏苦手な二人なのに、なんだか夏に呼ばれてますね‥🍉

出会った頃の写真、二年前‥

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前回の自由律俳句、お疲れ様でした‥!
句がするっと出てこないとき、いつもと違う生活をしてたわけじゃないのに、思い付かなかったりしますよね、そんなとき本当に海の底‥な気持ちになるのですが、出来てみると案外良かったり、しばらくしてからじわじわと良く見えてきたり。自由律俳句、勝手な生き物みたいだと思います‥🐟

とはいえ、とっても素敵な句ばかりでした!

お祭りの夜と同じ湿度の中にいる

表題の句ですが、素敵🎇
夏の夜、日の暮れた頃ふらりと外に出てみたら、なんか思い出のある様な空気感で、あ、お祭りの夜だ‥と思ったことがわたしもあります。お祭りの夜の空気って肌感覚で覚えている気がする。自由律俳句だと、こんなにしっとりとした印象になるなんて!夏をひとことで表したみたいな一句ですね


サイダー弾けてペタついた腕があるだけ 

何となくあきらめがあるというか、ペタついてるけどいいや、みたいな感情を切り取った句、サイダーに関するエモーショナルの中でいちばん好きかもしれません。「ペタついた腕があるだけ」の部分は、シンプルながらに感情や情景の伝わりやすさがあるのがすごいと思います。ナチュラル自由律俳句‥


手のひらできしむイチゴ大福のしゅわり

すずめちゃんの使うオノマトペは、奥行きのある可愛らしさを持っている気がします。この句の、「しゅわり」なんて特にそう‥かわいいけどそれだけじゃない、肌に馴染むようなやさしい感じがします。

しかもこの句は “手のひらできしむ”という不穏なはじまりから”イチゴ大福の”に飛び、え!?となったところで”しゅわり”に落ちる、結構難易度の高い句で、読んでいてジェットコースターみたいでした

種田山頭火の自由律俳句、「漁師の太い声と夕日まんまろ」を思い出しました

それではわたしも自由律俳句ゆきます🎋



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夏至さくらんぼツインテールの影

恋ケ窪にてピンクの薔薇抱へて

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恋ケ窪、という地名を知りました。

東京に着て三年が経ちましたが、今だ知らない場所ばかりです。わからない地名に足を運び、電車の色の違いや街並みの緑の有無などに一喜一憂し、人混みに飲まれたり、逆に何もなくて焦ったり。いつだって旅をしているような気持ちになります。し、ひどくつかれます。

最初に書いた「恋ケ窪」という地名を知ったのはつい先日、旅気分で知らない電車に乗っていた時でした。

「恋ケ窪駅」は、東京都国分寺市にありました。国分寺自体には何度か足を運んだことがあるけれど、恋ケ窪ははじめてで、そのネーミングに、雷に撃たれたみたいな気持ちになりました。車掌さんのアナウンスが流れた途端、わたしはすぐさまスマホのメモ機能を出し、恋ケ窪、とすました顔でメモし、反面こころの中は、

「(わーーーーーーーんあまりにもキュート‥短歌の一節に出てくる街だ‥恋の窪んだ街、恋ケ窪、コイガクボ‥ 次は〜恋ケ窪〜恋ケ窪〜 ‥)」

と、めちゃくちゃ興奮しました。用事があって降り立つ事はできなかったので、いつか行ってみたいなあ、と思い、Googleマップにクリップをし、グーグルアースで恋ケ窪駅前に降り立ってみたらなんと、そこには

うさぎマークのクリーニング屋の車が‥

「(ほんとにもーーーーー、恋ケ窪〜〜〜〜〜〜!!!!!!)」

と声にならない喜びを抱き、そんな可愛らしい街におさらばした夏の帰り道。これまた知らない街でピンク色の薔薇の花束を100円で買っちゃう、というキュートな事件が起きたので、一日を詰め込んでぎゅぎゅっと句にしました。

恋ケ窪、とっても普通の住宅街みたいですが、いつか降り立つ時には、ピンクの薔薇を抱えて行こうと思います。



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湯呑みの形した畳の凹(へこ)

ぶつかる鞄硬いの



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風、沈殿している記憶たちまち

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木の葉がひらひらめくれるように、嬉しい記憶も忘れたい記憶も混ざりあって思い出す瞬間があって、それは風のようで、それは君だったりする



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ぽろり、彗星になって、しまった、蝉、

浮かれ模様サマーグリーンのシャツ

日傘忘れたあの駅が近い



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しあわせ家でおにぎり食べる

ラーメンスープ湯気は夏の香

真夏日横たふおれは煮魚

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夏のお昼ごはんって大好き。そうめんはもちろん、冷やし中華、中華鍋でつくるチャーハン、お醤油あじのラーメン。夏ってなんでかお昼のイメージがあるな、と思ったけれど、たぶん夏休みのおかげだった。

夏、プールから帰ってきてごはん、それぞれの家庭にそれぞれのごはん。暑いのにあついのとか、昨日のおゆうはんの残りとか、なんだっていい、麦茶あれば尚更すてき、夏のお昼ごはん。昼は明るくて電気も要らないお茶の間、玄関は開けっ放しで白いレースのカーテンがしてあって、ちりちり風鈴の音がする。たまに雲がさして暗くなるけど、めんどくさくて電気をつけない、だから、記憶の中の夏のお昼はちょっと暗い。扇風機が廻る。畳の匂いがする。

夏のお昼ご飯でわたしの好きなものは、皿いっぱいのおいなりさんと、にんじんぬきの焼きそばと、きゅうりだらけの冷やし中華。お兄ちゃんの冷やし中華は逆にピンクときいろ(ハムたまご)でいっぱいで、食べ終わって座布団に寝転んで、そのまま眠ってしまったらお腹にタオルがかけてあったとか、ひとつひとつを手にとるように思い出せてしまう。大好きな夏のお昼ごはん。もうしばらく迎えていない夏の記憶。

山なりになったおにぎり、興味ない甲子園とラーメンスープ、焼けた肌は染みた煮魚のようで、その肌のままわたし、昼飯にして全部平らげた。



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塩飴捨てた夏の林道

枕元、梅シラップのふつふつ

いい日旅立ちツバメの巣立ち



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急に暑くなったので、夏真っ盛りな句が沢山できました。ごはんシリーズの三連と、「湯呑みの形した畳の凹(へこ)」が結構お気に入りです。わたし、こんなに夏のこと好きだったなんて‥

今日は七夕ですね🌌去年の七夕も自由律俳句に奮闘していた記憶があります。

街へ出てみたら、浴衣姿の人や、七夕飾りのついた笹を持った女の子に会いました。現代でもこっそり嗜まれているみたいでうれしい気持ちになりました。わたしも短冊書いて窓に吊そうかしら🎋星型のお麩とか乗ったおそうめん、たべたいなあ

そういえばこれまでに七夕にした願い事って、ひとつも覚えていないかも‥もしかして、星になってるのかもしれませんね

今年一良いねがいごと 叶え〜


それではまたね〜すずめちゃん𓅮!

にっきより

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🍒せきしろ句会出演のお知らせ🍒
せきしろさん主催の句会「せきしろ句会 vol.3」にひだりききクラブが出演いたします!
今回は歌人の木下龍也さんともご一緒させて頂きます

7/10(日)まで「色」がテーマの自由律俳句も募集中です!ぜひみなさまからの投句お待ちしています🟢
https://www.sekishiro.net/contact

7/13(水) 「せきしろ句会 vol.3」
会場:ロフトプラスワン
18:30会場/19:00開演
チケット代:会場¥2000 配信¥1500
出演:せきしろ、木下龍也(歌人)、出雲にっき、すずめ園

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つぎは7月13日 すずめちゃんの番です🍙


『ひだりききクラブ』プロフィール
出雲にっき、すずめ園による自由律俳句ユニット。毎週水曜日にnoteにて自由律俳句の交換日記、「 #ひだりききクラブの自由律俳句交換日記 」を更新している。
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