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このキャラデザがすごい! 2020上半期

2020年上半期に派生作品が多く作られたキャラクターを筆者の独断で紹介します。前回記事はこちら

※この記事に各タイトルのネタバレはありませんが、解説のリンク先はシナリオに触れているものもあるのでご注意ください。イラストはTwitterから、データはpixivから引用してます。間違いなどあれば大変お手数ですがご指摘ください。

清少納言

初出:2020年2月1日(公式生放送)
タイトル:Fate/Grand Order(ゲーム)
デザイン:Mika Pikazo
pixiv投稿数:1,184件…「清少納言 fgo」
キャラクター解説

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FGOは強いクリエイターを揃えまくった企画ですが、その中でも最注目イラストレーターMika Pikazo氏のキャラデザで満を持して登場しました。デザインも氏の得意ジャンルを大きく反映しており、ビビットカラー、髪の多色メッシュ、和セーラーという、まさに作家軸で用意された企画と言えるでしょう。

髪は青と黒、服は白と黒でハッキリと色分けされており、明暗のメリハリが非常に強いデザインです。Mika氏のファンのクリエイターが多いことも相まって、二次創作イラストのレベルも非常に高い。

CVはアニメ『ダンベル何キロ持てる?』で存在感を発揮した新人声優ファイルーズあいさんという点も存在感を強めてますね。ちなみにFGOは今年で5周年で、各地に広告と展開し、イラストを描き下ろすという非常に贅沢なPRを打ちました。全盛期よりも売上は減少傾向ですがまだまだトップシーンに君臨し続けます。

100日後に死ぬワニ

初出:2019年12月12日(ツイート)
タイトル:100日後に死ぬワニ(漫画)
デザイン:きくちゆうき
pixiv投稿数:473件…「100日後に死ぬワニ」
キャラクター解説

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去年末からスタートした怪物ヒット作です。最終回のツイートは75万RT超え、単行本も35万部突破の超級タイトル。「100ワニ」は2020年代を代表するエポックなキャラクターになったでしょう。「〜〜まであと〇日」という演出自体は古典的な手法で、死に関しては山本直樹氏の漫画『レッド』で近しいアイデアを展開してましたが、ここまでポップな作風にも関わらず緊張感を生んだのは天才の仕事だと思ってます。グッズ関連では炎上騒動も起こりましたし、ファンの意識を逆なでしたPRがあったのは残念ですが、歴史の大きな転換点になったことは間違いないでしょう。

誰しもに訪れる「死」をTwitterでカジュアルに表現し、SNSとの相性が抜群に良かったことで、多くの派生作品を生みました。「100日後に〇〇する××」というテンプレートは様々な展開を生み、丁度ワニ完結から100日程度経った現在、「ゴール」する派生シリーズも増えてます。

プロクリエイターも多く参戦し、Twitter始まって以来、一番盛り上がった長編漫画ミームと言えるのではないでしょうか(短編だ「 #魔女集会で会いましょう 」などが有名)。近しい企画だと「〇RTごとに××する~~」のようなものもあり、Twitterとイラスト・漫画を連携させてより拡散やコミュニケーションを活性化させる動きが目立った半年でした。

アマビエ

初出:1819年頃 / 2020年3月6日(ツイート)
タイトル:アマビエ
デザイン:不明
pixiv投稿数:2,929件…「アマビエ」
キャラクター解説

2020年は2月頃から新型コロナウィルスが世界を震撼させていきます。そんな中、キャラクター大国日本は京都大学付属図書館による妖怪『アマビエ』のツイートが話題になり、多くの絵描きが創作意欲を刺激されました。

鳥のような、魚のような不思議なデザインですが、妙な愛嬌もあります。描かれたイラストのレベルが高かったことからも一大ブームになりました。こういった古典作品(でもない?)がある種の事件をきっかけにリバイブしていくのは全く想像がつかないことであり、ネット発のクリエイティブは本当に面白いな〜と感じます。

これまでのネット発のイラストブームというと「擬人化」が多かったのですが、アマビエに関しては元祖のデザインに近しいもが二次創作でも多く描かれているようにも思います。それだけ元のデザインに愛嬌があるとも言えますが、普段漫画やアニメタッチの絵を描かないような層にもブームがリーチしているからだとも思います。

それこそ世界的なブームになっており、海外まで波及していることの証左でしょう。コロナというナーバスな話題に対して、創作という形でカタルシスを作ることはとても大事なことだと思ってます。様々な意見はあるとは思いますが、こういった文化活動は阻害され欲しくないですね。

ダイドー

初出:2020年1月16日
タイトル:アズールレーン(ゲーム)
デザイン:Yostar
pixiv投稿数:1,237件…「ダイドー アズールレーン」
キャラクター解説

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ゆるいキャラクターを2体ほど紹介しつつ再び美少女キャラの紹介です。2020年、引き続き強力なエロ訴求を纏ってダイドーがやってきました。昨今のゲーム業界はキャラデザがかなり先鋭化されて来ており、一昔前はエロゲくらいじゃないと確認できなかったくらいのサイズの巨乳でもメジャーゲームで堂々と登場してきており、びっくりしますね。

ダイドーは銀髪という中国文脈を備えた要素を持っており、日本人にも刺さる「下乳」、「メイド」という非常に属性強めなビジュアルです。下乳の見せ方はそこ開けるんだって感じですね。姉妹設定のある『シリアス』が上乳で訴求しているのでそこと対になっているのだと思われます。当然ですがこれがあるのとないのではキャラ立てに大きな差があるのでよく考えるなーと感心します。

アズレンは本土中国でもイベントに足を運んだのですが、水着イラストもそこまで規正されておらず驚きました。露出度は当然日本と中国では差があるもののかなり攻めているタイトルといえるでしょう。5月に登場した新衣装も引き続きエロ訴求が強そうながら、なかなかスタイリッシュなデザインになっていて格好いいです。

コッコロ

初出:2018年2月15日
タイトル:プリンセスコネクト!Re:Dive(ゲーム)
デザイン:Cygames
pixiv投稿数:6,373件…「コッコロ」
キャラクター解説

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プリコネRの時代が来てますね〜。初代『プリンセスコネクト! 』は2016年7月にサービス終了しましたが、その1ヶ月後に続編制作が発表。2018年2月から『プリンセスコネクト!Re:Dive』として配信され、2020年4月からはアニメもオンエアし、大きなブームを作り上げました。2018年頃にはモバイルゲーム関係者が大絶賛していたのを記憶してます。リメイクでここまでのヒット作に成長させられるのはさすがCygameの手腕ですね。プリコネRはどのキャラも非常に人気ですが、今回は特にアニメオンエア以降の伸びが大きいコッコロを掲載します。

11歳の少女でありながら一部ユーザーからは「ママ」と呼ばれている、いわゆる「バブみ」文脈のキャラクターです。物語が進むとゲーム自体にもファンの声がフィードバックされており、関係性が公認化されているようです(以下記事から引用)。

近年はドルフロやアークナイツなどの中国系の退廃的な世界観、スタイリッシュ系も幅を利かせてますが、当然ながら王道ファンタジーは強いですね。古典的なスタイルを継承しつつ現代的な仕上がりになっているのでプレイヤーの年齢層も広そうです。また、ビジュアルの可愛さもそうですが、ボイス付きでキャラが良く動くゲームはプレイヤーとしては非常に嬉しいです。

ちゃちゃまる

初出:2020年3月20日
タイトル:あつまれ どうぶつの森(ゲーム)
デザイン:任天堂
pixiv投稿数:718件…「ちゃちゃまる」
キャラクター解説

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3月には任天堂から『あつまれ どうぶつの森』がリリースされました。コロナ渦と重なり外出自粛が増える中で、ネット通販を中心にニーズが増加。シリーズ過去最高ペースの売上となりました。同時期には自宅で運動ができる『リングフィットアドベンチャー』も購入者が増え、元々品薄傾向であったNintendo Switchがより入手困難になりました。ちゃちゃまるはそんな中シリーズ初登場のキャラクターであり、SNSを中心に爆発的な人気を見せました。

特徴はそのまるっこい外見と目にあり、2019年頃からの流行である絵文字の「🥺(ぴえん)」を彷彿とさせる表情で、多くのプレイヤーを惹きつけました。ゲーム内でも多彩な演出が用意されており、スクリーンショットは国内外問わず多くの人がシェアします。笑顔はもちろん、怒った顔や悲しんでいる顔まで非常によくできており、本当に絶妙な可愛さです。ついついいじめたくなる雰囲気というか、一方で助けてあげたくなるような愛おしさもある非常によくできたデザインです。

ちゃちゃまるは目が🥺(ぴえん)なので、白目の部分がありません。これはデザインを展開する上では大きな制限で、あつ森の他のキャラクターのようにどこを見ているかを表現することが若干難しくなります。そういった制限強いデザインだからこそ、ここまで演出を作り込んでいるのですね。本当に任天堂の開発力はすごい。

ハンバーガーちゃん

初出:2019年4月25日(ツイート)
タイトル:ハンバーガーちゃん
デザイン:ハンバーガー
pixiv投稿数:295件…「ハンバーガーちゃん」
キャラクター解説

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Twitterを中心に不思議な伸び方をしているのがハンバーガー氏デザインによるハンバーガーちゃんです。元々は診断メーカーという美少女の属性を生成するツイートが発端になってます。作者の美少女化した化身でもあるハンバーガーちゃんは2019年から登場し、2020年現在では二次創作作品も頻繁に作られるようになりました。

エッセイ漫画の延長ではありますが、ほぼ毎日更新され、ハンバーガーちゃんの少し不幸なできごとが共有されます。漫画としても上手で、テンポよく読めるので、SNSと相性が良いです。Twitterエッセイ漫画にありがちな白ハゲ的な怨嗟がなく、爽やかな読後感があります(重要)。実際の出来事としてご本人のお友達も多く登場しているようで、そういう点ではタッチポイントが多く、SNS強者の貫禄があります。

ハンバーガーちゃんは初登場からすでに1年以上経っているので、ぱっと出でバズったコンテンツではありません。創作活動を堅実に続け、ファンを大切にしてきた結果です。近年はVTuberブームもある種の落ち着きを見せてますが、コツコツと制作を続けることで作家のスタイルが作られ、それには相応の時間がかかるということを教えてくれます。

Helltaker

初出:2020年5月11日(Steam)
タイトル:Helltaker
デザイン:Łukasz Piskorz
pixiv投稿数:7,123件…「Helltaker」
キャラクター解説

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まさに今、爆発的な人気を誇る無料ゲーム(有料DLCあり)です。無料ですが非常に完成度は高く、個人開発でも世界的なヒットが起きるのはゲームの強みですね。キャラデザは私の世代(1986年生)だとGヒコロウ氏を彷彿とさせるアメコミと日本イラストの中間のような路線。作者のŁukasz Piskorz氏はポーランド出身だそうですが、日本のコミックにも大きな影響を受けてるようです。

ブームの理由は登場する悪魔っ娘のキャラクターデザインが可愛いことですね。フェチが強い絵柄ですが、ディズニーのような普遍的な完成度の高さもあり、色のトンマナ、レギュレーションなどが高いレベルでまとまってます。演出自体はシンプルですが、その中でのキャラクターとの会話劇や選択肢が恋愛シミュレーションのような雰囲気もあり、感情移入しやすい設計になってます。

ゲーム自体は2015年に大ヒットした『クリプト・オブ・ネクロダンサー』の影響もあり、ミニマムかつテンポが良い。なによりもリスタート演出の思い切りが素晴らしいですね。プレイ中はキャラクターもSDでアイコン的に表示され、これもとても可愛い。

番外編

直近のリリースでなかったり、派生作品はそこまで作られてないけど2020年前半にトレンドになったキャラクター。

福満しげゆき&妻

まさかこのタイミングで福満先生がTwitterをはじめるとは思いませんでした。私はかつて紙の単行本は沢山買ってたのですが、近年は遠ざかっており、Twitterに流れてきたのをみて電子版であらためて最新刊まで買いそろえました。ある意味でハンバーガーちゃん的なスタイルの元祖というか、子育てエッセイ作家が様々な配慮をしている部分をエンタメ全振りに押し出す姿勢が本当にしびれます。Twitter登場かわわずか5ヶ月足らずでフォロワーは11万人を超え、やはり自力が非常に高い漫画家だということがわかりますね(むしろ今までなぜTwitterやってなかったのか)。

ここまで短期間にフォロワーを延ばした理由は毎日投稿される商業漫画の切り抜きツイートです。本当に毎日かなりの分量が投稿されるのがすごい。出版社も複数にまたがっているはずなので、そのあたりを上手く交渉されたと思うし非常に戦略的なPRですね。過去の絶版書籍も7月に電子版で復活するとのことなので、是非みなさん買いましょう!

連ちゃんパパ

遙か昔に連載終了した漫画がふたばでブームとなり、Twitterでも火が付くという実にインターネット的な流行り方をしたと思います。今月末までは無料で読めるので未見の方は是非。

とにかく主人公がパチスロ依存症かつ絶妙なクズさです。読んでいて心がサワサワするというか、嫌なことを延々と行い続ける様に妙な中毒性があり、多くの方が言っているように『闇金ウシジマ君』に近い読後感があります。ストーリーの邪悪さに注目されがちですが、作品自体は今から26年前の1994年にスタートしたものなので、古さを感じさせない普遍的な絵柄やシナリオにも驚きます。作者のありま猛氏のインタビューを読むと、そういった見せ方も強く意図して狙っていたことがわかり、バックグラウンド含めてとても面白い出来事だと思いました。

紹介しきれてないキャラなど

去年からの大ブームだった『鬼滅の刃』も最終回を迎え、時代の変遷を感じさせる半年でした。直近のジャンプだと『チェンソーマン』がじわじわ伸びており、アニメ化のタイミングで一気にトレンド入りしそうです。すでに二次創作イラストは非常にレベルが高いですね。

ちなみに『仮面ライダーゼロワン』、『ヒーリングっど♥プリキュア』、『アイカツオンパレード!』などは人気ですが、なるべく新規IPを入れたい意図もあり、この記事では掲載を見送ってます。あとVTuber関連は紹介記事などが沢山あるのでこのブログでは扱ってません。ただ最近のホロライブの勢いは凄いですね〜。

まとめ

とにかくコロナの影響が非常に大きい上半期でした。こういったトレンドは世の中の兆候を大きく反映させますね。また、今まで美少女系中心のチョイスでしたが、今回は動物や妖怪といったキャラクターもピックアップしてみました。企画的にこの辺を避ける理由は特にないので、今後はより積極的に拾っていこうと思います。

今回拾えてないキャラなどがいましたら作者のTwitterなどでそっと教えて頂けると嬉しいです。2020年下半期はどんなキャラクターが登場するか想像できませんが、とても楽しみですね。今後も続けていく企画なので、宜しければシェアやご感想を頂けると嬉しいです。

オマケ
イラストに関する本を書きました。ご好評につき翌月重版かかってます。興味ある方はぜひ!


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