崎陽軒シウマイ弁当を冷静と情熱のあいだで語っていく。
「お前ペース配分考えながら飯食ってんの?」
何気ない一言が、記事を書く発端になった。
今回は当番組でも論争になった"例のあの人"を紹介する(当番組の第2回目参照)
崎陽軒のシウマイ弁当。
横浜出身なら8兆パー食べたことある伝説の箱。
真の完全食。
1908年創業。1928年にシウマイ単品の販売を開始し、1954年からシウマイ弁当を販売する。横浜名物を作ろうと中華街を散策していた時、突き出しとして出された焼売に着目したのが偉大なる歴史の始まり。
社名は、創業者の久保久行が長崎出身であることにちなみ、長崎の別称である「崎陽」が由来。
発売当初、シウマイは4個であったが、時代の変化の煽りを受け、1974年(オイルショック)の大幅値上げの際に5個へ変更。通算、11度のリニューアルを行なっている。シウマイは、『冷めても美味しい』をテーマにしており、水で戻した干し貝柱が餡に練りこまれているとのこと。化学調味料は不使用。
また、グリーンピースは頭に乗せるタイプではなく、餡全体に混ぜ込まれているのも特徴。時に2粒入ってたりもする。
小さな幸せみぃつけた♡
全国で最も作られている弁当と称されるスーパーローカルフード。横浜市外でも、品川駅や東京駅、羽田空港でも販売している。台湾の台北にも販売店がある。
シウマイ弁当の他にも中華弁当やチャーハン弁当、いなり寿司までレパートリーが豊富だ。
TBSの宇内梨紗アナウンサーがシウマイ弁当を愛食しているのは最近のビッグニュース。
再度言っておくが"シウマイ"である。
表記については、ウマイと掛けた説、先代の訛り説などいくつか諸説がある。
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ここまでは簡単な概要だ。
ここから先は長旅になる。
幕の内ガチ勢はせめて"シウマイ"だけ覚えて帰れ。
さて、このシウマイ弁当
頭イカレちゃうほど美味しいが
マジで食べるの激ムズ
地球防衛軍2の赤波インフェルノくらい火力ヤバめ。
やる気ないなら帰れよとキレられた時、マジで帰ったほうがいいかどうかの心理戦レベル。
彼女が何のことでキレてんのか分かんない時の昼デートくらいセンシティブ。
本題に入ろう。
なにが激ムズなのか。
なぜこの弁当が一筋縄ではいかないか。
3つにわけて説明しよう。
①食べ方が迷路
迷路、この言葉に尽きる。
最大の魅力にして、最大の難関。
人は不確かなものに焦がれるが、シウマイ弁当もまた同じだと思う。
まずは、スターティングメンバーを紹介する。
俵型ご飯8ブロック、シウマイ5個、鮪の漬け焼、カマボコ、鶏の唐揚げ、玉子焼き、筍煮、あんず、切り昆布&千切りベニ生姜、梅
察しの良い皆さんはすでにお気づきであろう。
オカズに対して米が圧倒的に足りないのだ。
そもそもシウマイ5だけで8俵余裕なのに、そこに唐揚げって。しかもマグロも。ここに筍煮入れるだけで最強デッキが完成してるのに昆布&ベニまでキメ込んでる...
えげつなさライフの時の福田沙紀かよ。
おめえの米、もうねえから。
1ブロックの俵でどのオカズをどのルートでどれだけ食べ進めていくか。一瞬一瞬がファイナルバウト。これはもう単なる食事でも娯楽でもない。一歩間違えればその日のテンションすら左右する天下分け目の超決戦。やみくもに食べるとオカズの迷路から抜け出せなくなる。
トドメのあんず。
しょっぱのコンボからアマ入れてくんのかよ。
こいつのポジショニングがスーパームズい。
陵南戦終盤の神出鬼没な桜木花道くらい食べるタイミングが読めない。田岡も俺も毎回キレてる。
これまで何度もボコられてきた。
そして、幾戦を経て、ついに最適解セットリストを開発した。それがこちら。
なに弁当に番号つけてんだよ...
1 梅
悩みに悩んだ末、先鋒に抜擢。上質なオカズ達が鎮座する中、食欲のブーストをかける意味合いで先に塩味を口に覚えさせる。あえて1番にコンバートした理由は他にもある。②で説明しよう。
2〜7 俵とシウマイの鬼ラッシュ
ここはもうひたすら噛み締める。1個目のシウマイで味の奥行きをしっかり堪能。頭の中で奏でられるビューティフルハーモニーは、きっと日本を越えて中華全土に響き渡るだろう。お前の万葉集を見せてみろ。
俵とシウマイ1セット目を終えたら後はもう貪るようにいく。醤油・カラシはお好みだ。調味料まで細かく決めつけるのは野暮ってものだ。
8〜10 マグロ、玉子焼き、カマボコからの俵
第一の関所。マグロが濃い目の味付けだ。甘めの玉子焼きとチビチビ交互に食べるとしょっぱとアマを楽しめる。
酒飲みはこのゾーンが好きだと聞く。確かにアテにもってこいだ。余裕があればカマボコにカラシをつけよう。きっと君のヒューマンステージが更に上がるはずだ。
11〜13 唐揚げとベニで後半ギアチェン
ここで唐揚げの登場。そのまま単品で食べるもいいが、一緒にベニ生姜も食べよう。弁当で清涼感を味わえるのはシウマイ弁当だけだと気づかされる。
14〜16 全幅の信頼、筍
ここで第二の関所、筍が出てくる。想像より2割ほど多めに添えてくれている。筍はこのタームで全て食べきるも良し、ちょい残しで20の俵に備えとくも良し。筍とシウマイを同時食いすることで、よりチャイニーズな演出に。広州さながらの本場の味になることをここに保証しよう。
17〜18 原点回帰
ここまで色んな小細工も使ったが、もう通用しない。初歩に立ち帰り、米とシウマイを味わって呼吸を整えよう。楽しい時間は本当にあっという間だ。
19〜20 ちいさなオニギリ
味昆布と米。死ぬ前にこのコンビをセレクトする日本人は一定数いるだろう。己の心に"わびさび"を宿し、食べてきた食材たちに感謝しよう。
21 あんず...おまえがナンバー1だ。
残すことは許されない。口に広がる塩気をあんずが相殺する。後は茶を飲め。
抑え切れないこの気持ち。
日向坂46「こんなに好きになっちゃっていいの?」が頭を駆け巡る。
②蓋裏の米
ここからは、シウマイ弁当あるある。
画像のように、シウマイ弁当には木目調の蓋が1枚付いている。ここにほぼ間違いなく米がこべりついている。
キヨヲタ(崎陽軒ヲタク)は、米量が足りないことをすでに知っているので、この米粒を確実に食べる。
そして、先の①で梅を先鋒に配置した理由はこの蓋にある。蓋裏の米粒を弁当より先に食することで、塩気が欲しくなるのだ。出鼻から梅が真価を発揮する。
やはり弁当は米から食べるべき。
厳密には、蓋裏の米粒が食べ方0番に該当するのだ。
人によっては、蓋裏の米を食べるのに一抹の抵抗があるだろう。たしかに、品性に欠ける部分もある。なので、初心者は無理しなくても大丈夫だ。いつかハマってくれた時、彼らの尊さに気づくはずだ。
僕にとって、蓋裏の米粒含めて"シウマイ弁当"なのである。
③短小箸
シウマイ弁当には箸とお絞りが同封されてる。
しかしながらこの箸、弁当の丈に合わせているので異様に短い。画像を見れば一目瞭然。
そして、この箸
すぐ折れる。
比喩でも何でもない、マジですぐ折れる。
敷かれた米はギュッと詰まっている為、粘度が高くなり、箸で米をつまむのに力がいる。蓋裏につく米粒を取るのにも一苦労。
まして、シウマイを半分に割ろうなどもってのほか。すぐにあの世行きだ。
この弁当、繊細な仕草が要求される。
小生は、食い意地が強くせっかちなので、今まで何度も付属の箸を折って血の涙を流した。
しかし、多少の欠点も愛情に変わってしまう。
綺麗に、折らないように、バランスよく
自然とストイックな気持ちになれる。
以上が、キヨヲタ目線で見たシウマイ弁当の真の魅力である。
まだ書くことは山積みだが、ひとまずここで筆を置く。
横浜駅では、崎陽軒の食べ放題 亜利巴″巴″(アリババ)もある。是非、横浜に来た際は足を運んでほしい。時間がなければ弁当だけでも買ってみよう。
僕の名前がシュウということもあり、焼売並びに崎陽軒シウマイ弁当には並々ならぬ愛情がある。
この記事に僕の覚悟を感じ取ってくれたら本望だ。
計算し尽くされた究極の弁当を
ひとりでも多く、手にとって食べてほしい。
fin.
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