「導く為のトンボになってね」
拝啓 すずめ園さま
すずめちゃんこんにちわ、お久しぶりです。
そして、あけましておめでとうございます🌅気がついたら二月も終盤です‥はやです
卯年、かわいらしい年ですね。小さい頃、卯年生まれの人に憧れていました。
たいへん遅くなっちゃったけど、
今年もよろしくお願いします🐇
🍬
すずめちゃんの前回の句は、なんだかせつなさみしい、やさしい、あたたかい、みたいなグラデーションでした。つめたい要素が多いはずなのにあったかくって不思議でした。そんなふうに見えるのはすずめちゃんがわたしにとってやさしいであたたかいからかな、でもみんな心のどこかでそう感じると思うのです❄️🍵ほかほか
・煮溶けたじゃがいもすくって食う
なんてことないことのはずなのに、そこにしか無いセンチメンタルがぎゅっと詰まっています。形あると消えてしまうもの、その愛らしさは言語化するには難しく、いつもモヤモヤした影のままわたしたちの前にあると思うのですが、この句はぴたりと言葉に変えていて、膝から崩れそうになりました。すずめちゃんの才能はその繊細さだと思います。溶けてしまったじゃがいもをうたうこと、わたしには無い、すずめちゃんだけのもの。
・さよならを吐けば白いCO2
さよならっていう時、それは確かにただの呼吸であって、どんなに大切な言葉さえこの世に残るのはCO2だけ。大切ぶっているのはわたしたち人間だけで、だからこそ尊いものだとも思います。CO2しか生み出せないけど、樹木のように役に立てないけど、わがままで人間らしい可愛いところを大切にして、言葉にして、また吸って吐いてさよならっていえるといいな、静かな寂しさのある句だけど、なぜだか、少し暖かい気持ちになりました。
すずめちゃんの言葉は冷静で、ぴーんと張った糸のようで、触れても大丈夫かなって、一瞬強張るけれど、触ってみるとちゃんと自分の中にある感情と紐づいてピカって光るんです、どうなってるんだろうって思います。どんな仕組みなんだろうって。
・固い蓋開けられる孤独と暮らす
硬い瓶の蓋を開けられるコツ、伊藤家の食卓みたいなやつを知っちゃった時わたしは少しだけえーん、と思います。どんどんできることが増えて、大丈夫になってしまう。指のささくれの切れちゃったところに利き手じゃない方の手で絆創膏を貼れるようになるとか、朝目覚ましをかけなくても目覚められるようになってしまうとか。それで得られる利益や大丈夫さもあるけれど、こころのどっかかゆくて、かゆくて。
器用になることは、なんなら不器用になることだと思います。でもそれを誰かに与える側になれたら、また違う風に見えたりするのかなあ、エッセイ含めとっても好きな句でした。
それではわたしも自由律俳句ゆきます
こんにちわ!
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・ととろいる?白いお山のお椀へ
・寒すぎる冬を湯葉で包むみたいに
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以前、杉作J太郎サミットにて発表した句。
寒すぎる冬は何か温かいものに包まれたくて、そんなとき、脳内で湯葉を想像する。のびのびつるんとした湯葉、温かくてやさしい触り心地のそれに包まれたらなんと幸せだろう。もし、この街が豆乳でひたひたになったら、湯葉の膜が太陽すら遮って視界はまっしろで、身体中は豆の匂いになる。頭上でどんどん汲み上げられてゆく湯葉、豆乳のかさが頭すれすれになってきたら肝は冷えそうだけど、それを食べる何処かの宇宙の住人の、穏やかなひとときに自分の人生を捧げられるなら、湯葉って綺麗だしまあいっか、と思う。お醤油はかけ過ぎないで食べてねよろしく、と遺言は残しておきたい。
湯葉のことを考えていたはずなのに、最近ガンダムばっかり見てるせいで、結末を宇宙に繋げてしまった。仕切り直して、とりあえず、一度でいいから汲み上げ湯葉を食べてみたい。こぢんまりした和室の一角で、日本酒とか飲みながら。湯葉で包まれたくなる切ない冬も、汲み上げ湯葉の湯気があればもう少し好きになれる気がするから。
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・カレーになる前の匂い街は
・ピュレグミ味についての考察と
・くすりゆび隔ててあなたとわたし
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・魔女だから湯気くらい掴める
・賢い犬はマスクをしない
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出勤ルートを歩いているときの出来事
不意に犬と目が合った。その犬は、茶色で、頭の良さそうな顔をしていて、尻尾をわたわた振りながら軽快なステップで歩き、飼い主はすんと前を向いていた。そりゃあそうだか犬はマスクをしていなくて、服も着ていなくて、首輪こそついているが生きているままのかたちだった。街を堂々と歩く権利があるんだ、となんだか奇妙な気持ちになった。そのときのわたしは、仕事用にそれなりの服を着、なんとなくかわいいマスクをしていて、分厚いコートまで羽織っている。ねえ犬、奇妙なのは人間の方かもしれないね、首輪つけられちゃったのね。話しかける訳にもいかないので、心の声でそっとつぶやいた。わたしは、マスクから溢れたほっぺたの部分が冷たかった。
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・きらきらきるきょうあしたあさって
・あなたがいた右側だけ「⠀」(あなたがいたみぎがわだけくうはく)
・サーモグラフィー橙色小指だけ握ってたから
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・忘れてくれたらどれだけ楽かな
・導く為のトンボになってね
・天国行き目を瞑って下車すれば
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目を瞑ればそこはどこでも天国って誰かの哲学だった気がする、誰だっけ、わたしだっけ
途中下車をしてみたくて旅に出たい そんな気分で生きている 知らないところでも行き着けばきっと天国だと思う 知っている街の風景ばかりで困る朝がある
会いたい人、会えなくなった人、これから会う人、天国で待ち合わせて、そこにある喫茶店へ行きたい、お喋りをして爪の色とか褒めてほしい、幸せなとき限界まで幸せになりたい、目を開けたら、知ってる壁の色だから
これはわたしの夢の中、わたしの哲学、わたしの詩
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あまりにも忙しなくて、その割に濃密すぎる記憶が、ざらついた質感のままあります。雪はあんまり降らなかったけれどしっかり寒くて、東京っぽい冬でした。肉まんとあんまんを数回食べました。もう暖かさすら感じています。
自由律俳句の中に散りばめられた言葉たち、指とかピュレグミとか導くとか、年末〜年始にかけての冬の記憶だ、と、書いていて気づきました。
手袋を忘れて外出してしまった帰り道、すごく心許ないきもちになります。好きな味のピュレグミを、あまり行かないコンビニで見つけました。2個も買いました。大吉以外が出たら駄目になってしまう気がしたから初詣ではおみくじをひかず帰りました。きらきらしながらきえれたらいいなって思ってもそのまま生きてて、周りに頼りながらなんとか未来を見ています。目覚めたら天国ならいいと思う、爽やかな朝は天国だと思う。
いつもどおり、呑気なのにピリついてる感じもあって、とっても生きています。
優しくて冷たくてあったかい、すずめちゃんみたいな、世界のものさし作れたらいいな、でもわたしはわたしで、わたしのものさしなのかもしれないっ、それでもいいやって思います
それではまたね〜すずめちゃん❄️
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次の更新はすずめ園ちゃんの番です🧶
『ひだりききクラブ』プロフィール
出雲にっき、すずめ園による自由律俳句ユニット。隔週水曜日にnoteにて自由律俳句の交換日記、「 #ひだりききクラブの自由律俳句交換日記 」を更新している。
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