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なぜそんなにも一緒に居たかったんだろうね。





私達はずっと一緒だった。


朝も夜もずーっと。


今じゃ考えられないね。

何が私達をそうさせたんだろうかね。

家も隣だったし

学校も同じだったのにね。





これまた小学六年生の話

幼なじみのルミとは
まるで『ちびまる子ちゃん』の
まる子とたまちゃんみたいな仲だった。

私とルミは家が隣同士だった。
夜な夜な屋根をつたい
互いの部屋を行き来した。


夜中1時ごろ

お互いの親が寝静まってから
私達のミッションは始まった。


決めてた時間にお互いの部屋の窓を開けて、

『行ける?』

と小声で確認を取り、

両者からokサインが出たら

Goだ。




何をやっていたか覚えてないが

毎回ピクニックに行くかの様に

食べ物を持って行っていた。

私達なりのパーティーだ。


お互いを行き来する長さは大体
約5メートル程の屋根。

普段の道であれば短い距離。

だが真夜中の屋根となるとこれはもう

100メートルくらいの感覚だった。

絶対にバレてはいけない。

音も出してはいけない。


私達は慎重につま先だけを使い

時間をかけて屋根を歩いた。
#むしろ這いつくばっていた



なぜだろう

やってはいけない、
静かにしなくてはいけない

そういう状況になった時

笑いがこみ上げてくるのは

私だけだろうか。


屋根を歩く時
もうどこからくる笑いなのか分からないくらい
笑いたくなる。


(っっくくくくく)

もうやばい。

笑い声を殺すのに必死で震える。


そんな私をみてルミも

笑いを堪えてる。



堪えるのに必死すぎて二人してこんな顔になっていた

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こうなればもう進めない
途中で立ち止まり堪える。


しかし早く行かなくてはバレてしまうかもしれない。

頑張って笑いを堪えて
たどり着いた部屋は
まるで戦争から勇敢に戦い
帰還した兵士の様な気分だ。


そこから
お互いのキッチンから持ってきた食べ物食べ
パーティーを開いた。

しかし毎日朝晩一緒にいて、小学生が
何を話す事があるというのだろうか。




そして2、3時間遊んだ後自分の部屋に帰り
寝る。

そして次の日午後から学校に行く時もあった。
#廃人



ある日、起きれない私に親が叱った。

私は流石にまずいと思い

ミッション時間を早めた。

これにはかなり悩んだが

22時頃の集合という
まだ互いの家族が起きている時間に
異例であるが危険を犯す事にした。




私はいつもの様に
屋根を這いつくばいながら

訳の分からない笑いを堪え
ルミの部屋に辿り着いた。


まだ皆寝る前なので誰がいつ
ルミの部屋に来るか分からない。

私はロフトにある大きな収納箱に入って
身を隠しながらルミと話していた。
#カオス




すると

『ルミ〜』



と高校生のルミの姉が部屋に入ってきた。

ルミの姉はとてもやんちゃな高校生だった。

定められてる制服を嫌い私服で登校したり
ランドセルで登校したりして自分を貫き
大人を困らせた。
#当時私はそんなルミの姉をリスペクトしていた


ルミの姉は悪さをいつも喜んで一緒にやってくれる。

ここらで一丁驚かせてみよう。


まさか自分の家に居るはずの無い私を見たら
ビックリして喜んでくれるだろう。


そんな思いで

『えっちゃ〜ん』

などとニヤニヤして

棚を開けた。







『お前ら何してるん』



あれ



違う。





違った、、。


あかんやつや。

これは登場したらあかんやつやった、、。


私はすぐに棚を閉めた。



『アスカ 出てこい』




えっちゃんは静かにキレていた。

「はい、、」


私とルミは凍りつき
固まった。




『帰れ』


「はい」


と私は固まったまま答えて
えっちゃんは部屋を出て行った。

小学生からしたら高校生の圧は怖い。


ルミと私は顔を見合わせ

『思ってたんと違ったなぁ』

とか言いながら

今日はパーティできる気分では無いので

私はまた来た道(屋根)を
這って帰った。


こんな思いをしてまで這いつくばってら私って。

自分がアホらしく、トホホ
という気分だった。

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この件があり私達はしばらく
この真夜中の密会をやめたのである。







続。









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