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「さわれる文字をあなたにあげるよ」


拝啓 すずめ園さま


すずめちゃんこんにちわ🍠
ここ最近雨ですね、電車に乗る人の髪の毛がやんわりうねっていて可愛いです。


最近のお話。久しぶりに一人でラーメン屋さんへ行きました。わたしは心配性なので、そのお店のことを丹念に調べてから行きます。ちょっと入りにくいと、普通に帰ったりします。

どうしてもラーメンが食べたい日があるのですが、それがこの日でした。「今日は絶対にラーメンを食べるぞ‥」と意気込んで用事を終えたものの、その街にはラーメン屋さんがそこかしこにあり、困った事にどのお店も美味しそうでした‥わからない‥と半泣きで辿り着いたそこは家系ラーメン屋さんでした

ぷかぷかたまご

半ラーメンを頼んだら海苔と味玉をサービスしてもらい、結果るんるんで平らげました ひとりラーメン 好きになりました てへてへ 🍜🍥


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前回のすずめちゃんの句、すずめちゃんの視覚や触覚や聴覚などをお裾分けしてもらったような回でした。生命活動の中に生じる五感は人それぞれだと思うけれど、ああわかるなあと思う感覚や、感じたことがあるけれど言葉にならなかったあれ、みたいなものを的確に言語化されている‥と思いました🌿


・飲む前にちょっと溶けて苦い薬

味覚の句、読んだらちょっとだけ口の中が苦くなった気がしました。条件反射、レモンを見ると唾液が出るあの感じです🍋

薬を飲んだ時のなんとも言えない不快感と、自分は薬を飲んだのだという納得する感情、飲み込んだあとの粒々とした喉越し。そのシーンを切り取るなんて‥まさに上に書いた、「感じたことがあるけれど言葉にならなかったあれ」でした。

すずめちゃんの日常の切り取り力、本当にすごいです‥すごく鋭くて磨かれたハサミを持っている‥✂️


・甘い匂い漂う先にギャル

嗅覚の句ですね。句の中に急に現れたギャル、面白くって大好きです‥
これを読んで改めて感じたのですが、 “ギャル”って、文字の存在感からしてギャルなんですね。ギャルという言葉の内側から溢れんばかりにキラキラピカピカきゅるきゅるしている。

しかも「甘い匂い漂う先に」ということわざみたいな流れの後に「ギャル」がつくことで、えっ!?と驚きがあって、そのあとじわじわ面白さが広がります。匂いのイメージも広がっていきます。
ギャルは夏の季語でしょうか、眩しいからきっと夏です。🏝


・虫の声夏派と秋派でする喧嘩

聴覚の句ですが、上手だ‥と思いました。セミと鈴虫が共生する今の季節を切り取ったのかな、と思ったのですが、虫への比喩とも、人間の意見とも取れます。

虫ってもしかして、わたしたちが分からないだけでずーっと喧嘩してるのかもしれない。めちゃくちゃ怖いこと言ってたら嫌だけど、ミーンミンミン!とリーンリーン‥だからきっとかわいい喧嘩ですね。

ちなみにわたしは虫の声は秋派です。秋の虫のほうが侘しくて好きです。すずめちゃんはどっち派でしょうか🍇


それではわたしも自由律俳句ゆきます

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結び目を解いてあげようか

君が蝶々結びして宿る命



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眠れぬ夜にラメを塗る

米俵抱き帰る背中

呼んでくれるなら振り返らない

↪︎

眠れない夜にネイルをするのがわたしのいちばんかわい〜癖なのだな


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お腹空いたら帰ってね室内飼いの天使より

これこれと言いどれかは教えてくれなかった

ヒイル土踏まずのとこ痛み揺れる影



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パフェ齧り付き髭かわいめのクトゥルフ

靴下探しの我麻薬探知犬なり

優しい風を待ち砂は流れ秋ね

↪︎

「8/32」

外は曇りで、真っ白で眩しい。秋の始まる匂いと、名残惜しそうな夏の匂いが混ざり合っている。電車に学生がたくさん乗っている。今日から学校なのか、と思い出した。ずっと忘れていた。

今年の夏はどんな夏だっただろう。花火大会や砂浜へ行く願いは叶わなかったけど、冷やし中華も食べたし、半袖を着たし、手持ち花火もした。そういえばスイカも食べた。モロヘイヤの調理法を覚えたのは結構な進化かもしれない。この調子で夏の知らない野菜を片っ端から食べていきたい。30歳頃には、わたしも立派な夏野菜マイスターになれちゃうかも。だったらいいな、なんて願う。それまでにわたし、どんな人になっているだろう。

夏の記憶は溶けてしまう。わたしは、夏になると途端に記憶が薄くなる。秋から冬の思い出は、手の冷たさと共に思い出せるのに、夏の沸騰したような感覚と、そこで何があったかを思い出せないでいる。指の熱で温くなった果物のことも、緑の中にいた事も、写真を見て、ああそうだったなあ、と思う。でも夏は忙しいから、ひとつひとつを保存することを忘れてしまう。去年の手帳も記入を逃して、8月の部分がぽっくり空いたまんまだ。

いつものように仕事へ行く、帰宅する、濡れたアスファルトから水の匂いがする、いつものベンチにいつもの人はいない、雨だからかな、すれ違う女の子たちは黒い服を着ている。雨濡れませんでしたか、と心の中で話しかける。みんな少しずつ疲れていて、それでも歩いて明日へと向かうからかっこよくって、みんなで一緒に2022年9月1日の空気を吸っている、すれ違った人たちにさようならを言う、夏休みの延長戦みたいな日々の中、わたしは神聖かまってちゃんの23才の夏休みを聴いて、なんとなく今日を生き直す。




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ひかひか 葡萄ときたま命宿るの

真夜中未遂している鼠色の空は

さわれる文字をあなたにあげるよ




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最近生まれた句たちです。
ここに載せる句はどうしても生まれたてですよね、触ったらほろりと溶けてしまう、まだ熟してないバナナを並べる八百屋さんみたいな気持ちになる 寄ってらっしゃいみてらっしゃい〜だけどそわそわとする

今年、すずめちゃんと果物を食べる事がよくあったような気がします だから、わたしも今年たくさん果物食べました!さくらんぼも桃も食べたねえ🍒🍑

つぎは葡萄をふさで買って食べ合いましょうか🍇秋ですし


それではまたね〜すずめちゃん🥚

にっきより

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📢🐈ねこしゃく、アーカイブ放送中📢🐈

南海放送「杉作J太郎のファニーナイト」内で放送している番組内ラジオ「ひだりききクラブの猫にだって会釈」が只今アーカイブ放送中です!

8月31日より、毎週水曜、木曜の19:40頃から
【2022年3月〜8月までの全12回】が放送されます!

お聴き逃しの方も、ねこしゃくリスナーの方も是非お聴きください🎶📻

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次は9月7日 すずめちゃんの番です💠

『ひだりききクラブ』プロフィール
出雲にっき、すずめ園による自由律俳句ユニット。毎週水曜日にnoteにて自由律俳句の交換日記、「 #ひだりききクラブの自由律俳句交換日記 」を更新している。

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